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雑感録

これがぽ~ちゃんだ その4『RED ROSE SPEEDWAY』

 
RED ROSE SPEEDWAY(1973 Paul McCartney & Wings)

出た~っっっ! ウイングス2作目にしてポール節全開!とまでは全然いかないが、あまりに趣味的すぎた1作目から比べたら、だいぶポップでだいぶマトモ。
さすがに前作が散々だったため、バンド名にポールの名前を入れさせられたり、2枚組にできるほどレコーディングしながら1枚に絞り込まされたりと、かなり注文をつけられたらしい。
なんとなく『RAM』的な雰囲気が漂うのは、『RAM』制作時の曲も入っているからか。
地味で散漫な印象も受けるが、ポールらしい小品もあり、個人的にはけっこうお気に入り。

01 Big Barn Bed
『RAM』でちょろっと出てきたヤツの本ちゃん。オープニングとしてはまずまずの滑り出し。

02 My Love
中山康樹先生の言うところの“笑っちゃうほどの名曲”。ポールファンじゃない一般リスナーが好むポールのバラード、『Yesterday』『Let It Be』『the Long and Winding Road(フィル・スペクター版)』の部類。ちょっと甘過ぎかな。「ウォウウォウォ~ウウォ~」の思いっきり音が下がる部分で、さすがのポールでも音程が不安定になるあたりはご愛嬌。ギターソロは妙に味があるなあ。
http://www.youtube.com/watch?v=d9hJr_5QH2A

03 Get on the Right Thing
『RAM』不採用曲の敗者復活戦。ドンデンドンデンドンデンドンデンのオクターブのベースがカッコイイ。曲そのものはあっという間に書いたというか、ちょっとツメが甘いような気がする。スピード感を醸し出すアレンジがすべて。

04 One More Kiss
これこれ、ポールの醍醐味は小品ですよ。内容は他愛もないけど、2本のEギターの微妙な絡みが楽しい。

05 Little Lamb Dragonfly
ポール十八番(おはこ)の“サンドイッチ形式”。『Little Lamb』と『Dragonfly』の2曲を合体させたということだろうか。これも曲そのものは『RAM』の時に作られていたらしいが、なぜそのときボツにしたんだろう? これまで入れると全体的に重くなるので、次回作以降に入れるつもりではずしたのかな。ちょっとおセンチすぎる感があるが、訥々とした物語風。ポールの卓越した歌唱力には脱帽するしかない(最初の『Little Lamb』部分はデニーのボーカル)。「キープカ~ミンバ~ッカゲ~ン」のあたり、涙が出るわ。

06 Single Pigeon
これこれこれこれ!やっぱ、ポールの醍醐味は小品でしょう? 日常的な情景を淡々と歌う、その淡々ぶりがたまらない。そのくせ間奏はホーンで妙に盛り上げる。リンダのとぼけた「ミ~トゥ~」も許せる。

07 When the Night
スパニッシュっぽいギターの音や、キーボードで弾くベース音、しゃべくりっぽいポールのボーカルなど、妖しげな雰囲気の曲。なんちゃないけどなんか味がある。

08 Loup(1st Indian on the Moon)
コーラス付きインストロメンタル。どうでもいいけど、デニーの声はインディアンのイメージにぴったりやなあ。

09 MEDLEY Hold Me Tight/Lazy Dynamite/Hands of Love/Power Cut
メドレーにしたいってのが先にあったのか、流れやつなぎが不自然で、無理やっこメドレーにしたって感じ。『ABBEY ROAD』の“Huge Medley”とは大違い。個々の曲もよくあるパターンでさほど聴くべきものはない。

***CD版ボーナストラック***
10 C Moon
シングル『Hi, Hi, Hi』のB面。なぜA面曲より先に並べたのかは不明。レゲエ調の童謡って感じでいかにもB面曲だが、本人はいたくお気に入りのようで、ライヴや企画盤でもよく取り上げている。

11 Hi, Hi, Hi
ポールの面目躍如のノリのいいロックンロールながら、セックスソングということで放送禁止の憂き目に(狙ってやってるんではないかと思うが)。全面的にボトルネックをフィーチャーし、高音域のボーカルでラリった感じを出している。「ウ~、ベイブ!」でさらにテンポを上げて、ジャーンジャッジャ、ジャジャジャジャ~ンでおしまい。シンプルandストレートisベスト!

12 the Mess
シングルカットされた『My Love』のB面で、ライヴで収録。まあ、これくらいのロックはポールの引き出しには掃いて捨てるほどあるんじゃないのって感じの1曲。なぜ履いて捨てずにリリースしたのかは知る由もない。

13 I Lie Around
Live and Let Die(007 死ぬのは奴らだ)のB面。雰囲気的にはとても『WILD LIFE』的でダラダラ。おまけにボーカルはデニー。バンドを重視するポールの気持ちは分かるが、ファンが聴きたいのはデニーの歌ではないのだよ。

***この時期の他のオリジナルシングル***
Live and Let Die
映画『007死ぬのは奴らだ』のサントラを担当したジョージ・マーティンが主題歌をポールに依頼したそうで、黄金コンビが久々に復活。硬軟緩急織り交ぜてのめまぐるしい展開で、次の『BAND ON THE RUN』の大ヒットを予感させるに十分な傑作。ライヴではバーン!の花火がお約束。スタンド席の上の方だと爆音が微妙に遅れてしまうが、'02年の東京ドームアリーナ2列目(自慢)のときは、熱風まで伝わってきて、ものすごい迫力だった。

つづく
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