寺さんの【伝えたい話・残したい話】

新聞記事、出来事などから伝えたい話、残したい話を綴っていきます。
(過去掲載分は「付録」の「話・話」を開いて下さい)

(第3525話) お年玉

2023年07月16日 | 出来事

 “郵便物の中に、息子宛ての葉書がありました。私が平素お世話になっている銀行からのお知らせです。息子の預金が何年も出し入れがないのでどうしますかとのこと。これはどうしたものか。十年前に息子は亡くなっています。独身だったので家族もありませんし、通帳もありません。額は些少でしたので、手続きすれば簡単に頂けるものと思い、銀行に電話しました。
 すると「本人の戸籍謄本がいります」とのこと。市役所へ行って謄本をもらい、銀行に出しました。ところが本人の出生地の戸籍が必要だと。本籍は現住所なのですが、出生地は他県でしたので、他県の市役所に問い合わせました。遺産相続になるので、相続人の印を押すとか、いろいろ煩雑な手続きを経て、やっと成立し、わずかぱかりの金額を受け取ることができました。四十五歳で交通事故で逝った息子から生前、お小遣いなどもらったことはないですが、思いがけず「お年玉」をもらうこととなりました。
 主人が逝って二年。生きていたら、全部主人がやってくれたことでしょう。それにしても、思わぬ手間がかかってしまいました。でも頭のいい運動になりました。天国の息子よ、お年玉、ありがとう。”(6月28日付け中日新聞)

 岐阜県大垣市の主婦・清水さん(81)の投稿文です。清水さんは45歳の息子さんを亡くされ、そして今回思いがけなくその息子さんからお年玉をもらうという、体験をされた。寂し中にも、ホッと嬉しくなる出来事だったでしょう。人生にはこんなこともあるのだ。
 しかし、いくらのお年玉だったかは知りませんが、この手続きは大変だったようです。それもご主人を亡くされた後で、全部自分にかかってきました。こんな額でこんなに大変ならもう諦めよう、と言う気になられなかったでしょうか。でも手続きは額の問題ではありません。相続人の確定など法的問題です。間違っていたら大変ですから、相手方は徹底的に調べます。私も3度経験しました。義弟の時はもう諦めようかとしましたが、お願いした司法書士の方が頑張ってくれて、無事解決しました。
 相続は手続きだけでもこのように厄介です。こじれたら更に厄介です。相続問題でこじれて、それがきっかけで犬猿の仲になる場合もあります。そんな例をボクは何人も知っています。できるだけ整理しておくのも務めでしょう。


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