青年社長〈上〉 (角川文庫)高杉 良角川書店このアイテムの詳細を見る |
あまりビジネス小説というものは、読まないのだが、これは面白い小説であった。
ワタミフーズサービスの設立から上場までの企業成長の過程を割りとドキュメントっぽく書いてある。
学生時代からの夢 社長業の実現の為、雄志であつまり、独立し企業として飲食産業へ参入。来客する客が、食事を通して暖かい一瞬を共有する場を提供する企業作りをめざした日々の努力が記述されている。小説としては、実際の企業運営をベースにているので、ドラマティック的な展開はないが、その都度その都度のビジネス発展へのアクションがプロジェクトXっぽくて面白かった。
日本製粉との提携のドラマは、協力者の坂元氏の大企業内での振るまいは、感嘆した。企業の成長でのキーポイントで要人との出会いは、美辞麗句されてる感はあるが、出会いと繫がりの大切さを痛感させられる内容であった。
ビジネス的に面白かったのは、株式公開、上場までの手順と必要とされるもの、マイルストーンが明確に書かれており、その部分は勉強になる。ちょっとした株式公開の入門書にもとれるところもあり、上場までのプロセスの厳しさも体感できる。
仮にこの小説のとおり、ワタミの代表渡邊氏がお客を大切にする信念、社員を大切にする心が本当であれば、非常に良い企業体だと思ったが、その部分は脚色されてるような印象もある。
ビジネスシーンごとの渡邊氏、社員の努力には、頭がさがる部分もあり、そういう
部分の誠実さというものが重要な要素だということがわかった。
なかなか良い本だと思った。