@PAYASO

少しだけ更新再開してます(愚痴オンリー)

大人になってわかるラングの良さ。

2021年04月03日 | Life

銀河英雄伝の話です。

少し前にリメイクでテレビアニメと映画にもなりましたね。
僕は小説版は途中までしか読んでないのですが、アニメの大ファンで外伝も合わせて何度も繰り返し見ていた時期がありました。ひどい時は120話くらいある全話を見終えたら、即座に1話からとか。

そのくらい魅力的なアニメですね。

歴史とか社会のシステムを学にもよくできていて、民主主義とは何か?独裁政治とは何か?この辺りの理解への第一歩とするにはかなり優秀な教科書ではないでしょうか。腐敗した民主主義国家と最高の独裁者に恵まれた帝国。どちらが良いのか、悪いのか。どうしてヤン・ウェンリーはそれでも民主主義を選んだのか・・・なかなかによくできてると思います。

そんな銀英伝ですが、人の在り方についてもたくさん学べるのではないかと思いました。

もちろん、登場人物が多すぎるくらいに多い銀英伝ですのでその人の在り方も様々で、それぞれをピックアップしていけばいろんなパターンの人の在り方が学べると思います。今日はその中でも、

帝国元帥オスカー・フォン・ロイエンタールと、帝国文官であるハイドリッヒ・ラングの2人に焦点を当てたいと思います。

 

それぞれの人物を説明するとアホほど長くなるので、上級軍人と上級文官の話と思ってください。

ロイエンタールは武力、知力にも優れた優秀な軍人で元帥にまで昇格した。一方、ラングは文官って書いてしまったけど、政治犯や思想犯を取り締まる秘密警察を歴任している人物。帝国の体制が変わったのちも同様の仕事を続けていた嫌われ役みたいな人。

 

ロイエンタールは見た目も美しく、貴族としての振る舞いも華麗。その上軍人としては超一流で今の言葉を使えばレジェンド級とかそんな感じ。帝国側の主人公であるラインハルトの片腕と言ってもいい存在で、数多くの会戦で数多くの成果をあげるだけでなく、白兵戦でも活躍し、統治者として政治的辣腕も振るう。
優秀な人材なだけに、野心も強く持っているけどそれよりもラインハルトの配下としての道を誠実に歩んでいるイメージ。劇中ではそんな野心的な一面も垣間見せるところがあるけど、あくまでも独白でしか見せないので、せいぜい、親友のミッターマイヤーくらいしかロイエンタールのその1面を知らないみたいな感じ。

ハイドリッヒラングは上級大将以上しか参加してないとある会議で不用意な発言をして、ロイエンタールに、

「黙れ!下衆!」

と罵倒されてしまう。

YouTubeにアップされてる方がいらっしゃったので、少し拝借。

 

これを根にもったラングは後々、ロイエンタールを間接的に謀略にはめて死に至らしめる。

帝国より離れた場所にいたロイエンタールは、叛逆の恐れありという濡れ衣を着せられてしまい、どうにもその濡れ衣を晴らす方法はないし、矜持を捨ててまで延命をこうくらいなら最高の軍人である帝国皇帝ラインハルトと渡り合ってみせると、そのまま反乱の濡れ衣を着てしまった形で戦いに突入し、敗戦し死すのである。

 

ラインハルトは置いといて、キルヒアイス、ミッターマイヤーといった優等生的な提督達よりも、ちょっと悪で闇が深そうなロイエンタールはカッコ良いのである。そのロイエンタールを謀略にはめた、小物なラングは嫌悪の象徴みたいなものであり、とてもじゃないけど許せない存在となっていく(視聴者側はw)。

なんでロイエンタールほどの人間がラングごときにやられなくちゃならないんだ!!!

と。

 

・・・これは劇中でもナレーションで語られたことだが、

表(仕事など公人として)では、

華麗でイケメンで超優秀文武共になロイエンタールに対して、

秘密警察など嫌われる仕事をして、しかも小太りで禿げなおっさんのラング。 

 

でも、裏(プライベート、私人として)では、

女癖が悪く結婚もせずに毎晩のように女を取っ替え引っ替え。しかも、自分に恨みがある敵対貴族の生き残りの女を自宅に囲い込んで愛人とし、いつ殺されてもおかしくないような状況を作り何を考えてるかわからないロイエンタール。

それに対してラングは家族思いで愛妻家。しかも収入の多くを慈善団体に寄付をしていて、私利私欲のために仕事をしていたわけではない。地味でやつれていたけど、控え目な奥さんは自分の主人がどんな仕事をしていたかもわからず、温厚で優しいラングの死(ロイエンターの死の原因になったことから死刑となる)を理解できない様子。

 

それでもラングのやったことはあまりにも小さく、自身が馬鹿にされたことへの恨みだけで帝国に必要不可欠な人物を死に追い込んだ。これは許されることじゃない。

 

しかし、ラングという人間をもう少し見ていくと、貴族社会の中で秘密警察という嫌われ役をつとめながらも、あくまでも私利私欲ではなく職務に忠実。しかも偏見などを持たずにあくまでも公平に職務をこなしてきた実績を買われて、ラインハルト政権下でも職を任せられ、上級大将しか参加できないはずの会議の末席に座っているのである。

そして先に書いた、プライベートでの聖人君子っぷり。

確かに見た目は禿げでデブで小物感が半端なくて、あー、こいつ、絶対に嫌なやつ〜ってなるわけだけど、もしかしてすげー優秀なんじゃなかろうか。しかも、帝国随一の提督であるロイエンタールを罠に嵌めたわけだから(情勢的にロイエンタール失脚を望む人間がいたこと、ロイエンタールの野心を利用したこともあるけど)。

 

それに対してロイエンタールはミッターマイヤーに散々、私生活を正せ!と言われ続けられたにも関わらず、「悪い癖」は治るどころかエスカレートし、悪趣味極まるところまで至ってしまっている。

そして、確かに参加資格のないラングが会議上で余計な発言をしたというのもあるけど、

 

「黙れ!下衆が!」

 

なんて罵倒しちゃうのはないよね。
あくまでもアニメや物語の世界だし、命のやり取りに関わる会議であってもさ、大の大人を捕まえてそれはないよ。そんなの言われたら誰でもその人恨んじゃよね・・・

しかもラングはプライベートの良き父親、良き旦那像みたいなのは死後に明らかになったことであり、公私混同をしなかったし、秘密警察という仕事柄服務も厳しいわけで、プライベートでしっかりとその服務も守り続けたことになるんだよね。

物語上、主役級のロイエンタールの悲しい死というものをフィーチャーしなくちゃならないから語る必要はなく、ロイエンタールに死をもたらした悪役という立場も作らなくちゃならなかったから、小物ラング感が半端ないけど、よくよく考えてみれば、ロイエンタールが囲っていた女は立場上問題ありだったし(説明省きます)、常々、野心が強くいつ叛逆を起こすかわからない存在であったわけだ。
しかも優秀で、2人の主人公(ラインハルト、ヤン・ウェンリー)と互角に渡り合えるならロイエンタールしかいないんじゃないかってくらいの人間なので、ラングは国家叛逆の芽をつんだともいえるんだよね。

 

もちろん、物語を必死に見ていた10年前とか15年前にはラングは嫌いで嫌いでしょうがなかったのだけど、それより少し大人になった今ではラングって悪者なの?って疑問の方が大きくなってきている。

 

どんなに優秀でもプライベートに問題を抱えている人は火薬庫みたいなもの。

いつ発火、爆発するかわからない。今風に言えば炎上、しかも取り返しのつかない大炎上だろう。

ラングは仕事上で自身のプライドが傷ついたかもしれない。それを理由にロイエンタールを罠に嵌めたかもしれない。でも、この大炎上を未然に防いだという点では優秀だし、評価されるべき。

 

そして、仕事至上主義なのか家族至上主義なのかっていう話。

 

銀英伝の世界ではプライベートはあまり語られない。
ミッターマイヤーが愛妻家であることは彼の良さを引き立てているけど、その程度のもの。しかし、現代の世の中に置き換えたらどうだろうか。ラングみたいに家庭に仕事を持ち込まず、愛妻家で社会福祉にも熱心・・・こんな素晴らしい旦那さんはいないようにも思う。
一方、ロイエンタールは自身の血が呪われてるみたいなことは言ってるけど、次から次へと女性を関係を結んでいるのだからどこに隠し子がいるかわからないし、何人堕胎させてるかわからない(劇中、そんな描写は一切ありません)。そして最後は子供を残しこの世を去るのだけど、その子供だって、ミッターマイヤーが引き取ったからいいものの、下手したら孤児として悲惨な生涯を歩んだかもしれない。

 

クズはクズ!

 

とまでは言わないけど、やはり、英雄はプライベートも英雄でなければならないと思うのだ。

苛烈な向上心と野望を持つが故に女を知らないまま皇帝になってしまったラインハルト。学生時代の片想いを引きずった純愛のヤン・ウェンリー。不器用だけど人思いで愛妻家のミッターマイヤー・・・

彼らこそが英雄だよ、やっぱり。

僕はロイエンタールの野心的なところも好きで、銀英伝の中でも2、3を争うくらいに好きなキャラクター(1位のヤンは譲れないから)なんだけど、やっぱり女癖の悪さとか、生まれの悪さを呪うような生き方は好きになれないかもしれないです。
そういう嫌な部分も含めて、ロイエンタールであり、劇中では魅力的なわけですが。

そして、ラング。
今回はラングを持ち上げましたけど、公人としての器の小ささ、こればかりは褒められたもんじゃないし罪ですねw

 

さてさて、あなたの周りにロイエンタールはいませんか?ラングは?

できれば、ヤンやミッターマイヤーのような人とお付き合いしましょうね。


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