発行人日記

図書出版 のぶ工房の発行人の日々です。
本をつくる話、映画や博物館、美術館やコンサートの話など。

村主章枝のスケーティングを直に見る

2012年02月15日 | 物見遊山
 パビオアイスアリーナ。今日はスケートではなく、村主章枝さんの講演会。実演つき。福岡青年会議所が招んで、一般の人も、申し込んでおけば入れたのだ。
 あの村主章枝嬢のフィギュアスケートを、直に見る。冬の夕方、快速マダム号に乗って、一家でパピオアイスアリーナに出かけた。
 ここは、いつものレジャー用リンク。冬場はとくに、氷の上をスイスイ滑ってまわるだけ、のお客さんがほとんどだけど、スケートってそれだけで結構楽しいんだよね。
 で、そんな一般ピープルに混じって、コーチに練習をつけてもらっている子たちがクルクル回ったり、ジャンプしたりしてるのを見かける。私も三年後は村上佳奈子っと思ってがんばっているのかもしれない。
 さて、4階から入場。スケートリンクなものだから寒いっ!! プラスチックの座席が冷たいっ!! 席にはアンケートのほかに鉄粉カイロが置いてある。「会場の特性上、各自防寒対策をお願いいたします」と、チラシに書いてあったが、少し甘くみていた。普通ここにくるとき、滑っていないときは、暖房室という避難部屋というか休憩室に入っていたので、結構どんな恰好でもなんとかなったのだ。座席にすわりっぱなしというのはえらく寒い。もっと長い丈のコートを着てくるべきだった。
 主催者あいさつ。どうも、2013年のグランプリファイナルを福岡招致する運動に絡んだ講演会のようである。
 それから、スケート実演。地元の若い有力選手たち。うまい。あとちょっと回転ジャンプの成功率が上がり、着地のあとの転倒率が下がり、スピンのスピードが上がったら、世界レベルの選手になれそうな感じなのだが、素人だからこういうことがいえるわけで、たぶん、それが「厚い壁」なんだろうな。

 いよいよ村主さんが出て来た。
 スケーティングの優雅なことこの上ない。周囲の空気が変わるくらい。なんてゴーヂャスなのっ!!
 で、講演というより、対談だったのだけど、それが終わったあと、もう一度、地元選手と一緒に滑ってくれた。

 グランプリファイナルか。マリンメッセがいっぱいになるね。 
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維新ということばについて思うこと

2012年02月14日 | 日記
 「船中八策」ということばを出してきたところを見ると、やはり明治維新になぞらえているようだ。どんな船なのだ。乗る人がいる限りはドロ船でないことを願う。
 政治団体○○維新の会、の「維新」は、正しい革命の勝ち馬に乗る僕たち、という響きで使っているふしがあると私は思う。
 のぶ工房は「維新」とつく本を3冊出してる。「維新」は「あの時代の革命」という意味であり、それ以上でもそれ以下でもない。
 江戸城無血開城、とはいうものの、いわゆるひとつの明治維新の時代は、間違いなく血にまみれた日本国の内戦である。
 3冊の本でとりあげた筑前も長州も、まさに死屍累々な時代だった。
 幕末維新のあたりを本にした、のぶ工房の発行人としては、とても「維新」ということばを政治団体としてネーミングする気にはなれないし、そういうことばづかいをするメンタリティの政治団体を支持する気にはなれないのだ。
 ひとつ提案がある。
 ○○維新の会、の「維新」を、いったん「革命」とか「改革」とか「大改革」とかいうことばと言いかえて、それでも納得できる内容だったら、どんどん支持や参加をされたらいいと思う。
 意味はあまり変わらない。
「維新」というネーミングが先走りしていて、しかもそのネーミングのイメージは、おそらくは曖昧で詳しくない歴史認識に基づくものである。
 そういえぱ、1990年代、「平成維新の会」というのがあった。各界で活躍され頭がよろしいと思われる方々が参加されていたと記憶している。「平成改革の会」とか「平成革命の会」という名前だと、あれほど錚々としたメンバーは集まらなかったと思う。でも瓦解した。

「船中八策」ということばについては、これも「8つの目標」とか「マニフェスト8項目」とかに言い換えてほしいと思う。
 坂本龍馬の「船中八策」の存在については諸説ある。私は別に龍馬に特別の思い入れがあるわけじゃないけど、龍馬ファンの人たちはこのことばを使うことについてどう思っているのだろう。
 小説や、テレビドラマに出て来る坂本龍馬は、学校の先生の思想信条に、強い制限を加えるような人じゃないと思うんだけど。
 まあ、親や生徒の意見を先生の評価に反映する、というのは、運用次第ではいい学校を作るかも。顧客の意見が反映されないサービスという点で、公立学校は、他のサービス業と大きく違うわけで。それが学校を悪くしている理由のひとつかもしれない。
 でも、それは、個人の思想信条とは別の次元だ。私が行ってた昔の学校でも、日教組でもそうでない先生でも、ダメなひと、困ったひと、明らかに不向きなひと、というのはいたし、それは組織とは別の問題だということは、中学生でもわかることだった。
 いちばん問題なのは、「維新」だの「船中八策」だのの、イメージ先行のネーミングに希望を見いだす人々が多いという現状なのだろう。過去の「自民党をぶっ壊す」「郵政改革」と少しかぶる気がするが、こちらは、それでも少しは具体的なキャッチフレーズだった。 
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ものすごくうるさくて、ありえないほど近い

2012年02月07日 | 映画
「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」試写会。ユナイテッドシネマキャナルシティ。

 2001年9月11日。
 あの日のことはよく覚えている。
 夜、テレビを見ていたら、飛行機がビルに突っ込んだニュースが入った。「人間の証明」にも出てくるマンハッタン島のワールドトレードセンターのビルから煙が出ていて、見ているうちに、生中継で2台目の飛行機がビルに突っ込んだのだ。
 ダイハードの新シリーズってあったっけ。でも、ブルース・ウィリスは出て来ないし、何より、どのチャンネルも同じことやってる。
 臨時ニュースで、どのチャンネルも同じことやってるなんて、ろくなことではない。でも真実なのだ。
 テロは同時多発で、合計3000人を超える人が亡くなった。

 空から落ちて来る男の映像、それから、空っぽの棺を埋めるための葬儀からこの映画は始まる。
 宝石商をしているオスカーのお父さんは、オスカーのいい友達でもあった。その日のその時間、商談で、よりによってワールドトレードセンターのビルにいた。 
 オスカーは、 テロ事件のために授業とりやめになった学校から帰宅、ひとりの家で父からの留守番電話を聞き、何が起こっているかを知る。
 やがて家に帰ってきたのは悲しむ母と祖母。
 父からの留守番電話を誰にも聞かせないために、オスカーは、同型の電話を買って、密かに家のものと取り替える。(9歳児が!! ありえないほど賢い!!)

 遺体は見つからなかった。

 オスカーは、父の死から1年後、父のクロゼットに、やっと入ることができた。そこで見つけた青い花瓶の中にあった封筒には、Blackと書いてあり、鍵が1個入っていた。これは父からのメッセージに違いない。ニューヨーク中のブラックさんを探して会いに行き、鍵について聞いてまわり、この鍵の鍵穴を探し出すことを決めた。
 電話帳からリストアップし、地図に印をつけ、綿密な計画を立てた。
 まだ子供で、もともと繊細な上に、事件から怖いものが増えている。9.11を連想させるものいろいろ。救急車やパトカーのサイレン、飛行機の音、叫び声、泣き声、エレベーター、あらゆる閉所。想像にかたくない。
 トラウマで満身創痍な少年が「泣きそうだったけど、僕は絶対やりぬくんだ」と、始めた大冒険。または喪の仕事。
 オスカーは、父からのメッセージをどういうかたちで受け取るのか。
 何が起こるかは、本編で。

 これまでの試写会で、観客が泣く率が一番多かった映画です。
 でも、あと味が良いので、安心してご鑑賞くださいませ。


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人間の証明

2012年02月06日 | 映画
「人間の証明」DVD。

 読んでから観るか、観てから読むか。懐かしの角川映画です。

 ママ~♪といっても、もちろんパスタの話ではなく(大舞家の息子が、ママ~なんて言うもんじゃありません!!てのもあった)1970年代の日本に生きていた人々なら、ボヘミアン・ラプソディーよりも先に、ジョー山中の歌が脳内再生されるはずである。

 ハレルヤ! と叫んで、口笛吹いて、本当にスキップするように日本へと旅立った青年が、なぜ殺されなければならなかったのか。
 美しい人妻が、なぜ雨の夜に突然姿を消したのか。
 群馬の山奥の温泉地でなぜ老婆が殺されたのか。
 西条八十の詩が、謎をとく鍵となる。
 大物政治家の妻であり高名なファッションデザイナーである八杉恭子(岡田茉莉子)にも、彼女を執拗に追う棟居刑事(松田優作)にも、戦後の辛い記憶があった。

 これもまた終わらない戦争の話である。
 70年代半ばにして終わっていない戦争の続きである。

「あの頃は誰も行きてくのに精一杯だったから」

 栄光を得た人間が、過去の自分を知る者を殺す。相手は、まったくの懐かしさで会いに来ていて、お金をゆするなどの気持ちは露ほどもない。そんなことはわかっている。だけど殺す。「砂の器」なら、年老いた善良な元警察官しかも恩人。「人間の証明」では、20年ぶりに母に会いに来た実の息子を、である。

  松田優作、ハナ肇、ジョー山中、鶴田浩二、三船敏郎、笵文雀、長門裕之、北林谷栄、峯岸徹、伴淳三郎、鈴木ヒロミツ、E.H.エリック、と、35年も経つものだから、すでに向こうの世界に行かれた出演者が多い。
 当然だが、生きている人たちも若い。岩城滉一がドラ息子な若造の役をしている。地井武男刑事が若い。だが、大滝秀治は昔からおじいさんである。
 
 岡田茉莉子のゴーヂャスマダムぶりにも注目である。
 昭和のニホヒも味わい深い。
 刑事さんたちは、細身のスリーピースにぶっとい衿のジャケットとシャツにぶっといネクタイ。黄色い公衆電話。OLの制服がミニスカート。
 でかいテレビカメラ。喫煙率高っ。ハナ肇刑事のタバコ、チェリーだし。
 ステキな古いパトカー。
 で、松田優作はニューヨークに。
 カーチェイスが地味っ!!  今の映画と違って、ほかの車を何十台も巻き込んだりしない。でも、そのほうが却ってリアルだわね。
 崖っぷちでの犯人の追い詰め方が、その後の2時間サスペンスドラマに踏襲されていったんじゃないかと。
 そして、映画の最後の最後で、なぜ日本から来た刑事が最後まで自分に心を開かなかったか。自分のことを憎んでさえいるように思えたのはなぜか、その疑問を抱えたまま、ニューヨーク市警の老刑事にも落とし前がつくときがくる。

 うーん、名作である。

 竹野内豊テレビ版「人間の証明」は、最終回だけ見た。
 魂の救済といった感じで、竹野内=棟居刑事が松坂慶子=八杉恭子から自供を引き出す長い場面も良かった。
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