内外政策評論 TheOpinion on Global & Domestic Issues

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Policy Essayist

ギリシャの財政・金融破綻に学べ!―復旧・復興応援寄稿ー (その2)

2011-11-18 | Weblog
ギリシャの財政・金融破綻に学べ!―復旧・復興応援寄稿ー (その2)
 1、欧州連合ユーロ・グループによる当面の危機回避 (その1で掲載)
 2、ギリシャは対岸の大火
 ギリシャにおいて、2009年10月に新民主主義党から全ギリシャ社会主義運動党に政権が交代し、パパンドレウ政権が成立した。しかし旧政権下では、財政赤字が国民総生産(GDP)の4%程度と発表されていたが、統計操作により抑えられていたもので、実際には13%前後に拡大していたことが発覚した。そして国家の債務残高も約3,000億ユーロ(30兆円強)、GDPの113%程度に達していた。
EU27か国中、共通通貨のユーロ圏に加盟しているのは17か国であるが、加盟条件の一つは財政赤字がGDPの3%以内ということになっており、厳しい財政規律が求められている。ギリシャは、2001年にユーロ・グループの一員として認められた。加盟当初より財政赤字の比率が3%を超えていたものの、ぎりぎりで加盟が認められたが、実際は3%台以上ではないかと疑問視されていた。それだけにギリシャの財政健全化が期待されていたが、実際には財政が悪化の一途を辿っていたことが政権交代により表面化したのである。要するに自己改革出来なかったどころか、悪化を容認して来たのである。
しかし今回は、破綻状態のギリシャ経済の救済策と引き換えに、緊縮財政が義務付けられることになったので、実施せざるを得ない。
ところがそのギリシャと財政赤字や公的債務の状況を比較すると、日本はそれどころではない。日本の財政赤字は、GDPの10%前後に達しており、公的債務は2011年度末には1,000兆円を超えると見られている。国内総生産の約2年分、200%で、毎年その10%、即ち一般歳出のほぼ全額を返済に充てたとしても20年も掛かる借金を抱え込んでいる!無論、そのベースとなる国民経済の規模や産業の競争力、1,400兆円内外に及ぶ個人金融資産の存在など、経済力が異なる。しかし、もしこの状況が将来世代に先送りされれば、日本はいずれギリシャのような財政、金融破綻の状況に追い込まれる恐れがある。ギリシャは他人事ではないのである。自らの努力で出来る内に財政の健全化を行うことが望ましい。
現在の円高は、日本経済の強さや健全性を反映したものでは決して無く、ドル安、ユーロ安によるものであるので何時までも続くものではない。なんらかのきっかけで利益を確保するために、国際機関投資家やヘッジファンドにより円が投げ売られる可能性がある。そうなれば1997年7月のタイ・バーツ投売りに端を発するアジア金融危機以上の日本発国際金融危機に発展するであろう。
(2011.11.11.) (All Rights Reserved.)(不許無断引用)

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