ファイト一発!税理士イワサの社長応援ブログ

税理士の岩佐孝彦が社長に“元気”と“勇気”をお届けするブログです。

社長はカネのためなら何でもできる?

2013年01月16日 | 日記
今から約25年前の映画「マルサの女」。

マルサに勤務する女性査察官と脱税者との戦いをコミカルに
描いたドラマ。

伊丹十三監督の作品で上映当時、日本アカデミー賞最優秀
作品賞を取り、一世を風靡。


この映画の中にこんなシーンがある。

伊東四郎扮するパチンコ屋の経営者が5億円の追徴課税を
指摘され、泣いて土下座する。

その後、顧問税理士から一言。

「なんだ、芝居ですか。あきれたな。」

そこで経営者はこう言い返す。

「芝居じゃない。本当に泣いたんだ。

 一泣きで100万でも200万でも助かるんだったら、
 いくらでも泣いてやる。」



この場面から、中小企業の社長特有のある種たくましさや
ド根性を感じ取ることができる。

少しでも税金が安くなるんだったら、プライドもかなぐり捨てて、
何でもやる強さを垣間見れる。

しかし…

何事においても確かに知恵は大切であるが、この映画のような“悪知恵”
を働かせ、課税当局に悪あがきをするのは決してほめられたものではない。

脳の研究においても、こんなことが明らかになっている。

何らかのピンチに陥り、何が何でも生き残ろうとする感情が生まれる
と、生存だけを目的とした「原始的な脳」が「合理的な脳」を乗っ取る
という現象が生まれ、倫理的な決断にさえ影響を与える。



よって、“悪知恵”ではなく、お金に関する正しい知恵を
持ってもらいたいと思う。

例えば、経営者はとかく会社のお金をすべて自分に取り込もうと
考えがちである。

しかし大切なのは「もらい方」。

つまり、税法上どんな名目でお金を取れば有利なのか?

このことをきちんと理論武装しておくべきだ。

会社から社長個人にお金を移す方法は大きく6つある。

これを会社&個人のトータルで見て実質手取り額が大きくなる順番に
並べると、

▼役員退職金
▼株の譲渡(第三者へ売却)
▼株の譲渡(自社へ売却:金庫株)
▼役員報酬(給与)
▼役員賞与(利益配分)
▼株主配当

になる。



最も有利なのは「退職金」。

事業承継のシナリオを設計する際は、自社株対策の一環として先代経営者
に税務上容認できる最大限の役員退職金を支給すべし。

逆にワーストは「株主配当」。

個人的に資産運用している上場株式の配当を手にするのは素晴らしいこと
だが、自分が主宰する会社から配当を取るのは愚の骨頂。

株主配当は会社から見るとキャッシュアウトを伴うが、損金不算入。
つまり、100%経費に落ちないのだ。

ちょっと利益が出たぐらいで好き好んで配当をもらおうなんて考えない
ことだ。

事業承継を控える会社の場合、配当を出せば出すほど自社株の“紙爆弾化”
を自ら増長させることになる。

百害あって一利なし。
これが日本の99.7%を占める中小企業の配当の実態である。



「会社経営はお金で始まり、お金で終わる」

人生いくらカネじゃないといっても、会社の資金繰りを見れば、
これが現実。

「現金 = 現実」

だから社長は、カネのためならイザとなれば何でもできるのだ。

しかし悪知恵や悪あがきは所詮いつかはメッキがはがれるもの。

「社長のお金 = 会社を守る最後の砦」

だからこそ、経営者はお金に関し、理論をしっかり持つべし。


《追記》  
写真は「マルサの女」から、宮本信子演じる女性査察官と津川雅彦
演じる上司の統括官をアングルの中心に置いたワンシーン。
税務署に対し正々堂々と毅然とした態度で主張できるだけの理論武装
を持つ。この必要性を強く認識して下さいね。


    

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