発行人日記

図書出版 のぶ工房の発行人の日々です。
本をつくる話、映画や博物館、美術館やコンサートの話など。

2019年8月後半のあれこれ(画像はクリックで拡大します)

2019年08月31日 | 日記
◆請け負いの仕事がふたつほど手を離れる

◆再会
 郷里の友人がハンドクラフトの講習会のために福岡に来るというので、天神で夕食。この夏は何十年ぶりという人にたくさん会った。

◆簡単につくれるアート「座ることを拒否する椅子」
「座ることを拒否する椅子」というのが岡本太郎の作品にあったが、もっと簡単につくれる。これは佐賀市某所の美容室にあった「座ることを拒否する椅子」。ホームセンターのガーデンファニチュア売場にあるベンチを買って座板を抜けばよい。が、なにゆえ?

◆「読むことを拒否する本」
 書籍用紙に山吹色で文字を印刷すると、読めない本ができあがる。要するに24色環でシリーズ本をつくってるところなのだが、山吹色だけではさすがに全く読めないので、山吹色と認識できる範囲で、わずかにスミ点を入れてある。レモンイエローもあるのだが、どうするのだろうか。それにしても新聞って読みやすいのね。

◆豪雨災害
 雨の音が大きいので外を見ると、風景に見たことのないような縦縞が入っている。そんな大粒の雨だった。それがもっと続いたところがあったのだ。今回の九州水害は、有明海沿いである。地形はおおむねフラットで遠くまで見渡せる。晴れていればゴキゲンで、いくらでも道に迷うことなく楽しく歩ける。佐賀も武雄も小城も江北もどんどん歩く。その見慣れた平らな土地が水浸しになったニュース。長崎街道シリーズで取材した場所も。

◆映画「博士と彼女のセオリー」
 以前、「博士と彼女のセオリー」について書いた。かのホーキング博士の難病・ALSの発症から進行していくさまと人間模様を描いた映画である。画面の美しいヒューマンドラマであったが、ストーリーとは別のところで気持ちが沈んだ。生命にかかわり不可逆的に進行する深刻な疾患を得ると、日々自分と周囲の強い意思が必要となるのである。強くなることを強いられるとも言い換えられる。もちろん揺らいだり挫けたりすることもあろう。それについて罪悪感を強いられる、というのもまた残酷な話である。難病といわれる疾患はたくさんあって、寛解するものもあるが、対症療法しかないもの、進行を遅くする方法すら発見されていないものも多いのだ。罹患すれば10万人にひとりではなく100%なのだ。天才科学者や大リーガーばかりでなく、自分や家族にも同じ確率でやって来うるのだ。他人事と思わないほうがいい。

◆ランチはヤマカタヤで
 鹿児島では黎明館を出たあと、市内をめぐり、撮影などして過ごす。
 遅い昼食を山形屋でいただく。これはヤマカタヤと読む。ザ・デパートメントストア!!といった感じの立派な建物で、ここのデパート食堂は、夏休み終わりかけの平日ランチタイムも終わりかけ、という時間なのに席の8割以上が稼働している繁盛レストランなのである。
 デパート食堂はファミレスの元祖であるが、かなり前から東京の会社であるトリコロールが運営しているところが大方で、どこもメニューが似通っているのはそういうわけである。もちろん地域性もある。たとえば大分トキハ本店のデパ食はトリコロールがやっているが、大分名物とり天定食があったりする。
 山形屋のは珍しい直営大食堂である。
 今回は本当は奄美名物鶏飯を食べよう、きっとデパ食にはある、と思って来たのだが、なかった。だけど店の繁盛ぶりをみて、これはおいしいに違いない、と思ったのでそのまま入ることにした。案内された席の右隣のおじさんが、あんかけ焼きそばを食べてた。これは大き過ぎるが、と思っていたら、左隣のお兄さんが、エビチリと焼きそばのセットを頼んでいた。焼きそばは食べたいと思ったが、同じものを注文するのもなんなので、黒豚炒飯と焼きそばのセットを注文した。
 結構早くやってきた。あんかけ焼きそばは、揚げ麺で、いわゆる長崎皿うどん堅めんスタイルで、具はキャベツ豚肉イカ椎茸人参蒲鉾玉ねぎなのだが、麺は揚げたて、あんは熱々、野菜の火の通りも絶妙だわ。大皿でも良かったわよ。おいしすぎだわ。炒飯は凡庸だったな。でも残ったあんをかけてあんかけ炒飯にして完食しました。
 注文の品を持ってきたときに伝票がなく、あとで席に運んできた。そういうシステムのようである。大きなフロアで始終目配りを欠かさないところが、一部放置プレイのファミレスと一線を画すところである。そしてまた撮影に。
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大久保利通は、東京で薩摩の海を思う

2019年08月26日 | 物見遊山
◆鹿児島中央駅
 鹿児島に行く。10年ぶりくらい。
 駅ビルは、他の九州のおもだった駅にあるのと同じ、JR九州運営のアミュプラザ。
 昔からある駅前のビルは、キャンセビルというが、薩摩ことばで「来やんせ」は、来てね、とか、いらっしゃいという意味で、山口弁に翻訳すれば、オイデマセビルといったところである。イオンが入っている。前に来たときはダイエーだった。
 駅の観光案内所で市営バス電車の一日券を買う。天文館に出てホテルに荷物を預け、鹿児島シティビューという市内観光地循環バスに乗る。

◆黎明館
 鹿児島県歴史資料センター黎明館の常設展示を時間をかけて観覧。先月リニューアルされたばかりなんだって。
 
 薩摩硫黄島のメンドン(抗不安剤に同じ名前のものがあるらしい)や悪石島のボゼなどの仮面の怪物のビデオを鑑賞。仮面はプリミティブで多くは南方系な雰囲気だが、下甑島のトシドンは年末に子どもを諭しにやってくる四角い鬼面で男鹿半島のナマハゲみたい。ともかく不思議な仮面がたくさん。
 維新から西南戦争にかけての展示も当然多い。

◆大久保利通は朝に薩摩の海を思う

 黎明館の展示で今回印象に残ったのは、大久保利通の洗面道具である。ウィキペディアに「(大久保は)青いガラス製の洗面器具を使い……」との記載がある。その本物が展示してあったのだ。
 装飾の省略された濃いセルリアンブルー。洗面器と水差し、円筒形ポマード入れ瓶と、あとひとつ、小さな四角い蓋つきの箱は何を入れていたものなのか、石けん箱か、の四点セット。洗面器は昔の琺瑯の洗面器によくある広がったタイプ。
 強化ガラスとは思えないから相当丁寧な扱いが必要だったのだろうが、そこは庶民の生活ではないので、誰かがワゴンか何かにのせて運んでくれたのだろう。水差しにはぬるま湯を入れて。肖像写真を見るに、髭の手入れは大変そうだし、髪はしっかりとポマードで撫でつけてある。毎朝の仕度には時間がかかったに違いない。
 明治元勲のなかでも、洋装がとりわけオシャレな大久保さんだが、東京で、家でも彼は洋風の生活を送っていたという。道具選びにも大久保利通のスタイリッシュな生活様式が伺える。彼が朝食に好んだのはコーヒーと、ブランデーをたらしたオートミールだそうな。オートミールを炊くのにコツは要らないし、火さえあればそう時間もかからないから家庭で毎朝食べるのに合理的ではある。それにしてもスノッブね。
 だけど彼は朝がくるたびに薩摩の海を思い起こしていたのかもしれない。そんなセルリアンブルーの洗面道具だった。
 
 鹿児島に関してはまた。
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2019年8月前半のエトセトラ

2019年08月15日 | 日記
画像はクリックで拡大します。
◆猛暑
 世間様は盆休みバージョンに入っていく。近所で見知らぬ子が遊んでいる。
 不機嫌な太陽。外を歩けば気分はすっかりヒロミ・ゴー(ゴールドフィンガー99)である。裏側アルミ蒸着の日傘が役に立っているかどうかわからないが、ないとさらに暑い。天神なら地下街に潜り込む。渡辺通は電気ビルの地下街を通る。赤坂は中央区役所のところから赤坂駅までの地下道を通る。舞鶴公園のお堀脇からけやき通りに抜ける道の木陰がとても涼しい。国体道路けやき通りも、この時期はとりわけ気分がいいの。だけど、やっぱり暑いっ!!

◆まさか、私が、腰痛に!?(Y谷学院風)
 じっとしている分にはどうということはないのだが、立ったり座ったりが突然痛くなった。そりゃぎっくり腰って言うのよ。ほっときゃ治るものらしいが、早く治すために近所の整骨院に行く。院長は骨格と筋肉と経絡を透視する能力がある(と私は思ってる)ので、すぐに普通に動けるようになった。「座らないで、立ってるか寝てるように」と言われたので、ひたすら歩いて完治。

◆海辺のジャニーズ
 8月3日は、マークイズ。ここは福岡ヤフオクドームに隣接するショッピングセンターで、ホークスタウンの跡地に昨年新設された。それはともかく、はじめて行ったその日がよりによってドームで関ジャニ∞のコンサートのある日だったのだ。バスを降りて道を渡ったところにこのような装飾物があり、相撲興行のようにタレントさんの名前の幟旗が並ぶ。お揃いのTシャツはビンクのタイダイの上からロゴがブリントされたもの。やはりロゴ入りバッグと好きなメンバーの縫いぐるみを抱えて歩く皆さん。あとは手作り応援うちわとか、普通にペアルックで来ている女の子たちも多い。さすがはジャニーズで、おもに女性だがあらゆる年代の人々が来ている。飲食店とトイレが大行列の大賑わいであった。スーパーでは「イベントめし」というPOPを掲げて弁当を山積みしている。このてのイベントは公共交通を使う人が多く、さほど渋滞はしなかった
 自分は、このてのアイドルに夢中になったことは生涯でまだないのだが、後年そんな日が来るのだろうか。今のジャニーズの3人以上のユニットでメンバーの名前が全員言えるのは嵐だけである。あと名前と顔が一致するのは観た映画に出てた人だけ。関ジャニは、さすがに錦戸亮はわかる。あとは「ワイルド7」に出てた丸山隆平くらいかと。
 
◆再会ブルース
 高校の同期会に行った。
 厚狭駅から美祢線に乗り換える。瀬戸内から日本海側に貫通する鉄道はいくつかあるが、これが一番距離が短い。一両か二両の編成で、単線をレールバスが走る。厚保駅の構内には栗の木があって、きれいな緑色のイガがたくさんついていた。駅だけではなく、この辺りの山は栗の山が多い。無人駅が続き、やっと有人の美祢駅に着く。石灰岩がむき出しの山や、東にはセメントのプラントが見える。

 そのうちに長門湯本駅に着いたが、あまりに寂しいので今回の会場から迎えに来てもらう。夏でなければ歩くのもまた一興だが、この時期は暑過ぎる。かのプーチンが離れの別館に泊まったというホテルである。携帯の電池残量が怪しかったので、フロントで充電をお願いして、1階ロビーが見下ろせる席で誰が来るか待っていた。じっと待っていたつもりだったがすぐに見つかってしまった。

 連絡を取ってたひともいるし、卒業以来というひともいる。
 Mさんが名札を用意してくれていたけど、全員の顔と名前が一致するところが、小規模校である。私を含め24人来ていた。
 宴会が「食前の祈り」から始まるところなんかもうね。一気に八丈島タイムマシンセンター(出典がわかる人は古い)だわ。
 
 全員掛け値なしのオバはんであるが、必ず元は乙女だった。オバはんに「お嬢さん」と呼びかける、みのもんたはつくづく正しい。

 大浴場入浴つきプランである。
 行って大正解。ジャグジーもサウナもあるし、露天風呂もある。スーパー銭湯であれば塩素臭(それが苦手で一度行ったきり)と、そこら辺を走り回っているお子様がつきものだが、ここにはそれはない。ひたすら贅沢。備え付けのアメニティも何種類か選べたし、美顔パックも使えた。個人で来て半日くらい長湯したいものだ。
「こんなご褒美あっていいのかしら」とY子さん。
「生きてると、何の罰ゲームよ、と思うことがあるでしょ。だからこういうこともあるのよ」
 
 一人ひとりが唯一無二の居場所を探して見つけてそれぞれの場所で暮らしている。いつかまた会いましょうね。どうか会いに来れる事情が整う程度には息災で。
 物故者は2名。飛び抜けて読書好きで、何でも知ってたK子さんと、同じ電車で通ってたこれもK子さん。
 生き急いでるのよ私、とY子さんは言ったけど、確かに残り時間はどんどん減っているね。これまで生きて来た年数はとても生きられないことは確かで。時間は大事。さあ、ポーっと生きてんじゃないよっ!!  元気でまたみんなに会うのよ、と自分に言い聞かせる。
 
 帰宅して今回の出席者の名前を思い出して書いてみたが、全員書けた。
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