何気無く大切な一日が、かけがえ無く今日も過ぎてゆく 高橋忠史・多系統萎縮症と生きる・唄い屋。

難病の多系統萎縮症に侵されても音楽を諦めない男のライヴ報告や日々の思い・命のメッセージ

診断書の為に病院へ

2015年10月01日 19時41分57秒 | Weblog
健全な肉体に健全な精神が宿ると言われている。
日々不完全な肉体になっていくのは止められない。
健全な肉体を少しでも維持しようと努力する気持ちを萎えさせたら、一気に車椅子生活だ。
こけたら危ないと危険を回避する事ばかり気にしていると弱っていく、最善の注意をはらって転ばない筋肉をつけるために歩くのみ。

前立腺炎もやっと完治し、気だるさが消えたので自分を甘やかさない(基本的にナマケモノで甘えん坊なので)為にも朝の散歩は、よほどの事が無い限り休まない。
今日ぐらい休んでもいいか、と思った時から肉体と精神の弱体化が始まるはずだ。
唄い屋忠史として少しでも長く生きられるように、今出来ている全ての事を、あきらめない、やめない、なげださない、だから歩き続ける。

昨日は申告の仕方を聞きに市役所へ、そして必要書類の収入証明や住民票をそろえた。
書類をそろえるぐらい簡単な事だった、ついこの間まで。
書類を作ってもらう時に各課の窓口に提出するものに住所や名前を書き込むのだが、字を書くのが至難の技。
悔しいが、ちゃんとした字はもう書けない。
思ったようにボールペンを動かす事が出来ないんだ。
それでも何とかペンを運ばせる事は出来るので、時間を掛けてゆっくりと、どんなにとり散らかった文字であっても、読んでもらえるように全力で書く。
住所と名前を書いただけで汗がにじむほどバテバテに疲れる。
収入証明をとりに行った税務課の窓口の人は僕が書き終わるまで長い時間待ち続け、書き上がった時ほっとしたように
「ご苦労様。」
そう言ってくれた。
嬉しかった。
長く見続けてくれて、最後にねぎらいの一言をくれた。
まだ若い行政マンだったが、歳を重ねても、ただの事務的な行政マンにならずにいて欲しいな!。

今日も、病院の神経内科の窓口で診断書を書いてもらう為に、住所氏名を書かなくてはならなかったが、ここでも、とり散らかった字を、必死で書き終わった僕に受付の若い女性が
「ご苦労様。」
あー、今日も気持ちが優しくなった。
たった一言で僕の気持ちが優しくなる。
声を掛け合う事って大切ですよね。
もちろん、その後僕も
「ありがとうございます。よろしくお願いします。」
と言ってその場を後にした。

支払いがあったので、小平駅まで歩いた。
距離もあって、ずっと自転車道を歩いたので、大きな声で唄いながら歩いた。
すれ違う人がいてもかまわず唄い続けながら、ちょっと気恥ずかしかったが、ライヴが近づいて来たので本気を出してみた。
駅まで、歩みはのろいので30分ほど掛かった。
そのぶんしっかり声を出せた。
ろれつは確実に回りづらくなっている。
それが今の僕だ、全力で立ち向かうだけだ。

駅からの帰り、小雨が降り始めた。
僕の頑張りに空も涙してるぜ。

濡れないように気持ちは駆け足。
でも転ばないようにしっかり大地をつかんで、ゆっくり確実にあゆむ。
これからの人生のように。