発行人日記

図書出版 のぶ工房の発行人の日々です。
本をつくる話、映画や博物館、美術館やコンサートの話など。

『「二系民族説」でよみとく金印の謎』

2021年02月21日 | 本について
 ◆『「二系民族説」でよみとく金印の謎』販売中

金印は筑前国の志賀島で発見されたとされる。 読みや由来、真贋について多くの研究者が各論を展開してきた。1892年に三宅米吉が金印に刻まれた「漢委奴國王」の文字を「かんのわ(倭)のなのこくおう」と読んだのが定説となり、その後はそれをスタート地点として金印をもらった「わのなのくに」はどこかという論争が多く展開され続けている。 後藤氏は日本人がいわゆる縄文と弥生の二系民族であると考えれば金印を含めた先史的事象の謎が解けるのではないかと閃いた。
 そもそも金印を受贈された「漢委奴國王」の「委奴」とは、 文字を持たない人々(古代日本側)が話していた自分たちを指す単語を、表音記号としてあらわしたものなのではないか。ならば、漢から命名されたと思われる「したがう」 「遠方」という意味合いを持つ「倭」の国からいったん切り離して考えるのが筋なのではないか。
続く。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アラームがうるさい

2021年02月21日 | 昭和のおもひで
私の耳の中で鳴る警告音が
あまりにうるさいので
せめて半径五メートルに
人がいないときにはマスクをはずす

私は自粛しない
沈丁花が木犀が
どの庭から薫ってくるか
二酸化硫黄の粒子は
どの風に混じっているのか
不完全燃焼から生じる毒ガスが
どこに溜まっているのか
測定する野性を自粛しない

あなたが怖がる以外の理由でマスクはしない

自粛することは
あるかもしれないが
放棄はなしだ

自粛しなくていいものを
自粛するのは放棄だ

細胞に組み込まれた生存への危機管理に従えば
答えは導かれる

計測せよ
あるいは
感じろ
五感六感のデータの
解析を止めるな
他の者に考えさせるな
さもなくば
自らの手足を縛れと
差し出すことになる

疑問を持つことを
笑うことを
愛することを
考えることを
発言することを
私は放棄しない
自分から
囚われの身になることは
断じて
選ばない




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

新刊『月形洗蔵 薩長連合その先駆者の生涯 』

2021年02月07日 | 本について
月形洗蔵 薩長連合その先駆者の生涯 』
 元治元年十月、筑前藩主黒田長溥による長州周旋の続行が決まる。長溥は月形に対長州工作の指揮を命じ、それは後の薩摩長州連合の嚆矢となる。三条実美ら尊攘五卿、高杉晋作、西郷隆盛、木戸孝允、土方久元、中岡慎太郎、早川勇、渡辺昇、野村望東尼ら多くの人々との関わりにより全ての礎となるも、慶応元年の「乙丑の獄」により筑前勤皇党は壊滅、月形は謹慎、九月入牢、十月に斬首となる。「薩長連合」の正史を知る一冊。

 A5判 上製 304頁+巻頭カラー口絵
ISBN978-4-901346-68-9 定価 本体3,000円+消費税
令和3年2月より、順次配本開始。

 もう12年になるのか。小社「九州文化図録撰書(街道シリーズ)」の『筑前維新の道』を上梓したのは。当時から「幕末から明治維新の話に、なぜ長州や薩摩でなく福岡?」と言われることは少なくなかった。薩長連合のためにどんなに筑前の人々が尽力したかを知っておいて欲しい。その後、花乱社から、谷川佳枝子氏による『野村望東尼』を出版。また、太宰府天満宮宝物殿で太宰府幕末展が開催され、それにつれて、徐々に売れていった。
 京都の二度の政変で決定的になった長州薩摩の間の亀裂を修復しようと尽力したのは筑前藩主の命で行動した月形洗蔵を中心とする筑前勤皇党の藩士たちである。
 この本は福岡に軸足を置いて活動した月形洗蔵を中心に追った伝記である。膨大な一次資料を分析して執筆された力作である。巻末の年表で月形に関わる人々と動向を見ていただくだけで、並みではない努力を読み取っていただけると思う。また、巻頭のカラー口絵で、関連文書や絵画、現代の遺構の写真などを紹介しているので併せてご覧いただきたい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

怒る時間がない

2021年02月05日 | 昭和のおもひで
◆緊急事態宣言
 夜、飲食、特に飲酒を伴う飲食に出ることのめったにない私なので、緊急事態宣言はさほど生活に影響しない。ただ、この不景気が売り上げに影響しないわけがないことと、土日の西鉄バスの本数が減るのが憂鬱である。

◆私は怒っている
 仕事に追われて怒る時間がない。なにかとてつもなくよくないことが起きているというのに。新しい本を売らなければ、仕事に行かなければ生活が成り立たない。怒っている時間がない。
 相変わらず元気に働いて(新刊できたし)ごはんがおいしくて(今夜は春巻よ)よく眠れるのだが、私は怒っている。だが、日々の生活に追われ、怒る考えをまとめる時間がない。しかし怒っている。
 よほどまずい。危機である。感染症など小さなことである。もっとまずいことはほかにある。ブラッドベリの書いた、きのこ宇宙人にすでに征服された社会に生活しているのかも知れない。メンタルをやられない決意で快活に過ごしてはいる。だが、頭の隅にこれってやべーぞという意識は常にある。危機を危機として自分の言葉で表現し、解決方法を模索するのは現世を生きる大人の役割である。
 私は生産性を向上させ、きちんと怒る時間を確保しないといけない。仕事をもっと短い時間で確実に終えないといけない。

◆劣化した議員
 複数の国会議員が銀座だかのお高いクラブに行き、批判されて議員辞職や離党を強いられている。
 まったく同情するものではないが、問題は別にあると私は思う。
 それはパンデミックとは違うのではないか、という議論をせず、世の大勢の空気を読んで、緊急事態宣言や特別措置法に反対しなかったのに、自分たちだけは、8時以降銀座の、おそらくは高そうな香水の匂いがするきれいなお姉さまのいる素敵なお店で飲食していたのである。
 自分の行くところはいいのか?
 問題ないと思うのなら、なぜそれを話し合わない?
 その頭と口は飾りなのか? 議論の土俵さえ作らず、上がろうとせず、そのうえ
「私は銀座にお金を落とすっ」
「罰則?過料?アホも大概にせいっ」
「何が悪いっ」
 と開き直る(のもどうかと思うが)覚悟もなしに、すごすごと議員辞職や離党に応じる。情けない。議員は私たちに代わって議論する係ではないのか、歳費もらってなにやってんだか、と怒ってみる。




















コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『月形洗蔵』本当に近日発刊。

2021年02月05日 | 本について
◆新刊ですよ
 印刷製本段階で紆余曲折が生じたものの、それは白鳥の湖の水面下のお話。さきほど印刷会社から納品日の連絡があり、脳内にはチャイコフスキー第5交響曲第4楽章が響き渡る。納品されれば白雪姫アニメの歌を「配本~配本~♪」と歌いながらしばらくは段ボールにまみれる生活となる。

 自分の能力を最大限に使い、薩長連合の礎石となったものの、栄光なきまま死罪とされてしまった筑前勤皇党の月形洗蔵の伝記である。

◆「幕末プロジェクトX」、あるいは「栄光なき天才たち筑前編」
 例えれば、こんな話(?)である。もっとまっとうな解説は後日。
 F社(筑前福岡藩)中間管理職T(月形)は、あるとき犬猿の仲であったS社(薩摩藩、もともと社長はここの経営者一族の出身である)とC社(長州藩、響灘を挟んだお隣の会社で仲が良かった)を仲直りさせろ、という無茶なプロジェクトを社長(筑前藩主黒田長溥)から仰せつかり、社長を尊敬していたので、使命感を背負って奮闘努力して成功を収めた。その間にはC社内にもあった激しい派閥争い(俗論派と正義派)や、S社のカリスマ敏腕部長(西郷隆盛)などの話も当然絡む。ところが困難なプロジェクトを完遂したものの、それがやっぱり親会社(江戸幕府)の逆鱗に触れるのではないかとビビった社長に自分の属している派閥ごと首を切られてしまう。
 これが武士の世界なので、本当の斬首となるのだ。
 そのプロジェクト大成功については、その後、年金や勲章をもらったり、あの渋沢栄一や土方久元に褒めてもらったりして、子孫や縁者は罪人の係累の不名誉を味あわずにすんだ。
 だが、解雇(斬首)されるときTが叫んだ通り、F社はその後グダグダとなる。
 後からやってきたベンチャー企業の社長の話がビジネス小説として売れたため、そちらの方が有名になってしまい、真のレジェンドたるTの功績を知る人は多くない。

◆歴史人物のヴィジュアルについて
 なんで司馬遼太郎が『竜馬が行く』を書いたかというと、名前とヴィジュアルにかなりインスパイアされて構想が広がったのだと思う。薩長のために歩きまくった中岡慎太郎、彼の評価は山口でもっと高くていいと思っているのだけど『慎太郎が行く』ではいまいちだったのかな。
 今回、ご子孫の監修で月形洗蔵のヴィジュアルを用意した。これにインスパイアされて歴史小説となってくれればいいなと思っている。

 これは古写真ではなく初公開なので、フリードメインではないから、お取り扱いには注意を要します。

 それにしても、月形洗蔵、往年の時代劇映画のヒーロー、月形半平太(の月形は、この月形洗蔵の月形、半平太は土佐の武市半平太からとったのだそう)よりも、さらにキリっとしてカッコいい名前だと思う。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

原稿書かずに、格安で、自分だけの本を1,000冊つくる方法?

2021年02月02日 | 本について
◆本をつくりたいなら
 近ごろ、Facebookを見てると、よく見る自費出版のご案内広告。大手版元も見かける。たぶん読書関連のグループメンバーに配信しているのだと思う。
 版元の仕事を6文字であらわすと「原稿の商品化」である。
 本を大手出版でつくるとこのくらい。これだと1000部刷っても1冊あたりの値段が、だいたい書店での実売価格くらいである。つまり「依頼者が自分の本全1000冊を本屋さんで自分で買った場合」のお値段が設定されている。
 それでも大手出版のクオリティーとブランドがついているのはよいことだと版元は思う。本は出したもの勝ちである。だがこのお値段は敷居が高い、自費出版でなかなか利益が出るものではないが、それにしても直売でさえ原価割れするというのはつらいと思われるなら、書店で品質の良い地元本の業者を探し、相見積もりを取れば、ずっと安くできる。

◆オリジナルブックカバーで、原稿書かずに自分の本が作れる?
 のぶ工房は、装丁大好きすぎる装丁家がいるので、カバーのみ作って欲しいというリクエストにもお答えできる。本屋さんで売られているのに遜色ない(だって売る本をつくってるから)オリジナルカバーが作れる。例えば、本なり手帳なり辞典なりアルバムなり、何かの記念品として、本の体裁を持つものを配るとき、オリジナルのカバーをつけることができる。

◆記念品に書店品質を
 〇〇会社〇〇周年とか、〇山〇夫古希記念とか、冠婚葬祭の記念品とか。好きな言葉をタイトルにすることもできるし、写真やイラストも入れられる。〇〇周年など、記念誌をつくるところもあるが、それほどのことはしないときも、記念品にオリジナルカバーがついていると楽しいのではないかと思う。ご相談どうぞ。これなら原稿書かずに、格安で、自分だけの本を1,000冊つくれる(………というのかな?)。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする