吐露と旅する

きっと明日はいい天気♪

呼び捨て

2012-11-10 11:36:33 | インポート
さっちゃんは、中学生になった頃から
自分のお洗濯ものは、自分でお洗濯をしています。

偉そうに言うと「身辺自立」というのですが
要するに、「自分のことは自分でする」と、言うことです。

お陰で、高等養護学校で寄宿舎に入ったときにも
洗濯に関しては苦労することがなかったし
卒業後も、私は口だけ出して手を貸すことは、ほとんどありません。

さっちゃんのお洗濯曜日は、数年前までは「毎週末」だったのですが
週末は、遊んだり出掛けたりで忙しいせいもあってか
いつの間にか、平日の帰宅後に変わりました。
それも、お風呂だ夕飯だと慌しくて落ち着かないので
いつしか、平日の朝にお洗濯をするようになりました。
本人なりに、色々と工夫をして、調整をしているところが面白いです。

でも、折角さっちゃんが工夫をして調整した朝のお洗濯ですが
それでなくても、寝ぼすけで、うごくのがゆっくりゆっくりなさっちゃんが
お洗濯だからといって、起床後にテキパキと動けるはずもなく。
ましてや、お洗濯をするからと、早めに起きるはずもなく。

5:30頃から、何度も何度も声を掛けて
やっと起きたのに、動き出すのに時間が掛かり
やっと動き出しても、お洗濯に取り掛かるまでに時間がかかり…

毎回、毎回
「お洗濯をするなら、どうしてさっさと動かないの!?」
と、私におこらりています。

結局、お洗濯物を干すのは、お父さんも私も家を出た後になってしまい
(お父さんも私も、家を出る時間が早いのです)
さっちゃんが、8:00前に到着する送迎バスに間に合うためには
朝、さっちゃんのお出掛けの準備を手伝ってくれるヘルパーさんに
お洗濯物を干すのを、手伝ってもらわなければなりません。

と、ここまで書いていて気付いたのですが
もしかしたら、ヘルパーさんに手伝ってもらうために
わざと、もたもたお洗濯をしているような気もします。
早々とお洗濯を終えてしまうと、自分で干さなければなりませんものね。
うーん、あいつめ。
やっぱり、本人なりに「色々考えて、工夫している」様ですね。

さて、朝、さっちゃんのお出掛けを手伝ってくれるヘルパーさんですが
その日によって、違うヘルパーさんがやってきます。
今のところ、Eさん、I ちゃん、Dちゃんの3名が来てくれているのですが
他の利用者さんの都合や、ヘルパーさんたちのシフトの関係上
この曜日はこのヘルパーさんと、決まっているわけではありません。
Eさんが2日連続で来てくれることもあれば
EさんとDちゃんが代わる代わる来てくれることもあります。
その3名の中で、必ずお洗濯物を干すのを手伝わされるのが
何故か、男性ヘルパーのDちゃん。
去年くらいまでは、Eさんも I ちゃんも手伝わされていたらしいのですが
Dちゃんとの作業が、一番さっちゃんの気に入った様で
Dちゃんが水曜日に来るなら、お洗濯は水曜日
Dちゃんが木曜日に来るなら、お洗濯は木曜日
例えば、火曜日、水曜日と続くなら、2日目の水曜日
水曜日、木曜日と続くなら、やっぱり2日目の木曜日に、お洗濯をします。
何故、Dちゃんばかりが狙われるのでしょうか。
今のところ、誰にも分かりません。
Dちゃんが、さっちゃんを甘やかして、お洗濯物を全部干しているわけでもなく
きちんと、お互いに分担を決めて干しているようだし
それは、Eさんも I ちゃんも同じなのだそうです。
干し方が、さっちゃんのツボにヒットしたのでしょうか。
でも、干してある衣類を見る限り、他の人との違いは分かりません。

謎です。

さっちゃんは、毎週末に介護事業所からファックスで送られてくる
『らいしゅうのよてい』を見て、担当ヘルパーさんをチェックし
翌週のお洗濯曜日を決めているのです。
難しい顔をして、真剣に予定表をチェックするさっちゃんの表情は
はたから見ていると、ちょっと面白いです。

通称「お洗濯係」のDちゃんは、苗字のイニシャルをとって「Dちゃん」です。
さっちゃんとDちゃんのお付き合いは、もうかれこれ5年以上になると思うのですが
その間、さっちゃんは、ずっと「Dちゃん」と呼んでいます。
一緒にカラオケに行ったり、映画を観に行ったこともありますし
家で一緒に調理をしたことも何度もあります。
お友だちというよりは、お兄ちゃんの様な存在らしく
時々、ちょっぴり甘えたりすることもあります。
そんなさっちゃんに、最近変化が見られました。
なんと、Dちゃんのことを、下の名前で呼ぶのです。
しかも、呼び捨て。
仮に、Dちゃんの下の名前を「ヨシツネ」としましょう。

「ヨシツネ、いつですか?」
「ヨシツネとおせんたくする」

と、こういった感じです。

私たち家族の前では、散々「ヨシツネ」「ヨシツネ」と呼び捨てにしておきながら
何故か、本人の間ではそう呼ばず
本人の前では、もっぱら「ハゲ」と呼ぶらしく
もし、Dちゃんが本当につるつるした人なら、私も本気で止めますが
幸いなことに、Dちゃんは、さふさした人なので
好きな人をいじりたい、「幼稚な愛情表現の一種」と解釈して
今のところは、そのままにしています。
Dちゃんが不愉快な思いをしているなら止めさせますが
なにせ、本人がふさふさなので、あまり気にしていない様なのです。

問題は、「ヨシツネ」です。
何故、急に「ヨシツネ」と呼ぶようになったのでしょうか。
今年の夏の終わりごろに、他のお友だちやヘルパーさんたちと
みんなで公園へ行って遊んだことがあるのですが
どうも、その日が初「ヨシツネ」だった様で
それ以来、家ではもっぱら「ヨシツネ」

何故、公園で「Dちゃん」が「ヨシツネ」になったのか。
他のお友だちの前で、自分だけ違う名前で呼びたかったのか。

謎です。

しかし、問題なのは、そこではなく。

さっちゃんの「ヨシツネ」の言い方が、ちょっと可愛いものだから
お父さんも私も、いっぱい「ヨシツネ」と言わせたくて
今では、家では家族全員がDちゃんのことを「ヨシツネ」と呼んでいるのです。
「来週は、火曜日がヨシツネの日だよ」
「早く起きないと、ヨシツネが来ちゃうよ!」等々…。
でも、Dちゃん本人の前では、さっちゃんは「ハゲ」
私たちは「Dちゃん」と呼んでいるので
Dちゃん本人は、私たちに「ヨシツネ」と呼ばれていることを知りません。

それがバレたところで、くすっと笑う程度で、全く気にしない人なのですが
そういうところが、お洗濯係に選ばれて、呼び捨てにされる理由なのでしょうか。