goo blog サービス終了のお知らせ 

夕庵にて

スマホでパチリ・・・
ときどき写真と短歌を

『神坐す山の物語』

2018年03月01日 | 
『神坐す山の物語』 浅田次郎著 双葉文庫

白と黒の山狗が連れだって現れるような場所にある奥多摩・御嶽山(みたけやま)の神官屋敷。そこで物語られる怪談めいた夜語り、著者が少年だったころ、叔母から聞かされたのは、怖いけれどもなぜか引き込まれる話ばかりだった。切なさにほろりと涙が出る、浅田版遠野物語ともいうべき御嶽山物語。・・・解説より抜粋。

◎ 神上がりましし伯父 ◎ 兵隊宿 ◎ 天狗の嫁 ◎ 聖 ◎ 見知らぬ少年 ◎ 宵宮の客 ◎ 天井裏の春子 の7編からなる。

現代でもお山自体が神のご神体という神社はたくさんある。神社の境内の奥深く進んでいくとそこかしこに霊気を感じて八百萬の神が佇んでいるような厳粛な気持ちになる事がある。

最後の「天井裏の春子」はとくに哀切で涙がにじむ。昔は狐憑きを閉じ込める神官屋敷には座敷牢があったらしい。そこから話される叔母の語りは悲しい。曾祖父の験力では治せない若い春子にとりついた狐を取りだそうと神ではない人間の言葉で話しかけて狐に説得すると何日かした朝、春子の白い腕を枕にして狐が死んでいた。猫みたいに小さくからからに干からびて苦しんだようには見えなかった。木の枝みたいにやせてしまった手が春子の胸元に置かれていてありがとう、ごめんなさいといっているようだ。春子のもう片方の手はしっかりと狐の尻尾をつかんでいた。食料のなかった空腹の狐が屋敷にきて食べ散らかせて春子に乗り移っていたのだ。神官は狐の亡きがらを赤ん坊のように抱きすくめながら泣きなき葬ったという。

浅田次郎が故郷を思い自分の生い立ちや神官屋敷に、語り継がれてきた貴重な話を脚色した短い文章の中に、ぎっしりと凝縮した日本の歴史を感じた。

PCが壊れた!!この記事は他のPCから書いているがメールなどはしばらくかかりそうだ。
新しい機種にするか検討中だ~。