青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

600秒の至福

2020年10月10日 23時00分00秒 | 富山地方鉄道

(なんだろ、あの人だかり@宇奈月温泉駅前)

14760の山登りを愉しみながら降り立った宇奈月の駅前。地鉄の宇奈月の駅ってのは、黒部峡谷鉄道の宇奈月の駅と比べれば駅舎も小さいし、パッとしたものはないイメージでしてね。あくまでトロッコに乗り換えるか、温泉街の宿泊客が降りるための駅でしかなくて、駅自体に面白みがあるようなトコじゃなかったんですけど。確か昔は食堂だった一角に、若い人を中心の人だかりを確認。最近、宇奈月の駅の1Fにチーズケーキの店が出来たってんで、行ってみたいと思ってたのですが、店の前には行列が出来ていて、四連休でもあって流石の人気のようです。

「ALPEN CHEESECAKE」と言う名前のチーズケーキショップ。2019年にオープンだからまだ開業して1年足らずの若い店らしい。都会でもなく、富山市街でもなく、黒部の宇奈月という場所でもこれだけの行列を集める原動力が「賞味期限10分のチーズケーキ!」というキャッチフレーズも強烈な「幻のアルペンチーズケーキ(税込660円)」なのであります。賞味期限10分なので、当然ながらこのお店の店頭販売限定商品でその場ででしか味わえないというモノなのですが、今回の富山行の少し前にSNSで結構話題になったのを見て行ってみたいなあと思ってしまったのだ。いわゆる「バズったネタ」に乗っかるスタイルで行動を起こすことはあまりないのだが、まあたまにはそういうのもいいでしょって事でw

お店の前に割とカップル多めかつ長めの並び列に、「男一人でカツプルに囲まれながらチヰヅケヱキなどと・・・」とちょっと怯んでしまったので(笑)、宇奈月温泉の総湯で汗をさっぱり流した後に改めてチャレンジ。列が短くなっていたのでそそくさと並び込む。店のスペースは狭く、僅かな外席に座る場所がある他は店内のカウンターで富士そばのごとく立ち食いなのであるが、食べるのは「賞味期限10分」のシロモノなのであまり問題はないのかもしれない。恭しくガラスのカバーに包まれて出て来たアルペンチーズケーキ。アルペンだけど四角錐のピラミッド型。スプーンがシャベルなのが洒落ている。

周りを見ていると、供されてからほぼすべての人がスマホで写真を撮るのが今どきの流行りもの、と言う感じがする。別添えのラズベリーソースをかけていただきますと、淡雪のようななめらかさの中に、濃厚な乳製品の舌にまとわりつくようなコクと爽やかな酸味があって、チーズケーキと言うよりはババロアとかスフレだとかそっちの類の食感。しっかりとした甘みと、乳製品のまったり感が頭の先からつま先までを満たしてくるような感覚で、なるほど人気があるのも頷ける(宇奈月だけに)味なのであります。それと、「賞味期限10分」というコンセプトが上手だなあって感じがしますよね。来なきゃ食えない限定モノってのは訴求力が強いよ。幻のアルペンチーズケーキ、美味しゅうございました。

黒部峡谷での電源開発の前線基地として、そして電源開発に勤しむ労働者たちの慰労のため、黒薙から引かれた温泉を使って開発された保養地である宇奈月温泉。富山の奥座敷を後に、京阪カボチャで新黒部に戻ります。一応エリア特急「くろべ」なんですよ。カン付かないから分かんないけど・・・ってか緊急事態宣言が出てから地鉄の電車ってカン付けなくなっちゃたけど、このままでいいのか?という気がしている。地鉄のカン付け文化は絶やしちゃいけないと思うんですけどねえ。

コメント
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