内外政策評論 TheOpinion on Global & Domestic Issues

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Policy Essayist

シリーズ平成の過剰反応―麻薬所持容疑のタレント酒井法子への過剰反応

2009-08-15 | Weblog
シリーズ平成の過剰反応―麻薬所持容疑のタレント酒井法子への過剰反応
 のりピーのニックネームで人気のあった元アイドル歌手酒井法子が麻薬所持容疑で逮捕された。渋谷の路上で夫高相容疑者が麻薬所持容疑で警察官に職務質問され、同人が否定しつつ、タレント酒井法子の夫であるなどとして現場に呼び寄せたが、酒井法子は子供がいるとしてその場を去り、失踪した。
 麻薬所持容疑で逮捕された高相容疑者は、尿検査でも陽性で使用が明らかになったが、妻も使用していたと述べたことから、酒井(高相)法子の自宅が捜査され、微量の麻薬とストローなどが押収され、同人にも逮捕状が出された。人気のあった元アイドル歌手の麻薬容疑での逮捕状であったため、大きな反響を呼んだ。ファンでなくても、エーあの人がどうしてと思ったであろう。
 同人は、失踪してから6日後に警察所に出頭し逮捕された。同人は、その間夫の母親や継母などの支援も得て都内や山梨、箱根などで身を隠していたと伝えられている。子供は安全に預けられていたことが分かっている。
 逮捕後の尿検査では、酒井法子容疑者は陰性であり、口頭では昨年夏ごろから数回使用したなどと述べていると伝えられているが、使用は確認されていない。自宅で見付かった麻薬も0.008グラムと少量で、眼では見分けがつかないくらいの量でしかない。使用した残りかもしれないが、尿検査が陰性で、所持量も極く微量で、前歴がないので、一般的には起訴には至らないとも言われている。失踪か逃亡かが問われているが、本人が逃走であったと言わない限り、残る事実は出頭したということだけである。
 ところが同人は、清純派の元アイドル歌手で社会的影響も大きいので、麻薬取締りの観点から、起訴すべしとする意見が一部の閣僚からも出ている。
報道機関の中には、同人が数年前から夫妻でクラブに出入りし、髪を振り乱し、乗り乗りの映像等を再三流して、元清純派のアイドルとのギャップを鮮明にしようとしている。麻薬はNGであるが、過剰反応ではないか。酒井法子は、確かに清純派のアイドルではあったが、10年近く結婚し、主婦であり、子供もいる一社会人である。クラブに出入りし、弾けたい時もあるし、羽目をはずして遊びたいこともあるだろう。イタリアの首相でもないが、聖人でも霞を食べている仙人でもない。誰でもそうであろう。まだ30代であり、遊べるときに遊びたいだろうし、清純派のアイドルというレッテルを越えて、大人のタレントを目指そうと本人なりに悩んでいるのかもしれない。勝手に清純派アイドルというレッテルを貼って、清純派らしく振舞えというのは「建前論」であり、報道している側はもとより、多くの同世代の人や若い世代は、公の場は別として、プライベートの時間にはもっと「本音」で生活しているのであろし、プライベートの時間は自由にさせて欲しいと思っているであろう。建前論の過剰反応である。
 また清純派の元アイドル歌手で「社会的影響も大きいから厳しく起訴すべし」との意見も過剰だし、不適切だ。それは見せしめ論に近い。人の地位や立場を見て、罰の重さを決めるのは不適切であろう。野党議員は厳しく取り締まり、与党議員は手加減して対応する、又はその逆と、警察や検察の気分で罰が左右されることになれば、法の前の平等を著しく損なうことになり、法や正義の安定性を失うことにもなる。通常の手続きに従うべきであろう。大切なことは、法技術的に、職業的にどう罰するかよりも、軽微な場合は反省させ、どう更正させるかであろう。
 また夫高相容疑者の起訴は避けられないところであろうが、子供の将来の問題もある。あえて母親まで起訴してしまうと、子供への影響はより大きくなる。酒井法子が反省をし、更正を誓うのであれば、強いて起訴する必要はない。建前論や法技術論のみを振り回すのが社会正義ではないのではないか。過剰反応は避けるべきであろう。(09.08.) (All Rights Reserved.)

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