吐露と旅する

きっと明日はいい天気♪

さっちゃんと、テレビを観る

2012-11-26 14:13:32 | インポート
昨夜、NHKで21:00から放送していた、『大海原の決闘!クジラ対シャチ』を
ご覧になった方はいらっしゃいますか?
私は、さっちゃんと2人で並んで観ていたのですが
普段は、あまりテレビを観ないさっちゃんが
舞台が大好きな海だったせいか、珍しく集中していたので
私も、釣られて観ているうちに、夢中になってしまいました。

コクジラという種類のクジラは、メキシコの温かい海で出産をします。
温かい海でなければ、子供が育てられないからです。
可愛い赤ちゃんクジラに母乳を与えたり
水面に上がって、息継ぎをする方法を教えたりして
お母さんクジラは、愛情たっぷりに赤ちゃんクジラを育てます。
やがて母と子は、食べ物が豊富にあるアラスカのゲーリング海峡へ向かって
仲間の親子たちと共に、群れを作って旅に出ます。

ところが、その途中で、シャチの大群に襲われてしまいます。
シャチたちは、まだ弱くて皮膚の柔らかい子クジラを、容赦なく襲いかかります。
必死になって抵抗する子クジラと、子クジラを守ろうとする親たち。
シャチたちは、隙を狙って一頭の子クジラに狙いを定めると
上から、横から押さえつけて、窒息させようとします。
もはや、母クジラにも、親クジラたちにさえ、なす術もありません。
そして、やがて抵抗出来なくなった子クジラを、シャチが食べるのです。
生きて行くために。
毎年、アラスカへ向かう旅の途中のクジラたちのうち
約半分の子クジラが、こうして命を落とすのだそうです。

「ちょっと、ひどくない?」
私がテレビに向かって叫ぶと
隣にいた子クジラが、私の顔を見上げました。
「一生懸命、愛情たっぷりに育てた赤ちゃんなのに
 お母さんの目の前でって、あれはないでしょう」
子クジラが、どうして良いのか分からず
取り敢えず、胸ビレで私の肩を抱いて、なだめようとしました。
この辺で、私はちょっと調子にのってしまいました。
「私の目の前で、もしそんなことが起きたら
 シャチなんて、みんなやっつけてやるんだから!」
子クジラは、わかった、わかったというように
胸ビレで、私の頭を、いいこいいこしてくれました。
「えーん!えーん!」
私が、オーバーなくらい激しく泣き真似をすると
子クジラは、胸ビレを使って、一生懸命なぐさめてくれました。

すげー可愛いんですけど。

母クジラとはぐれて、1頭だけで旅をする子クジラがいました。
それに気付いたシャチの群れが、静かに接近します。
広い海原、子クジラを守るものはありません。
シャチの群れが、子クジラを襲います。
抵抗する子クジラですが、とても敵いません。
その時、海の向こうから、叫び声が…。
大人のコクジラでしょうか?
いえ、違います。
ザトウクジラの群れが、叫び声をあげながら、ものすごい勢いでやってきます。
シャチの群れに追いついたザトウクジラたちは
長さ5mもある胸ビレで海面を叩き、大きな尻尾で海面を打ち鳴らせて
シャチの群れを攻撃し始めます。
ザトウクジラの胸ビレがまともに当たると、致命傷になることもあるそうです。

そうです。
ザトウクジラの群れは、自分たちとは種類が違うコクジラの子供を守るために
命懸けでシャチと戦っているのです。
20分ほどの攻防戦の後。シャチたちは引き上げていきました。
そして、また旅を続ける子クジラ。

ザトウクジラが、何故自分たちと違う種類の行き物を守ろうとするのか
詳しい理由は、まだ分かっていないのだそうです。
30年近く、クジラの生態を研究している生物学者が、こう言っていました。
「弱い物を守ろうとする、無償の愛
 愛情に溢れた生き物なのでしょうね」

実際に、ザトウクジラがアザラシの赤ちゃんをシャチから守るために
胸ビレの脇(付け根)もアザラシの赤ちゃんを抱きかかえ
背泳ぎでシャチの群れから救出する写真も公開されていました。

「ザトウクジラって、すごいね」
私が興奮しながら言うと、私の隣の子クジラは
まるで興味なさそうに、うんうんと頷いておりました。