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武揚伝〈2〉 を読んだ。 大政奉還と慶喜逃亡劇がむなしい

2010年12月21日 01時10分50秒 | 読書評
武揚伝〈2〉 (中公文庫)
佐々木 譲
中央公論新社

武揚伝〈2〉を読みました。

榎本武揚がオランダ留学からの帰途し、その後、江戸から大阪へ艦隊を
率いて、抑止力として京を威圧するも、むなしく終わる。

徳川慶喜にいたっては、大政奉還後、新政府軍の弾圧のもと京に軍を
登らせるも、京には入れず、錦の御旗が掲げられるなか賊軍扱いと
なり、鳥羽、伏見の戦いに突入する。
それも敗走し、ついに慶喜は、大阪を離れ江戸へ逃亡する。
大阪城を離れる際に、残る味方軍へは、「勝手にしろ」という捨て台詞
まで吐いて、大阪城に残る幕府軍を混乱に陥らせ、逃亡する。

江戸では、官軍の沙汰を緩和させるため勝 麟太郎が西郷と談判し
江戸城の無欠開場へと進む。
幕府軍は、陸軍、海軍をすべて放棄し江戸城を解放し、元将軍を蟄居の
身に預けるという条件をのみ放棄を促すが、時代の急激な変遷の渦に
巻き込まれることを抵抗する陸軍は、独自で蜂起し官軍と戦う。
海軍は、あくまでも抑止力として温存させるため一部艦隊を官軍へ
渡すことなど試みる。

この小説では、ここの官軍と幕府軍との交渉が割愛されており、あくまでも
徳川側からの視点で時代の偉人を描いており、ほかの小説では勝は英雄とし
て書かれることが多く、魅力ある人物の描き方になるが、この小説では
勝は、口のうまい、利己主義的な人物として描かれている。

その分、榎本武揚の描き方が、妙に冷静で客観的視点をもつ人物のように
描かれているため、2巻目では醍醐味にかける人物像になっている。

極力、徳川側から事実の記述を目指しているような感じがするが、時代小説
の面白みの濃さとしては、司馬遼太郎の維新の頃の小説などと比較すると
薄いような感じがする。
端的に読み進めるには読みやすさはあるが、もう少し個々の事件の記述や
背景描写が厚く書かれても良いのではないかと思う。

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