@PAYASO

少しだけ更新再開してます(愚痴オンリー)

花沢健吾の「アイアムアヒーロー」、単行本を買ったよ。

2009年09月01日 | I am a hero
 本日、ようや「アイアムアヒーロー」(花沢健吾)の単行本1巻を購入しました。


 週刊誌で連載を毎週読んでいながら、こんなに単行本1巻の発売が楽しみだったのは久しぶり。最近はどうしても、後々に評判を聞いてのまとめ買い(大人買い)とかになってしまう。「PLUTO」のように連載では読まずに単行本で読むというパターンは他にもあったけど、こうやって連載を読みながら単行本を1巻から購入するのは何年ぶりだろうか。これほど連載中に翌週が楽しみになり、そして後に単行本でまとめて読むのを期待してしまう漫画ってのはそうそう出会えない。まして、アラフォー一歩手前のおっさんなのである、わたしはw



 さて、単行本を読んでみてなのだけど、またのめりこんで読んでしまった。そして、以前の記事でふれた以上に、細かい所に事件の予兆が書き込まれているではないか・・・
 もちろん、当初のプロットから「事件」が起こることが想定されているわけで、読者が見逃してしまいそうな部分にその予兆を描くという手法は可能なことだろう。でも、メインの部分、つまり、読者が注目するであろうこの物語の主題の部分が面白く、完成度が高いためにどうしても「事件の予兆」を見逃してしまう。そして、あの「世界の変化」に度肝を抜かれるのだろう。単行本では予想通り、例の徹子の化け物化の回で終わっている。これまた当初から予定されたことであろうけど、なんて見事な作りなんだと関心してしまう。連載を読まずに単行本が初見という読者にとっては第2巻が待ち遠しくてしょうがないことだろう。


 さてさて、僕が単行本を読んで改めて驚いたという事件の予兆を箇条書きでまとめておきたいと思う。



 ・第1話:帰宅し食事をする英雄の部屋で流れるテレビにて、「特養老人ホームで火災、12(13?)人死亡」の見出し。

 ・第1話:同じくテレビにて、「土佐犬が(に)噛まれて重体」の見出し。

 ・第1話:テレビ放送が終了し、英雄がラジオをつけると特養老人ホームの火災のニュース。入居中の84歳の男性が放火か。

 ・第2話:英雄が目覚め直前(英雄、10時50分頃起床)のテレビにて、老人ホーム火災のニュース。放火したと見られる老人の遺体にはヤケド以外の・・・

 ・第2話:松尾先生(英雄がアシスタントについている漫画家)の家のテレビにて、18時のニュースで広島県で35歳の男性が小学校3年生の女の子の頭や腕に噛み付いき怪我をさせて逮捕されるというニュース。

 ・第3話:徹子の部屋で英雄が語っている後ろで流れるテレビのニュースにて、「大衆浴場(?)で乱闘、5人怪我」の見出し。

 ・第3話:同じくテレビにて、「逃走中の男に警官が発砲」の見出し。

 ・第5話:御茶ノ水駅周辺にてマスクをする人を多数描写(インフルエンザ流行中の模様。多分、それ以外もという意味がありそう)。

 ・第5話:超学館オフィスにて、超学館週刊ストリップ編集部にてインフルエンザが流行。5人が感染。

 ・第5話:英雄、超学館からの帰り道、横断歩道を渡っているとき、インフルエンザらしき話題を通行人がしている。「マスク多くね?」「強毒性のウィルスは宿主が死ぬから、あんまり広がんないんだって。」「でも、そのウィルスは違うらしい。」

 第5話:同じく帰り道、小学生が、「3組の山ちゃん来ないねー。」「ケガ?」「なんかぁ知らないおばさんにかまれたんだって。」

 ・第6話:松雄先生の仕事場にて、三谷がみーちゃんに、「夜道あぶないから家まで送ってあげるよ。」そして、断られると、「かまれちゃうぞぉ。」と発言。

 ・第6話:英雄、松雄先生の仕事場からの帰り道、タクシーの人身事故を目撃。被害者、運転手に危害を加え、後に首を後ろに曲げてその場から去る。(すんません、以前のブログの記事では、徹子の部屋に向かう道中と書いてしまいました)

 ・第7話:松尾先生の仕事場にて、超学館の担当者と連絡が取れなくなる。カズさんという担当は英雄の担当でもある。

 ・第7話:同じく仕事場にて、松雄先生が英雄に「英雄くんさぁ最近、こう・・・何かへんじゃない?」と発言。

 ・第7話:同じく松雄先生の仕事場にて、テレビのニュースで英雄が目撃した人身事故のニュース。被害者女性は行方不明。

 ・第7話:同じく松雄先生の仕事場にて、松雄先生が、「なんかさぁもう締め切り来ない気がするわ……」と発言。

 ・第8話:英雄、合コンからの帰宅途中(徹子の部屋に向かう途中)の石神井公園駅にて警察官多数。

 ・第8話:徹子の部屋にて、徹子が人身事故が起きた大木の近くで小学生くらいの女の子に飛びつかれた話をする。腕に絆創膏3つ。

 ・第8話:徹子の家の外にパトカー。

 ・第8話:徹子の部屋のテレビで、厚労大臣が緊急入院というニュース。

 ・第8話:徹子の部屋から帰る英雄。パトカーがまだいる。

 ・第10話:松雄先生の仕事場に向かう英雄。救急車が通る。

 ・第10話:松雄先生の仕事場にて、松雄先生の左目が充血。毛細血管ぽいもの浮かんでいる。

 ・第10話:同じく松雄先生の仕事場にて、松雄先生、どこからか出血。手についた血を見て笑う。松雄先生は、初登場の第2話からずっと体調が悪そうな描写。仕事疲れだけではなさそう。

 ・第10話:同じく松雄先生の仕事場にて、夜食を買いに行って帰ってきた仕事仲間が、「なんか警察がやけに多いですね。何か事件とかありました?」

 ・第10話:同じく松雄先生の仕事場にて、テレビのニュースで「厚労大臣安否不明」という見出しと、「…臣の病棟で銃撃戦」という見出し。

 ・第10話:同じく松雄先生の仕事場にて、三谷がみーちゃんからメールが来ない。返信があっても「了解です。」の4文字だけという話をする。

 ・第10話:同じく松雄先生の仕事場にて、バスルームにみーちゃんの死体らしきもの。目が充血、死体らしきものの上にはダンベル、足に包丁がささっている。また、連載時には充血したみーちゃんの目の描写のコマに、「ぎょろり」という擬音があったが、単行本ではカットされている。

 ・第11話:徹子、化け物化。

 ・おまけ:各話のサブタイトルが少し変わっています。第10話のみ「臨界」というタイトルがついているのに対して、他の回にはタイトルがついていません。第11話もないんだよね・・・

 ※テレビやラジオの描写は一部文字を補っています。



 いや~、こんなにも「予兆」が描かれていたとはw

 改めて分かったことなんだけど、英雄は新聞をとってないし、テレビやラジオもBGM的に流しているだけで(自室、職場ともに)、ニュースを目にしてないんだよね。多分、予想するには、世の中的にはどうにもきな臭い事件が起こっていることを少しずつ感じていると思われる。ニュースに触れることがない英雄や仕事仲間、徹子にとっては気にならない程度のニュースなんだろうね。
 読者がメインストリームを追いかける中で、ノイズ的に入ってくるこれらの「予兆」って、やっぱしそのまま流してしまう情報ばかり。もちろんそうじゃないものもあるけど、単発で記憶に残っても大事件へとはつながりにくい。つまり、読者はまんま、劇中の英雄と同じ体験をしたことになるんじゃないかと思う。
 単行本となると、立ち読みじゃなく購入して読むことになる。そうすると、読み返すことによってこの「予兆」を拾うことが出来る。でも、それが週刊誌の連載となると立ち読みですませるという方もいるだろうし、僕のようにちゃんと買っていても数週分を残して捨ててしまうわけで、第11話で事件が起こってもせいぜい数週分しか遡ることができないんだよね。

 そうなると、いったいこの漫画に何が起こったんだ!って感じが強くなるわけだ。単行本で初見の方も連載で読んだ方も、ある期間はそう思い、感じるわけだよね。


 でも、第11話で英雄と同じ体験をし、時間を共有するものの、その後は単行本などで情報を入れられるので、その後は同じ体験をするというのは難しい。そこで必要になるのは、「もし自分が英雄だったら?」という想像力になると思う。もし自分が英雄で、変貌した徹子が自分へと向かってきて、そして、襲われたら・・・?
 

 スピリッツでは単行本以後の事が少しずつ描かれ始めている。しかし、まだ事件の全貌は見えてこない。連載を読んでいない方もいらっしゃると思われるので、あまり詳細はかかないが、花沢氏は事件が勃発した後も丁寧にリアルに描いていらっしゃっている。
 怒涛の展開が続きすぎるのではなく、よりリアルに・・・というところが好感がもてるし、ますます今後の展開に期待してしまう。もし、そんな展開にイライラしたら、先ほどの僕の言葉、「もし、自分が英雄だったら?」を思い出して欲しい。その視点で、想像力をもって読んでみると、いかに花沢氏がうまく英雄の心情を描いているか分かると思う。もちろん、これは僕の感想だし、今後どうなるかはわからないわけだけど。


 いや~、やっぱし面白いです、この漫画。