青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

祝・復活、井川線。

2011年08月16日 10時08分06秒 | 大井川鐵道

(祝・復活@沢間~土本間)

森の中を抜けるDD201。普通井川側には制御客車が付くんだが珍しいな。この列車を待って三脚を構えてたら、軽に乗ったおっちゃんがご丁寧に「ここ電車来ないよ!」って教えてくれた(笑)。「金曜日から復旧してるんですよ」って言ったら「ヘエ~兄ちゃん地元よりよう知ってるな!頑張って!」だってwってよく考えたら井川線の存在感ってそんなもんなんだろうか。まあ一日5往復くらいじゃしょうがないのかね~。川根地区も結構な爺さんになっても車乗ってるもんなあ。あ、ヘッドマークの「恋錠」ってなんなんだろって思ったらこう言う事なのね。「宍戸錠に恋してるツアー」かと思ったよ。当然乗客は全員含み綿なんだろうが(笑)。


ほとんど乗客のいない駅ではあるんだが、検車区・車掌区があり井川線の中核をなす川根両国にも列車が戻ってきました。民家に咲くサルスベリの花の色も夏らしいですね。この川根両国の駅周辺には中部電力関係の施設が集まってまして、駅の入口は中電の社員寮の真裏にあるんだがちょっと分かりにくい。駅自体も工事現場の事務所にしか見えないし。


県道から寸又口橋を渡って沢間駅の周辺へ。千頭~奥泉の休止区間は、接阻峡や寸又峡へ向かう県道からは大井川を挟んだ対岸の集落を結んで走ってるんですが、そんな小さな沢間集落の朝を千頭行きの始発列車が行く。この辺りの集落は、南アルプスから続く山を深く刻む大井川に沿って、茶畑と家が段々に続いております。THE・のどかな風景と言った感じですね。

 

沢間駅。砂利引きに土間を打っただけのホーム。この簡素なスタイル、いかにも林鉄然とした雰囲気に満ちた駅ですな。ホームと駅舎の微妙な隙間部分は、以前ここから大間(現在の寸又峡温泉)方面に分岐していた千頭森林鉄道の路盤跡であります。薄桃色の外観の待合室だけがある静かな駅で、五月蝿いのは昆虫類。アブやスズメバチの攻撃に気を付けながら三脚を構えると、井川行きの列車が進入して来ました。


沢間駅と土本駅の間にある寸又川と大井川の合流点「三叉峡」を渡る。一応写真下を左右に流れているのが大井川で、直交しているのが寸又川なのだが、夏の草木に囲まれて分かり辛いですね(笑)。ちなみに左側の山の中を走るガードレールが旧千頭森林鉄道の路盤跡で、この先の土本駅に向かう唯一のアクセスルートとなっております。

 

土本駅。もともとこの集落には道がなく、井川線がなければ来る事が出来なかったプチ孤立集落だった。駅の名前も、住んでいるのが土本さんだったから土本駅。鬱蒼とした森の中の駅、駅前の道を行くと行き止まりでそこに集落の墓地があるのだが、やはり土本さんばかり。そんな土本駅はやはり簡素な土間打ちのホームと、バス停程度の待合室のみ。白線の内側に下がったら落っこちてしまうがな。

 

山間を大きく蛇行して流れる大井川は、奥泉と小山の集落を分ける尾根を挟んでほぼ同じ位置に戻ってくる。この「くびれ」の一番細い部分を俗に「馬の背」と呼ぶそうな。大井川の流れがこのまま馬の背を削って行くと、いずれは繋がって河川のルートは変わってしまうんでしょうね。そんな馬の背の上から細い細い道を入って行く小山集落は、少し開けた南斜面に茶畑が広がる。朝日に輝く鮮やかな緑に心が奪われます。集落のどんづまりにある川根小山の駅は、車もギリギリの斜面沿いの細い路地を伝って行く。ログハウス風の待合室があるこの駅は川根両国、沢間と並んで桜の美しい駅なんだそうで、ぜひその時期に来てみたいものです。


今回は千頭と奥泉の間の復旧区間を中心にスポットを当ててみましたが、アプトいちしろキャンプ場からのアングルは夏限定なんで一枚。なんで夏限定かって~とキャンプ場が夏しか開いてないからなんですが(笑)。川の色が濁ってて残念なのと、ちょっと引き気味のアングルにしすぎたかもしんないけど、強い日差しの空の下で広がる色とりどりのテントを加えて夏らしい一枚を。


千頭の町を一望出来る智者の丘公園から、千頭を後にする井川線の列車を俯瞰。所狭しとさまざまな車両が並ぶ千頭駅は、使い古された表現ではありますがさながらNゲージの模型のよう。遠くから汽笛と踏切の警報音が聞こえると、編成をくねらせながら両国への桟道をゆっくり走り抜けて行く列車の姿が見えました。

祝・復活、井川線。
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