アクションカメラ「GoPro」、成功のからくり
■ かつては国内大手メーカーの独壇場だった、ビデオカメラ業界が大きく揺らいでいる。近年、規模が縮小し続けていた“青息吐息”の市場で、米ベンチャー企業が開発した「GoPro(ゴープロ)」という異端児が大ヒットを飛ばしているからだ。GoProはモータースポーツやサーフィンなどのアウトドアスポーツを楽しむ人々にターゲットを絞った「アクションカメラ」。このニッチな存在
の成功は、ユーザーが欲する機能に特化することの重要性を改めて示した。「GoProの教訓」を検証する。
「想像以上に売れていて驚いた」「海外でのシェアは圧倒的だ」――。2012年のビデオカメラ販売台数のブランド別シェアで、ソニーに次ぐ世界2位(13.7%)に躍り出たのが、米Woodman Labsの「GoPro」シリーズである(図1)。
ビデオカメラ業界の関係者は、歴史が浅いベンチャー企業が大手メーカーを抜いて2位になったことに加えて、その開発手法と普及の仕方に衝撃を受けた。これまでの製品開発や商品企画の常識を、覆すものだったからだ。
■アウトドアスポーツ用にひたすら小型・軽量化
ビデオカメラの市場規模は年々減少しており、各メーカーにとって新たなユーザー層の開拓が急務になっている。ところが、新たな価値を提供できないままの状態が続いていた。その間隙を突いて、GoProが急成長を遂げたのだ。
GoProは、汎用的な従来のビデオカメラとは、あらゆる面で異なる。アウトドアスポーツで自らのプレーを撮影する「アクションカメラ」と呼ぶ分野を確立した。ヘルメットや用具などに装着しやすいように、ひたすら小さく、軽くしたのが特徴である。電池を含めた本体の重さは73gと軽い。
ビデオカメラでは必須の映像確認用の液晶モニターすらなく、ズーム機能や手振れ補正機能も搭載していない。その代わりに防水や防塵、耐衝撃性を備えたハウジングを標準で添付するとともに、170度の広角レンズや4K×2K(3840×2160画素)映像に対応し、どんな場所でも臨場感のある映像を撮影できるようにした。ユーザーがさらに必要とする機能があれば、数多くの周辺アクセサリーの中から選んで追加する仕組みだ。
当初、Woodman Labsの狙い通りに、サーフィンやスノーボードなどのアウトドアスポーツ用途で人気となったGoProはその後、モータースポーツや自転車など多様なスポーツ分野に広がる。さらに同社の想定を超えて、テレビ番組の制作現場やペット目線での撮影といったスポーツ以外にも人気が飛び火した。スポーツ用途に特化したはずの製品が、既存の汎用ビデオカメラを抑えて世界2位の座を得たというわけだ。
■36歳サーファーのビリオネア誕生
36歳のサーファーが新たなビリオネアとなった模様だ。
アクションカメラで知られる「GoPro」創業者のニック・ウッドマン氏(36)が、総資産11億5000万ドル(約982億円)となった。
同社株式をこのたび台湾メーカーのフォックスコンが8.88%分を、2億ドルで購入。ウッドマン氏が51%を保有していることから単純計算して、11億5000万ドルとなる。
ウッドマン氏はオーストラリアやインドネシアでサーフィン修行をしていたときに、自身の体の一部として装着することができるカメラが欲しくなったのだという。
そこで、母親から約350万円を借りて起業を決意し、現在のアクションカメラを開発したという。アウトドアスポーツ全般に使用が可能で、サーフィン、ダイビング、バイク、車、スノーボードをはじめ何にでも用途があり、世界中で大ブレークしている。
■ヘルメットや乗り物 etc に取り付けるアクションカメラの GoPro に、新モデル GoPro Hero3+ が加わりました。上位モデル Black Edition では、前モデル比で 20%の軽量化・小型化(40m防水ハウジング取り付け時)、バッテリー駆動時間の30%延長、「30%鮮明」な新レンズ採用、モバイルアプリ併用時に意味がある WiFiの4倍高速化、ワイドアングルのSuperView録画モードなど、さまざまな改良が施されています。
上位版 Black Edition の価格は399ドル。国内向けの製品ページでは4万3050円の表示です。
撮影モードが最大で1080p60fps、静止画10MPなどのミッドレンジモデルHERO3+ Silver Edition は3万3600円、1080p30fps / 5MPまでの HERO3 White Edition は2万5200円。蛇足ながら、上のプロモ動画はぜひ全画面 1080p 設定でごらんください。
■GPS機器のメジャーブランドGarminが世に送り出す、フルHD 1080p仕様のアクションカメラ「VIRB」。GoProへの対抗馬と評されています。
2000mAhの充電式リチウムイオン電池で3時間連続使用。本体そのまま防水仕様で水の中での撮影もOKです。64GBメモリー(別売り)でたっぷり7時間の1080pフルHD録画。さらに1.4インチディスプレイ搭載という、充実したスペックですね。
上位シリーズの「VIRB Elite」なら、Wi-Fi経由でスマホによるコントロールも可能。GPS機能も搭載なので、カーナビ製品や他の端末との優れた連携プレーを期待したいところです。
臨場感あふれる動画がますます世の中に出て来そう。アクションカメラはほぼGoProの独壇場と言われていますから、これは楽しみになってきました。
※日本での発売はまだ未定のようです(2013年10月8日現在)