青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

弘前圏の足として

2019年02月05日 17時00分00秒 | 弘南鉄道

(弘南鉄道高校シリーズ@弘前東高前駅)

「弘南鉄道には、大学や高校をはじめ学校の名前がつく駅がとにかく多く…」なんて今回のさわりの部分で申し上げましたが、弘南・大鰐線合わせて27の駅のうち、7つが学校関連の駅名を持ちます。約25%は多いよね。そのうちの一つ、弘前東高前駅。高校は2005年から普通科の併設のために現在の名前(弘前東高校)となっていますが、以前は工業科や電気科を中心とした工業高校(弘前東工業高校)でした。そのため、学校の内容に合わせて駅名も南弘前→東工業高前→弘前東高前と変遷を遂げています。駅の入口の上のオレンジの行灯がインパクトありますが、他の駅でも見られるこのデザインが弘南スタイルのようです。


駅の位置は、弘前の駅から南に900m。付近には高校の他にも大型店舗や住宅街があり、駅前ではタクシーが客待ちをするなど活気のある駅のように思えます。黒石行きの到着の時間が近づいて、三々五々にホームに上がって来る乗客たち。防寒対策をしてブクブクと着込んでいる自分に比べて、真冬でも案外と津軽の人たちは自分には軽装に思える。トカイの軟弱モノなんかに比べりゃ、そら寒さに対する耐性が違うんだろうな。


行き先も見えぬほど、巻き上げた粉雪でびっしりと覆われた電車がホームに入って来ました。なんかね、弘南鉄道の車両って編成ごとにヘッドマーク付いてたりして楽しいですけど、こうなってしまってはヘッドマークもただの白いお皿でヤマザキ春のパン祭りでしかない(笑)。朝の風景を見ていた感じでは、駅の利用者は八割方が定期券利用の学生で、残りが通勤客と言う感じ。

 

通学時間が過ぎ、静けさの中の駅の待合室。窓に張られた「定期券の貸し借りは不正行為です!」というアタリマエの貼り紙も、学生が中心の駅らしいと言えばらしい。学割とはいえ、貴重な収入源の定期客からヤンチャされたら死活問題だもんなあ…なんて思いながら、使い古されて木の部分があめ色になってしまったベンチに腰かけて弘前行の電車を待つ。弘前東高前は、平日の朝と夕方の通学時間のみ駅員が常駐しており、駅舎内では妙齢の女性が一人、朝の仕事の後片付けのような雰囲気で書類の整理中。あまりに静かすぎて、カサカサと言う紙擦れの音がこっちまで聞こえて来た。


ホームに進入する弘前行き12列車。東高前の駅は以前は2面3線の規模を持ち、貨物の取り扱いもあったそうです。今は交換設備も取っ払われて、大きく湾曲するホームの片面を使用するのみになっていますが、現在でも毎日350人ほどの乗降利用があります。多くは学生利用なのだろうけど、地方のローカル私鉄にとって、利用者は一人でも多い方がいいに決まってるよね。

 

乗車時間わずか2分ほど。弘前の駅に降り立ってみれば、今度は折り返しの黒石行きを待っていたお客さんが、待ちかねたとばかりに改札を通って列車へ乗り込んで行く。失礼ながら、こと弘南線に関しては「平日の朝と言う一番のピークタイム」に限れば、自分が思った以上に乗客が多かったなあ。2両編成では大方のつり革が塞がるほどの乗客がいて、それが弘前行きでも黒石行きでも乗客の流動量はそう変わらない感じなんですよね。


弘前を中心に結び付きが強い弘前・平川・黒石の三都市間の双方向の移動ニーズは、思った以上に高いと言えるのかもしれませんな。
データイムの閑散時間帯の他は30分ヘッドのパターンダイヤという頻度も、頷けるところです。
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