青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

あの頃を探して

2013年04月14日 21時50分15秒 | いすみ鉄道

(急行そと房 キハ28+52@いすみ鉄道大多喜駅)

週末あるからには、趣味に生きることこそ楽しけれ。先週に引き続いての土日行脚は、最近故あって週末の息子の管理を一任されている事による。まあ家で家事に勤しみ遊んであげるのもいいんだけれど、家にいてもつまんないっしょ。と言うか最近週末はどっか連れてってくれるんだよね?的な感覚を覚えているようで、気のせいか土日は目覚めが早い我が息子。そんなトコまで親に似るとはカワイイ奴め、でもそう期待されてしまうとネタを仕込むのにも苦労する(笑)。クルマに乗せてやればゴキゲン、カーステレオでももクロをかけてあげればゴキゲン、電車が見れたらもっとゴキゲン。そんな子供をダシにして、ヨメ公認の日帰り旅行。今日は房総ローカル昭和の旅、キハ52に続きキハ28をぶっ込んだヲタによるヲタのための鉄道(誉めてます)・いすみ鉄道の旅。


ちょっと小湊を冷やかしてから大多喜に着いたのが午前11時。キハ28+52の編成で運行されるスジで大多喜11:30(103D普通)→上総中野11:52=12:13(104D急行そと房2号)→大原13:20=13:52(105D急行そと房3号)→大多喜14:29と回って来ました。中野まではキハ52、大原までは指定券取ってキハ28、帰りの大多喜まではキハ52とそれぞれ平等に乗り比べ。大きく窓を開けて房総の里山を眺める不肖我が息子。感想を聞いたら「きもちい~ね~!」だって。

  

上総中野で折り返す急行は小湊鉄道との接続を受けて発車。普通列車から急行に種別が変わるのでサボ交換のシーンなんかも見られたりして…以前は接続駅にも関わらずまーったく利便性のないダイヤでお互い我関せずを貫いていた小湊&いすみの両社も、ここへ来て「房総半島横断のローカル線」としてのアイデンティティを共通項に連携が取れて来てる感じはしますね。それにしても上総中野で相まみえる国鉄型気動車と国鉄キハ20系列をモチーフにした小湊のキハ200の並びは、全国のボロキハファンが座りションベンしてもおかしくない垂涎のシーンなのではないでしょうか(笑)。


急行運用では指定席になるキハ28の車内。高山本線の富山口で最後の最後まで粘っていた車両をJR西の松任工場でリフォームして投入されておりますので、きれいなモケットに張り替えられたクロスシートの明るい車内でございます。子供と差し向かいで座るボックス席、ボックス席に座ると何か食べたくなるのは習性みたいなもんで、乗車する前に大多喜の駅で子供用に買っておいた「い鉄揚げ(ソース味)」を二人でポリポリ。


大多喜から急行に化けて最初の停車駅国吉。元々急行って言っても先を急ぐ性質の類ではなく、旧型気動車を使用したジョイフルトレインみたいなもんですからここで列車交換を兼ねて10分間の停車。乗客の撮影タイムもしっかり取って、駅に併設された物販ブースでお弁当買って…と極めていすみ鉄道ペースで物事は進んで行くのであります(笑)。


「昭和の気動車急行の旅」をコンセプトにしてるので、国吉駅ではこんな感じのサービスもあったり(笑)。もちろん現状タブレットで閉塞してる訳ではないのであくまでアトラクションの扱いなんですが、こう言う徹底したマニア受けを貫く事によって、物見遊山な一般の観光客の興味も引くってもんなんでしょうね。どうせなら「急行砂丘」みたいに通過駅でタブレット投げちゃえよ!同じキハ28だしな。

   

コンセプチュアルなコダワリその2。いすみ鉄道社長氏のコレクションだと言う車内の中づり広告。みんな国鉄時代のもの。さすがにアタクシ的にも懐かしいとか言う前のモノだけにほう…と言うしかないのだが(笑)、樽沢トンネルを抜ける「特急白根」の広告とかカッコイイですなあ。上原謙と高峰三枝子のフルムーンパスってのも渋い!似たような商品でナイスミディパスってのもあったと思うのだが今どうなっているのでしょう。


国吉駅で買った弁当を子供と食いながら、そんなこんなで上総中野から1時間の旅は全く退屈することなく大原駅に到着。ほとんどの客が折り返しの急行に乗って戻って行くようで、外房線への波及効果は限定的のようです(笑)。まあいすみ鉄道の場合観光目的でアクセスするならほとんどが車で大多喜にジカ付けだろうからなあ。来週には圏央道も東金まで開通するし、そうなると市原鶴舞ICから大多喜までは車で30分くらいだもんね。

 

返しの国吉駅ではキハ52側のエンドをじっくりと。米坂線のキハ52は乗った事あるけど、このキハ52125は糸魚川にいた大糸線の残党です。JR東のキハ52シリーズはみんなミャンマーかどっかに再輸出されたんだっけね。翼を広げたような独特のヘッドマークは、昭和40年代の房総地区の気動車急行に付けられていたものをそのまま復刻したんだそうな。大糸線で単行ワンマンの運用だった両運車のキハ52に片運車のキハ28をくっつけたこのデコボコ感は、ある意味高度経済成長時代に赤字にあえいでロクな設備投資も出来なかった国鉄のやりくり算段的な雰囲気があります。

 

大多喜駅で下車した後は、車で西畑駅周辺まで追っ掛けて行って撮影してみました。早場米の産地である房総半島は、桜が終わったと同時に田んぼには水を入れて田植えの準備に入ります。そんな里山の優しい風景にマッチしたデコボココンビのゴーニーニッパの2連が、エンジン音も高らかに西畑の里を往く。鬱蒼とした森も、芽吹きの若葉にいくらか明るい雰囲気。そんな若葉の森をかき分けて顔を出すキハ28の表情…平成も25年になると言うのに、こんな光景が見られるなんてねえ。

正直昭和40年代を知らないアタクシですが、「初めて見るのに懐かしい」ってのはこう言う事なのか。
素直にいすみ鉄道の「国鉄型気動車を利用したブランディング力」に敬服なのであります。
コメント
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