発行人日記

図書出版 のぶ工房の発行人の日々です。
本をつくる話、映画や博物館、美術館やコンサートの話など。

福岡いいとこ、一度はおいで

2012年10月16日 | 日記
 道に迷ってる様子の観光客があれば、声を掛けている。
 どこへ行きたいのですか。
 場所は、ほとんど天神や博多駅周辺、たいがい外国人である。福岡では、日本語、英語、簡体字、ハングルが、まちなかの道案内に並記されていることが多いのだが、それでも、日本語が読めない場合、なかなか不便なことが多いのである。
 ノーサンキューと言われることはめったにない。本当に困っている。
 たいがい地図を持っていて、英語が通じて、現在地がよくわかってないという状態であるので、現在地がここで、ここの通りは地図のこの道、行きたい場所はこっちの方向にあるから、この道を行けばいいよ、と説明すればいいのである。どうかすると、目的地が見える場所で迷ってる人がいて、「There」と指差せば終わりのことも結構ある。
 公共広告機構のいうところの「ちょボラ」である。
 福岡のことを好きになってね。機会があれば、また来てね。そう思いながら、うしろ姿を見送る私であった。
 というような人々に、以前は3ヵ月に1回くらい出くわしていたのだが、最近はほぼ毎週である。毎日天神や博多駅周辺を出歩いているわけではないので、かなりの確率で出くわすようになったということである。
 外国人観光客の迷子が増えているのは、昨今の島の領有権争いと無関係なことだろうか? 中国では日本人であるというだけで暴行を受ける事件が報道されている。
 日本で似たようなことがないとも限らないので、観光客を全面に出して一般人と話すのはキケンかも、と、考える人たちや、そこまでは考えなくても、今までのように気軽に聞くのを逡巡する人たちがいるのではないかと思う。
 で、地図を見ながら迷っているのだ。
 国内であっても、境界線の争いがある隣家の人間全員とケンカ腰にならないといけないとしたら、日本中がギスギスして仕方がないだろう。それぞれの国家の立場は横に置いて(あるいはあまり関心がないままに)遊びに来てくれているのだから、こちらもいちいち思い出すこともない。楽しかった思い出を持って帰ってくれたらうれしいなと思うだけである。
 サンキューと言われたら、不謝とかチョンマネヨと返すと、とても喜んでくれるよ。
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のぼうの城 

2012年10月11日 | 映画
「のぼうの城」試写会 明治安田生命ホール
独立は、昔から小国の、現代においては、超大国を除くすべての国家の、いわば永遠のテーマである。
 ときは戦国末期。豊臣軍は、全国統一すべく小田原攻めを開始。支城である忍城も、戦いに巻き込まれることになる。
「北条にも関白にもつかず、今まで通りに暮らすわけにはいかんのかなあ」
 城主は小田原城にいるが、豊臣側と密通しており、留守を守る人々は、豊臣軍が来たら降伏するように聞かされていた。城代たる父は倒れた。成田長親は軍使にナメられた態度をとられたため、決断する。
「戦いまする」
戦わずして強者の属国となることではなく、戦うことを選んだ誇り高き総大将。ただ、その成田長親、でくのぼうの「のぼう様」と領民に呼ばれていた。腕ききの家老、知恵自慢の家老は他にいたのに、何とも間抜けな「のぼう様」。でも、人気だけはあった。
 迫る石田三成の軍勢は2万、こちらは500人。相手の圧倒的戦力に対してどう戦うのか。
 主演の「のぼう様」こと成田長親は野村萬斎。
 大迫力の戦闘シーンもあるし、期待どおりの野村萬斎ショータイムつきである。麦踏みや田植えの歌&踊りも楽しい。2時間25分が、あっと言う間である。
 音楽は上野耕路。ハルメンズとか、戸川純とゲルニカをやってた人、と言ってピンと来なくても、キユーピーのたらこパスタソースの歌なら誰でもわかると思う。あの歌を作曲した人なのです。
 公開が一年遅れたのは、水攻めシーンが津波を連想させることへの配慮である。

 かの『沈黙の艦隊』の最終巻で、主人公の海江田四郎も「独立せよ」と、言っていたではないか。独立とは……と、考えながら中洲の町を後にした。
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新しい靴を買わなくちゃ 試写会

2012年10月02日 | 映画
「新しい靴を買わなくちゃ」試写会、ユナイテッドシネマキャナルシティ13

 山口に行くので、観に行けないと思ってたら、思いのほか早く用が済んだ。バッグの中に招待券が入ってて良かったわ。博多駅からそのままキャナルシティに出掛けた。
 
 あまりネタバレはしておりませぬ。

 パリにひとりで住んでいる。友達もいる。仕事もある。家もある。だけど、ぽっかり心に穴があいたままで動けなかった彼女がその場所から歩き出すための新しい靴についてのお話。

 女性の方がだいぶ年上らしい、というだけで、具体的な年齢の話は出て来なかったけど、リアルで中山美穂は42歳、向井理は30歳。たぶんそれくらいの設定なんだろうな。さすが電通、向井理と綾野剛を持ってくるところ自体、メインターゲットは朝ドラ好きの奥様ね。あと、おひとりさまにもこのヒロインはシンパシーが得られるだろう。
 
 折れたヒールをアロンアルファで接着するところなど、鼻緒が切れて困っているところに、若侍が通りかかり「お女中、どうなされた?」、それが恋のはじまりという時代劇のテンプレートを思い出したでござるよ。

 ラブストーリーに、 NHK世界ふれあい街歩きのようなリアリティがプラスされ、おしゃれ雑誌の旅行記事のような味付けがしてあって。
「特集 パリ在住マダム中山美穂が案内する、旬のパリ」
「ポペリーニに夢中なの」「ショコラティエで見つけた可愛いイースターエッグ」「ロマンティックなセーヌ河下り」「パーティーには大きなキッシュを焼いて」「ホテルもタクシーも、英語で楽勝」「個人旅行でありがちな失敗、宿泊先のメモは肌身離さず!」と、雑誌の見出し的文章が脳内にポンポンと浮かんで来るわけ。
 ともかく、実際に行ったようになれる仕掛けがしてあるのです。中山美穂がパリの街をガイドしてくれて、向井理がスクランブルエッグを作ってコーヒーをいれてくれますよ。

 ともかく、パリへ行きませう、恋しませうという映画でした。どれだけ感情移入できるかは、常日頃からの向井理に萌える度合いに比例すると思います。
 中山美穂が酔っぱらったりしますが、登場人物たちは、基本慎み深くお行儀の良い人々ですので、安心して鑑賞下さいませ。
 それから、向井理をパリに連れて来た妹(桐谷美玲)の物語がおまけについております。まあ、最初の方で、相手の男(綾野剛)を見ただけで結果は読めますが。がんばれ、妹、えらいぞ、妹。

 だが、私がこの映画を鑑賞してその気になってパリに行き、たとえ向井理のパスポートを踏んづけて転んだところで、迷子の向井くんを助けてはあげられないわけですから。この映画のパターンでの恋は絶対にはじまらない。
 それに、折れそうなヒール履いてたのは、身長163センチで9号の服を着ていた時代のことだわ(遠い目)。まず、体重をへらさなくちゃ。

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