発行人日記

図書出版 のぶ工房の発行人の日々です。
本をつくる話、映画や博物館、美術館やコンサートの話など。

のぼうの城 

2012年10月11日 | 映画
「のぼうの城」試写会 明治安田生命ホール
独立は、昔から小国の、現代においては、超大国を除くすべての国家の、いわば永遠のテーマである。
 ときは戦国末期。豊臣軍は、全国統一すべく小田原攻めを開始。支城である忍城も、戦いに巻き込まれることになる。
「北条にも関白にもつかず、今まで通りに暮らすわけにはいかんのかなあ」
 城主は小田原城にいるが、豊臣側と密通しており、留守を守る人々は、豊臣軍が来たら降伏するように聞かされていた。城代たる父は倒れた。成田長親は軍使にナメられた態度をとられたため、決断する。
「戦いまする」
戦わずして強者の属国となることではなく、戦うことを選んだ誇り高き総大将。ただ、その成田長親、でくのぼうの「のぼう様」と領民に呼ばれていた。腕ききの家老、知恵自慢の家老は他にいたのに、何とも間抜けな「のぼう様」。でも、人気だけはあった。
 迫る石田三成の軍勢は2万、こちらは500人。相手の圧倒的戦力に対してどう戦うのか。
 主演の「のぼう様」こと成田長親は野村萬斎。
 大迫力の戦闘シーンもあるし、期待どおりの野村萬斎ショータイムつきである。麦踏みや田植えの歌&踊りも楽しい。2時間25分が、あっと言う間である。
 音楽は上野耕路。ハルメンズとか、戸川純とゲルニカをやってた人、と言ってピンと来なくても、キユーピーのたらこパスタソースの歌なら誰でもわかると思う。あの歌を作曲した人なのです。
 公開が一年遅れたのは、水攻めシーンが津波を連想させることへの配慮である。

 かの『沈黙の艦隊』の最終巻で、主人公の海江田四郎も「独立せよ」と、言っていたではないか。独立とは……と、考えながら中洲の町を後にした。

新しい靴を買わなくちゃ 試写会

2012年10月02日 | 映画
「新しい靴を買わなくちゃ」試写会、ユナイテッドシネマキャナルシティ13

 山口に行くので、観に行けないと思ってたら、思いのほか早く用が済んだ。バッグの中に招待券が入ってて良かったわ。博多駅からそのままキャナルシティに出掛けた。
 
 あまりネタバレはしておりませぬ。

 パリにひとりで住んでいる。友達もいる。仕事もある。家もある。だけど、ぽっかり心に穴があいたままで動けなかった彼女がその場所から歩き出すための新しい靴についてのお話。

 女性の方がだいぶ年上らしい、というだけで、具体的な年齢の話は出て来なかったけど、リアルで中山美穂は42歳、向井理は30歳。たぶんそれくらいの設定なんだろうな。さすが電通、向井理と綾野剛を持ってくるところ自体、メインターゲットは朝ドラ好きの奥様ね。あと、おひとりさまにもこのヒロインはシンパシーが得られるだろう。
 
 折れたヒールをアロンアルファで接着するところなど、鼻緒が切れて困っているところに、若侍が通りかかり「お女中、どうなされた?」、それが恋のはじまりという時代劇のテンプレートを思い出したでござるよ。

 ラブストーリーに、 NHK世界ふれあい街歩きのようなリアリティがプラスされ、おしゃれ雑誌の旅行記事のような味付けがしてあって。
「特集 パリ在住マダム中山美穂が案内する、旬のパリ」
「ポペリーニに夢中なの」「ショコラティエで見つけた可愛いイースターエッグ」「ロマンティックなセーヌ河下り」「パーティーには大きなキッシュを焼いて」「ホテルもタクシーも、英語で楽勝」「個人旅行でありがちな失敗、宿泊先のメモは肌身離さず!」と、雑誌の見出し的文章が脳内にポンポンと浮かんで来るわけ。
 ともかく、実際に行ったようになれる仕掛けがしてあるのです。中山美穂がパリの街をガイドしてくれて、向井理がスクランブルエッグを作ってコーヒーをいれてくれますよ。

 ともかく、パリへ行きませう、恋しませうという映画でした。どれだけ感情移入できるかは、常日頃からの向井理に萌える度合いに比例すると思います。
 中山美穂が酔っぱらったりしますが、登場人物たちは、基本慎み深くお行儀の良い人々ですので、安心して鑑賞下さいませ。
 それから、向井理をパリに連れて来た妹(桐谷美玲)の物語がおまけについております。まあ、最初の方で、相手の男(綾野剛)を見ただけで結果は読めますが。がんばれ、妹、えらいぞ、妹。

 だが、私がこの映画を鑑賞してその気になってパリに行き、たとえ向井理のパスポートを踏んづけて転んだところで、迷子の向井くんを助けてはあげられないわけですから。この映画のパターンでの恋は絶対にはじまらない。
 それに、折れそうなヒール履いてたのは、身長163センチで9号の服を着ていた時代のことだわ(遠い目)。まず、体重をへらさなくちゃ。


美しい日本の白い疑惑

2012年09月13日 | 映画
「疑惑」DVD 松本清張原作 1982年の映画である。

 ある夜、埠頭からダイブした白いクラウン。
 死んだのは初老の富豪。無傷で助け出されたのは若い後妻。
 これは事故なのか?
 後妻の球磨子は、社会の底辺を生き抜いて来た前科つき女。態度もふてぶてしく(桃井かおり、巧いよね、こういう役)、保険金殺人の容疑がかけられる。
 彼女が運転していたという目撃証言が現れる。座席からスパナが見つかる。
 状況証拠は何も球磨子に味方しない。誰もが彼女を悪く言う。  
 マスコミも、彼女を犯人扱いしている。
 そういうわけで誰も弁護人になりたがらない。やっとのことで決まった国選弁護人は、スーツの似合うクールビューティ、佐原律子。30年前の岩下志麻である。
 主に刑事裁判の法廷で映画は進む。
 実に面白い映画だが、この映画を心から楽しめる人は幸いである、と、自戒と皮肉を込めて書いている。冤罪がどうやって作られるのか。
 球磨子のような不良少女あがりの女性ばかりでない。
 松本サリン事件を思い出せば、清廉潔白かつ穏やかで見た目も良い人物であっても、マスコミで叩かれ犯人扱いされることがあったではないか。
 冤罪は他人事ではないんだよ。

白雪姫と鏡の女王

2012年09月04日 | 映画
 白雪姫と鏡の女王、試写会。ユナイテッドシネマキャナルシティ13

 もちろん元話は、かの有名なグリム童話。悪いお妃が、しまいには火の靴で踊って死んでしまう怖いお話も子どもの頃に読んだし、ディズニーの歌って踊る白雪姫「いつか王子様が」の歌も有名だ。
 留守番をしているときにやってくる怪しい訪問販売業者には気をつけろという教訓を幼な心に刻み込んだものである。

すてきなおとぎの国。
 カワイイけど眉濃ゆ過ぎの白雪姫。
 継母女王様は、パーティーと称して人間チェスをやってる暴君。財政危機につき、裕福な国の年下王子と結婚して問題解決しようと目論む。7人の小人もギャングでいきなり追い剥ぎ行為を行う。
 ともかく、戦う白雪姫。場合によっては王子とも戦うこともあるぞ。
 そういうわけで、期待通りの毒入り白雪姫映画でした。

おしゃれで胸キュンな企業再生ファンタジー? ひみつのアッコちゃん平成実写版

2012年08月25日 | 映画
「ひみつのアッコちゃん」試写会、西鉄ホール。
 ポスターでは、岡田将生と綾瀬はるかが背中合わせに立っている。
 小学生が、大学生のお姉さんに変身して恋をしても、いつかは小学生に戻らなくてはならないのだから、これは実らない悲しい恋のお話なのかしら、と思いながら西鉄ホールに向かう。
 コスメフリーク予備軍の小学生が、魔法の変身コンパクトを手に入れての大冒険。
 大人に変身したアッコちゃん=綾瀬はるかの衣装がかわいい。
「お買い物中毒な私」(ショッパホリックの多重債務者が自助グループに参加して立ち直るという地味な話を、ラブコメディーに仕立てた映画)以来のカラフルおしゃれ映画である。
 容姿・服装における完璧な変身が可能であれば、あらゆる犯罪が完璧に遂行できる。自分ではない誰かになるのだから、殺人だって可能だが、アッコちゃんは、とりあえず、詐欺とスパイを行う。ただ、中身が小学5年生だから、あちこちでボロを出す。
 アッコちゃんが変身した大人たちが大笑いさせてくれる。
 で、岡田将生演じるところの、化粧品会社の若手有望社員、早瀬尚人に軸足を持ってくると、これは企業の再生物語なのである。
 企業乗っ取り、工場リストラ、議決権争い、紛糾する株主総会、新技術の軍事転用、あれ? これって、かの経済ドラマ、腐ったこの国を買い叩く「ハゲタカ」(テレビ版。すっごく面白いからレンタル鑑賞を推奨)とかぶる。大杉漣出てるし。
 でも、この映画は、アッコちゃんが主役だもんだから、大活躍するんですね。なぜか企業再生の切り札となるのです。そして、最後に彼女は、大好きな人たちを守るために、ある決断をするのです。
 
 実らない悲しい恋のお話かと思いきや「そうきたか!!」という結末。恋がどうなるかは不明だけど、幸せ気分になれる映画でした。
 がんばって働こっと思う映画はいい映画だよ、きっと。

 今月鑑賞したほかの新作について
 「フェアリーテイル劇場版」
 主役が「ワンピース」の類似品っぽいことに目をつぶれば、まあまあ楽しかった。たぶんコミックを読んでいればもっと楽しいのだろうけど、読んでないので。
 「放課後ミッドナイターズ」
 いかにもCGアニメっぽいCGアニメ。冒頭のオープンキャンパスのアナウンスが、福岡市営地下鉄ホームで流れる飲酒運転撲滅放送と同じ声、福岡市長である。

海猿 THE BRAVE HEARTS

2012年07月03日 | 映画
 海猿 THE BRAVE HEARTS試写会、都久志会館。
 
 「海のもしもは118番」の、海上保安庁全面協力。なにしろ、このシリーズが始まってから、志願者が増えたそうですから。そういえば、何年か前、博多港に、海上保安庁の巡視船の一般公開に行くと、伊藤英明の着たウエットスーツなんかが展示されてました。そのときのBGMに、ずっとかかっていたのが、この映画の音楽。作曲は「ハゲタカ」(名曲多し)とか「K-20 怪人二十面相」(ワルキューレとスーパーマンを混ぜたようなかんじの、元気の出るオープニングタイトル曲)、「三丁目の夕日」シリーズと同じく佐藤直記。

 シリーズ4作め、仙崎大輔(伊藤英明演じる主役)という人が、海上保安庁に入って、まず潜水士になり、いろいろ活躍して、精鋭集団=特殊救難隊に入った、というところからが、本編である。海上保安庁の潜水士は精鋭だが、羽田にある特殊救難基地に所属する人々はさらにその上の精鋭なのだ。ちなみに、羽田特殊救難基地は1975年発足で、まだ、ひとりも殉職者は出していないそうだ。
 さて、映画。
 ジャンボ機の左エンジンが飛行中に炎上。着陸しようにも片側の車輪しか出ない。日没の時間が刻々と迫る。海上着水しか選択肢はないが、1時間以内に誘導灯ブイを海上に敷設しないといけない。無事海上着水したとしても20分以内に救助を完了しないと、水深60メートルの東京湾にジャンボ機は水没してしまう。誰ひとり死なせないで救助できるのか。時間との戦い。息を呑むプロジェクトX。海上保安庁、消防、警察をはじめとした、あらゆる関係者が総力を結集して、全員の人命を救おうと奮戦するという物語である。もちろん、仙崎大輔大活躍で。
 こういう、ファイト一発系映画は、やはり劇場で鑑賞したいものです。
 先日の「愛と誠」で、蔵王権太を演じ「狼少年ケン」を歌い踊っていた伊原剛志が、仙崎の上官役で出てるし。

 安全なところにいては人の生命は救えないという職種について思いをめぐらせながら帰宅。

 伊藤英明主演映画といえば、「この胸いっぱいの愛を」(←タイトルが恥ずかしくて映画館に行けなかった人、行っても恥ずかしくてチケットが買えなかった人は多いのではないかと。でも、一家で鑑賞できてシアワセ気分になれる良映画なのでDVDレンタルをオススメします)、「スキヤキウエスタン・ジャンゴ」(←この世界は、意見が分かれると思う。キャストが豪華。なぜか全編英語の日本映画(………)ですが、人が死にまくるので、その辺が苦手な方はとりあえず避けましょう)だとか。後者は、めっぽう強いガンマンですが、前者のは、フツーの男の人の役です。

「愛と誠」試写会 暴走する純真、ちぐはぐな愛

2012年06月07日 | 映画
 週刊少年マガジンを購読していたわけではないが、それでも、「愛と誠」くらいは知っていた。第一次オイルショック当時の日本を風靡していた。
 原作の梶原一騎氏は亡くなって久しいけど、作画のながやす巧氏の画力は健在である。浅田次郎の「鉄道員」「ラブ・レター」をコミック化したものを最近読んだ。映画よりいいかも、という良漫画である。寡作なのは、アシスタントを一切使わず、ひとりで描いてるからなんだろうな。

 そういうわけで愛と誠試写会。都久志会館。
 映画館でやってた予告編がツボにはまり、ぜひ鑑賞したいと思っていたのである。三池崇監督。「スキヤキウエスタン、ジャンゴ」のような、豪華ハチャメチャ映画を期待して、都久志会館へ向かう。
 時代設定は1972年。
 信州から上京してきた大賀誠(妻夫木聡)は、東京の不良にからまれ、いきなり、西城秀樹の「激しい恋」を歌いながら踊り出し、ケンカをはじめる。なぜだ。
 たまたまそこに居合わせた、純真なお嬢様の早乙女愛(武井咲)は、幼い頃自分を助けてくれた白馬の王子様(誠)との再会に、彼をまっとうな人間にさせるという、ある意味傲慢な使命感を持ち、暴走をはじめる。純粋培養の令嬢は、向かうところ敵なしである。
 誠を住まわせるために用意したアパートは、つげ義春的経年木造リアリズム仕上げなのに、キラキラのシャンデリアが輝き、重そうな織のカーテンがかかる。
 早乙女愛のためなら死ねると言ってはばからない岩清水弘(斉藤工)は、早乙女愛の男版である。宅八郎を思わせるワンレンヘアで、完全に3の線である。誠を愛が追いかけ、愛を岩清水が追いかける。上品な名門高校から悪の花園と呼ばれる高校への転校などものともしない。倒されてもめげないターミネーターさながらである。そういえば、あの時代は、ストーカーという言葉はなかったなあ。
「あの素晴らしい愛をもう一度」「空に太陽があるかぎり」「オオカミ少年ケン」「夢は夜ひらく」「酒と泪と男と女」「また会う日まで」と、昭和歌謡オンパレード。しかもフルコーラス。しかも多くは踊りつき。
 あと、オリジナル曲が何曲か。
 愛のお父さん役の、市村正親は、劇団四季全開で突っ走る。お母さん役の一青 窈も歌って踊る。この人、お笑い系の人だったっけ? 
 誠の母(余貴美子)は、過剰な哀しみをふりまきながら歌う。悪の花園こと花園実業高校の最凶の裏番、高原由紀(大野いと)のナイフも宙を舞う。
 原作では、誠が最後に死ぬ話だと記憶していたが、この映画だと、死んだのかどうかよくわからない。大ヒットしたら続編を作りたいという制作側のスケベ心を感じた私である。

 バイオレンスシーンが多いので、ノスタルジーに浸りたい大人が、子供や孫を連れて行くというのはよしといた方がいい。
 愛とはちぐはぐなものだよなあ。と、つぶやきながら帰途についた次第。

 でも、武井咲がかわいいので、それだけでも見に行く価値はある。今演じるなら、武井咲を置いてはいないと思う、と思わせる演じ方に成功している。
 「あの素晴らしい愛をもう一度」を、パパイヤ鈴木の振り付けで歌い踊る姿と、乙女三段ストレートロングの髪型は、全国の女子中高生に流行するといいなと思っている。
 

宇宙兄弟

2012年04月26日 | 映画
 宇宙兄弟試写会。都久志会館。

 宇宙飛行士になって月に行く弟と、時を同じくして宇宙飛行士の採用テストを受ける兄の物語である。あまり内容にふれないので見たい人は安心して読んでね。

 宇宙開発にお金をかけるよりも、地上の生活を充実させた方がいい、という意見は、先年のいわゆる事業仕分けのときに語られた。結果、都内にあるJAXAの広報施設が閉鎖になった。嘆かわしいことである。なにしろ、宇宙開発には、日本の命運がかかっている。その成否が、日本を独立国たらしめるかどうかを決定するといっても過言ではない。
 おお、大上段に構えて、何を言い出すのか、エンドー?
 
 さきの戦争は、資源収奪戦争だったわけで、その点では問題は戦前から全っ然解決していない。もしも、資源収奪の絡む国際紛争なり戦争なりが起きたら、わが国の脆弱さったら半端ない。70年代のオイルショックで、パニックが起きたというのは、そういうことだ。
 そう思えば、石油石炭より燃料の「もち」がいい、程度のメリットしかない原子力発電よりも、太陽光なり地熱なりの、自前でできる発電方法の開発に、時間やお金をもっとかけて、さっさと現実的な実用化をはかるのが、真の防衛というものだが、あれこれ利権が絡む原子力発電の方が先に推進され、その結果がこのていたらくである。
 さて、太陽光発電は、宇宙で行えば効率が良い。発電衛星を打ち上げ、宇宙で発電して電磁波なりレーザーなりに変換して地表に送り、それを電気として使う計画がある。2005年、福岡で開催された宇宙フェアで、JAXAの人は、発電衛星を2030年までに実現化したいと、言っていた。発電コストが原子力や化石燃料と競合できるところまでいったら実現する、ということだった。今も研究は続けられている。
 当時と今の状況はまったく異なる。原子力発電が頼りにならないことがはっきりした以上、早く実現してほしいものだ。 コストのハードルも低くなってることだろうし。

 その2005年宇宙フェアでは、若田光一さんの講演を聞いた。宇宙飛行士がなぜ人気者であるのかがよくわかった。ただ宇宙へ行く人、行った人、ということではない。子ども達の、どんな質問にも、適切でわかりやすい言葉で受け答えしているところで確信した。
 宇宙飛行士とは、知識技術体力は当たり前として、それを越えた、人格面、とくにコミュニケーション能力に卓越していて、つまりは完璧に近い。完璧であることは、魅力的なことだと思い知ったのだった。逆からいえば、人として魅力的でないイヤミな優秀さは、真の優秀さではないのである。
 優秀な人はもっと増えていいし、そういう面での優秀さを目指すのはいいことであると思う。

 方向性として、宇宙飛行士を目指す子どもが増えることは、世界を救うと思うようになったのである。

 事業仕分けで、都内のJAXA広報施設を閉鎖したことは、ふたつの点で間違っていたと思う。
 宇宙開発こそ、わが国の未来を救うものであることを知らない。(あまり声高には言えないのかな、日本の完全自立を望まない向きもあるだろうからね)
 宇宙飛行士を目指す子どもたちが増えることこそ、日本の技術力を底上げし、社会を明るくするものだということへの認識が足りない。

 ともかく、宇宙兄弟。明るい気分になる映画でした。

センター・オブ・ジ・アース2 神秘の島

2012年03月27日 | 映画
センター・オブ・ジ・アース2 神秘の島 試写会 Tジョイ博多

 ステキな遺跡があって、でも生態系がめちゃめちゃな離れ島は、そのうちに沈むので早く脱出しないといけない。ヘリコプターは、島に来るときに壊れてしまった。さあどうする? とまあ1時間半の遊園地なわけです。大きなトカゲは、ジュラシックパークで見た恐竜に似ていて違和感はない。中型犬くらいの象が出てきて、これなら、テレビ富豪刑事の神戸美和子ならずとも飼えるような気がする。蜂に乗って飛行するのは、3D映画の本領発揮といったところ。ともかく3D料金追加する価値は十分にあります。ドラえもん映画を見に行くと必ず寝てしまう、そんなご両親にオススメの、親子で楽しめる映画です。

 私の記憶が確かならば、私がはじめて3DのCG映像を見たのは、1989年、よかトピア=アジア太平洋博覧会のことだ。1985年のつくば科学万博のために作られたものを、福岡に持ってきたんじゃなかったっけ。つくばでは人気パピリオンで見られなかったものを百道浜で見たような。
 それから、九州エネルギー館でも3Dシアターが常設されるようになり、今では家庭用の3D装置も売ってる。
 今後、ファイト一発系映画はどんどん3Dになるんだろうな。
 

マリリン7日間の恋

2012年03月16日 | 映画
マリリン7日間の恋試写会。 イムズホール。

 イギリスはロンドン、映画の仕事がしたい青年コリン・クラークくんが、ローレンス・オリヴィエの事務所に日参し「サード」と呼ばれるアシスタント・ディレクターの職を得た。今の日本の俗語でいうところの「パシリ」である。
 おお、これが産業分類で著名なコリン・クラークの若かりし日か? と思ったら、そうではなく、同姓同名の実在の人物。
 まだ日本語ウィキペディアに載ってない(経済学者はコーリン・クラークで載ってる、英語の綴りは同じ)けど、そのうち載ると思う。
 コリンくん1957年当時23歳は、イギリス貴族の家に生まれた人で、お城みたいなお家、ではなく、たぶん本当のお城のお家が出て来る。
 英文ウィキペディアによると、お父さんは、美術史家、お兄さんは保守党政治家で戦史家。本人もイートン校(本編に出てくる。青少年の団体が日常昼間っからホワイトタイで黒のテイルコートを着てる!! 制服ってことは毎日着ているのだ。何のオーケストラの休憩時間かというようなシュールさだ)からオックスフォードのクライストチャーチカレッジ(階級社会UKの最上層セレブさんたちの行く学校らしい)に進み、そして1951年から1953年までは、空軍パイロットとして兵役についていた。このあたりは、ウィリアム王子を彷彿とさせる。自称「良家のできそこない息子」とのことだが、ご謙遜を。お父さんが言うには「いつでも美術館に就職口がある」羨ましいコネがある恵まれた環境だが、自分の好きなことを切り拓いて仕事にしようとしてた。
 で、映画ビジネスは、お城育ちが全く役に立たない世界だということもちゃんと知ってるから、コリンくんは、がんばって使い走りの雑用係をする。ハリウッドからの一行の宿舎を借りる手続きをうまくやってのけて、正式に採用される。つまり給料が出るようになる。
 マリリン・モンローを励ますことも、もともとその「パシリ」仕事に端を発するのだったけど。
 どんな恋かは本編をご覧下さいませ。
 映画が、社会に出ての最初の仕事だった。あと、ずっと映画やテレビの仕事をして2002年に亡くなった人である。

 はじめてマリリンについて読んだのは、月刊プレイボーイ日本版だったか、お手伝いさんの証言、みたいなものだったように思う。
 マリリン・モンローは3度目の結婚をし、輝ける人生の最後の6年に入ったところ。すでに名声を手に入れ、主役のオファーが次々に来る。ロンドンでの撮影のためにやってきた彼女。30歳のマリリンは輝くばかりに美しい。
 納得できない台詞は覚えることができない。プレッシャーに押しつぶされそうになりながら、必死で生きている。周囲の人は、彼女を励ますが、それは仕事を進行させるため。そんなことはわかりきってる。人々に囲まれながら、絶望的に孤独。欲しいのは無償の愛や友情。
 叶うはずもないコリンくんの恋心だけど、でも、羨ましいぞ。