青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

車窓の闇に酔いしれて。

2024年04月13日 09時00分00秒 | えちぜん鉄道

(波止の終着駅@三国港駅)

三国芦原線の終着、三国港駅。かつては金津から出ていた国鉄三国線が、京福電車の線路と並んでこの港町まで足を延ばしていました。福井県では、永平寺と並んで・・・というか、一番の観光地になる「東尋坊」の最寄り駅。もっとも、距離的には近くとも、バスは一つ手前お隣の三国駅からの方が本数も多い。便によっては三国港駅前も通るので、アクセスできないことはないのだが。どっちかと言えば、この駅は水産物を中心にした物資の運び出しのために作られた駅という雰囲気が強く、今でも残る錆びた機回し線が「貨物の駅なんだなあ」という雰囲気を醸し出している。木造瓦屋根の渋い駅舎が、いかにも地方私鉄の終着駅らしい。えち鉄の終着駅は、勝山も三国港も、どちらもいい駅舎を持っていますよね。

駅前の道路を隔てると、九頭竜川の大きな河口から日本海に繋がる風景が見える。三国漁港の漁師さんが船のそばでぼんやりと煙草を吸っている。朝ならば、出船する漁師さんやらなんやらでもう少し活気があったんだろうか。三国港に来るのはいつも旅の終盤だから、午後遅くの訪問になってしまって港町らしい朝の風景を見たことがない。周囲にはこの時期旬のカニを売る鮮魚店や土産物や料理屋などが立ち並んでいるが、基本的には朝から昼までの商売なのか、この時間ではほぼ店じまいとなっていて閑散としたものである。休日なんだけどね一応。そうそう、最近はインバウンド需要というのか単なる物価高なのか、カニも随分昔と比べると高額になりましたよね。前日に福井の居酒屋で出してるカニの値段を見ても、ちょっとこのお値段ではいくら旅先でサイフのヒモが緩いってったってキビシイお値段ではないかと思いましたものねえ。そして三国港駅と言えば駅から歩いて2~3分の所にある「三国温泉ゆあぽーと」。旅の締めにひとっ風呂を浴びるにはちょうど良い場所であり、ちょうど良い施設。天然温泉。海辺の湯らしい塩辛く熱めの湯が湧いている。露天風呂はありませんが、大浴場から眺める日本海がいいんだよね。この日は曇っていて夕日は見れなかったけど、晴れてればいいサンセットが見えるはずです。

ゆったりと広い湯船につかり、サウナなんぞにも入って、ほかほかになった湯上りを館内の売店で売っていた缶ビールをグビリ。すっかりほろ酔いのいい気分になって三国港の駅に戻って来ると、帰りの福井行きが待っていた。この時間から三国の宿にでも入るのか、構内踏切を渡って行く観光客の姿の向こうにカニのオブジェ。福井の港町の風景である。最近、旅先での酒量がことのほか増えたような気がするのだが、昔は旅先で昼間っから飲むとかったるくなって行動が億劫になるからあまりしなかったような気がするなあ。最近は、飲めるときは飲んじゃえ、みたいな感覚(笑)。今回は、鉄道旅でしたしね。

三国港から一時間、福井の街に戻った頃には雨が降り出していた。この二月の福井行き、一泊二日の両日とも曇りか雨のよろしくない予報だったのだけど、結局行程に差し障るような雨が降ったのはこの時だけだったですね。雨に濡れる福井駅の展望デッキ、ダイナソーワールドとして恐竜推しな福井県らしい恐竜のオブジェ。このデッキは北陸新幹線の開業CMなんかにも使われていましたね。家族へ向けての土産物なんかを調達しつつ、18:33福井発のサンダーバード35号で金沢へ。福井~金沢は新幹線だと20分ちょっとらしいですね。牛ノ谷峠あたりの曲線区間を除けば、サンダバも結構なかっ飛ばし方をしているんですけど45分くらいかかりますのでねえ。やはり新幹線は別格の速さだなと。

さて、今回の旅のラストランナーは金沢20:20発のはくたか578号東京行き。ちなみに私が使った「北陸応援フリーきっぷ」、行きはかがやき指定が使えるんですけど、帰りに使用出来るのはははくたかの自由席オンリーというレギュレーションのキップだったんですよね。かがやきだとこの後にもう一本東京行きがあるんだけど。どんくらいの混み具合か分からなかったので、一応入線20分前にホームに上がって自由席の乗車位置で待ってたんですが、拍子抜けもいいところのガラガラでした。軽井沢まで各駅停車、通過するのは安中榛名と本庄早稲田と熊谷だけという実質各駅停車ですからね、はくたか。

金沢駅で買ったささやかな打ち上げグッズ。北陸新幹線の敦賀開業から一ヶ月、開業フィーバーとそれに伴う「敦賀乗り換え」問題がクローズアップされておりますが、それは別の方の著に譲る。そして、北陸土産の定番となりつつある「ビーバー」は、白えび味なんかよりあおさ塩味が神的に美味い。これをつまみにすればいくらでも酒が飲めるのではないかという危険なカワキモノである。ガラガラのはくたかの自由席、車窓は夜とトンネルでは、相手となるのはスマホと酒くらいのもの。三列シートをガッツリ占領してチビチビと飲んだくれながら夜の碓氷峠を下ると、東京駅の到着は23時半。またこっからが長いんだよなあ・・・と重いお土産を手に家路につくのでありました。


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