青空、ひとりきり

鉄路と旅と温泉と。日々の情景の中を走る地方私鉄を追い掛けています。

ヘッドライト・テールライト

2009年03月14日 13時14分33秒 | 日常

(最終9002レ寝台特急富士・はやぶさ@辻堂~藤沢間)

最後の朝は、あいにくどころか物凄い暴風雨。
天気さえ持てばちょっと遠征して撮ろうかと思っていたのだが、とてもじゃないけどそう言う状況ではなく。
と言う訳でお別れはここ2ヶ月弱通い詰めた辻堂~藤沢間で。
昨晩の九州管内の遅れを引きずり、定刻からは約1時間半遅れでした。

昨日からのニュース番組での取り上げられ方は、ある意味凄いものがありましたね。
何をしてみんなこの列車に惹きつけられ、別れを惜しむのでしょうか。
まあ、そんな事言ってもお別れを言いに自分も出掛けて来てしまったのだけど。

沿道は、悪天候にもかかわらず惜別の列が長く続いていました。
いっつも屋根にでも登れそうなデカイ脚立の上に座布団を敷いて、じーっと待ってるオヤジさん。
通過直前に車で来て、子供と通過を見送ってすぐ帰る親子連れ。
線路際の歩道のガードレールの上に立って狙う同年代のマニアの男性。
さすがに2ヶ月弱通っているとここも顔なじみが増えたなあと感じる(笑)。
そんな常連に混じって、今日はただ見送るためだけの家族連れや老夫婦も多く集まりました。

EF66のライトが辻堂駅に見えた。
沿道の声援に応えるように、ピョー、ピョー、と甲高い機関車独特の汽笛を二回。
いつもよりもゆっくりと、辻堂~藤沢のストレートを駆けて行きます。
春の嵐も心なしか和らいだ中、沿道の人が手を振る。車窓もそれに応える。
自分も、この青い列車の最後を、通過するまで僅か30秒足らずの間ではありましたが手を振って見送らせて頂きました。
機関車の汽笛と、客車独特のジョイント音って本当にいいよね。
何と言うか胸の詰まる、栄光の九州寝台特急の最後です。
「ありがとう~!」とか言うのもしらじらしいような気がして特に何も言えなかったけどw

窓から手を振る乗客と沿道の人々。
遠ざかって行くテールに付けられた回送用の赤プレートが、もう帰らない旅の証。
思い入れの量は人それぞれでしょうが、やはり一抹の寂しさを感じずにはいられないですね。

最後に、昨日の報道の中で一番味わい深かったのがNHK7時のニュース。
番組の終わりに富士ぶさの最後を伝える武田信一アナは、熊本出身なんだそうで…
徳島かと思ってたw
「私もこの列車で故郷を後にしました さようなら」
特に飾る言葉もなく、淡々と伝える中に思いが詰まった感じが素晴らしかったよたけたん。
本日21時からは「富士・はやぶさ」の特番もやるそうで、なんとも鉄優N。

みずほ、さくら、瀬戸、出雲、あさかぜ、銀河、そして富士はやぶさ。
消えて行った東海道の流星群は、いずれ語り継ぐ人もなく、吹きすさぶ風の中へ。
せめて、紛れ散らばる星の名だけは、忘れはしまい。

ヘッドライト、テールライト。

コメント
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