こんなニュースが載っとりました。 もちろん私とは 立場が 全く違うんやけど おもろいなあ,と思うたんで 紹介しときますわ。
橋下さん、そんなんちゃうやろ
■西川のりおさん=漫才師
「投票率が10ポイントほど下がったやろ」
――そこを見ますか。
「そう。この10ポイントいうんは、自民党や公明党に入れる人たちやない。維新に入れる人たちなんです。維新は、この人たちを投票所に連れて来られなかった。10ポイントを確実に固めていれば、結果的に自民が勝ったにせよ、圧勝という流れにはならんかったと思います」
――なぜ維新は10ポイントを取り込めなかったのでしょうか。
「橋下徹さんが石原慎太郎さんと組んだことが大問題やね。言いにくいことバシーッ言うて、はっきりしてるところが橋下さんの良いところやったのに、石原さんと組んでから、気ぃつこたのか何なのか方向性がはっきりしなくなった。原発はやめるんですか。政治献金は受け取らないんですか。消費税かて地方税化するとかなんとか。あんた何の話しとんのや、やるんかやらんのか、はっきりせぇ、と言いたくなりましたね。大阪市でガンガンやってた夏までの橋下さんなら確実に10ポイントを取り込めたと思います」
「それに橋下さん、髪の毛ピシーッと七三分けにしたでしょ。何や日本ハムから巨人に移籍してひげそった小笠原選手か、思いましたわ。ほえて、かみついてこその橋下徹やろ。石原さんを持ち上げ、愛想笑いして。自分より上の人には、そういう態度を取るというのを如実に見せてしまった。国会議員を長年務めて、都知事もやった石原さんは、大阪から見ればザ・東京や。東京に平伏する橋下徹なんか見たくない。あんた、そんなんちゃうやろ、というのが大阪人の感覚やった。阪神でバリバリやってたのが巨人で7番打ってどないすんねん。石原さんと組んで、橋下さんの良い面はひとつも出ませんでしたね」
――維新は54議席を得ましたが、評価としては負けということですか。
「大敗でしょうね。いや、でも近畿の地方政党として、大阪からの発信を続けてこの議席数を獲得したなら勝ちやったと言えます。しかし石原さんと組んで数を取りに行っての54ですから、やはり大敗と言わざるを得ませんね」
――橋下さんは16日、首相指名で自民党の安倍晋三総裁を推すと言いました。
「これは、本当だったら問題発言ですよ。ならあんた、自民党に吸収してもろたらどうですか、ということになる。『古い政治に戻すのか』と自民党を批判してたのに、おおかたの民意に従って安倍さんに、と言うのでは、維新に入れた有権者はがっかりします。みんながみんな大勢に従う必要はないでしょう。主張があるなら言い続けなあかんのやないですか。やりやすい野党やなくて、てこずる野党にならな。それが議会制民主主義と違いますか」
――維新も含め、期待された第三極が伸びなかった点は、どう見ますか。
「維新も減税日本も未来も合流、抱きつきを繰り返し、主義主張もそのたびにあいまいになった。中でも第三極の先陣を切ったのに、石原さんが出てきてブレブレになった維新の責任は重い。2大政党の一つになったとみられた民主は、お試し期間が終わって、はいここから有料ですとなったら、あんたらいらんわ、となった。自民圧勝は、いかに他が情けないか、ということに尽きますね。ぶれなかったみんなの党が躍進したことが証明してます」
「しかし石原さんと、滋賀県知事で未来代表の嘉田由紀子さんは、第三極の中の勝者やと思います」
――と、おっしゃいますと?
「石原さんは、いずれ橋下さんと別れるでしょうが、あの人のことやから、きれいに別れないはずです。自分を守るために『あいつは何も分かっとらん』とか橋下さんのことムチャクチャ言うやろね。国政に議席を得て、子飼いの猪瀬直樹さんを都知事に据えて都政に院政が敷ける。以前より動きやすくなると思います」
「嘉田さんは近畿では知られていましたが今回、橋下さん並みのえらい大物扱いされて全国区になった。しかも未来の退潮は小沢一郎さんの責任であって、嘉田さんが悪かったことになってない。地元で候補者を立てず、滋賀県政界を巻き込まなかったのは国政進出を視野に入れた保険、というのが僕の見立てです」
――では橋下さん一人負けですね。
「維新は賞味期限切れです。身の置き場のない『元』何とかが集まって、まとまりも意味もない政党になってしまった。解体した方がいい。しかし橋下さんはまだまだ意味がある。橋下徹は一人しかいないんです。参院と大阪市長を兼務するとか意味不明のアホなこと言ってないで、次の衆院選に一人、無所属で出たらいい。当選したらあっちこっちの政党から引っ張りだこや。そこで政界をかき回したらいいと思います」(聞き手・秋山惣一郎)
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にしかわ・のりお 51年生まれ。70年、西川きよしに弟子入り。「ツクツクボーシ」などのギャグで売れっ子に。近著に「橋下徹はなぜ大阪で独裁政治ができるのか?」。=水野義則撮影