映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

マラヴィータ

2014年07月17日 | 映画(ま行)
痛快・過激な“ファミリー”の話



* * * * * * * * * *

マーティン・スコセッシ製作総指揮、
監督リュック・ベッソン、
出演がロバート・デ・ニーロにトミー・リー・ジョーンズと、
なんとも贅沢なこの作品。
それも力が入りすぎず、それぞれのこれまでの経験を踏まえて、
痛快かつユーモアに満ちた作品となっているのは、ウレシイ限り。



FBIの証人プログラムにより保護されている、元マフィアのブレイク一家。
元のシマであるニューヨークを離れ、フランスの各地を点々としています。
というのも、当主フレッド(ロバート・デ・ニーロ)、
その妻マギー(ミシェル・ファイファー)、
長女ベルに長男ウォレン、
みな似たもの家族で、キレるととんでもない事になってしまう。
それでご近所とすぐに揉め事が起こってしまい、転居しなければならないハメになるのです。
彼らを監視し保護するのがFBIのスタンフィールド(トミー・リー・ジョーンズ)。
いつも苦労が絶えません。
本作は彼らがフランスの片田舎ノルマンディーの町へやって来たところから始まります。
この一家の滅茶苦茶に過激な生活の様子が描かれていきますが、
そんな時、フレッドに恨みを抱くマフィアのドンが、
ついに彼らの居場所を突き止め、殺し屋軍団を送り込んでくる・・・。



非常に暴力的でやり過ぎの感のある一家ではありますが、
何故か痛快。
というのも、彼らがキレる場面というのが、
相手が自分たちの悪口を言ったり、プロ意識のない仕事をしたり、
だれでもが「ムッ」と来る場面だから。
でも大抵の人ならじっとこらえるか諦めるかするところを、
彼らはキレて、相手をボコボコにしてしまうのです。
これが実はチョッピリ痛快だったりする。
しかしさすがにフレッドは我慢するということを学んだようで、
時に、相手を打ちのめす妄想だけに留めることも。
はい、その努力は認めます・・・。
またサブストーリー的に、この町で問題となっている
「水道水の濁り」をフレッドが解決するというエピソードがまたいいのです。
やってくれます。



また、ある日マギーが教会で告解をします。
つまり彼らのハチャメチャな生活をありのまま話して懺悔をするわけですが、
その神父の態度がいけ好かない。
無論それを他の人に言いふらしたりはしないのですが、
何かの集まりに彼女が現れた時に彼女を追い出すのです。
まるで悪魔が現れたかのように。
普段気の強い彼女なのに、その時は何もできず、ただ傷つくのですね。
また、長女ベルは数学の教師に恋い焦がれますが、
彼の方は一度はその気になったくせに逃げてしまう。
彼女なら彼のもとに飛んでいってボコボコにのしてしまうだろうと思えたのですが、
そうはならない。
こんな風に、この一家のハチャメチャながらもちょっぴりナイーブな面を覗かせるところが、
またしびれるのです。
・・・なんというか、さすが職人技を思わせるユニークな作品。



ところで、マラヴィータというのは、この家族が飼っている犬の名前。
いやさすが、やっぱり犬までもが“ファミリー”でしたね。
納得。

マラヴィータ [DVD]
ロバート・デ・ニーロ,ミシェル・ファイファー,トミー・リー・ジョーンズ,ディアナ・アグロン,ジョン・ディレオ
Happinet(SB)(D)


「マラヴィータ」
2013年/アメリカ・フランス/111分
監督:リュック・ベッソン
製作総指揮:マーティン・スコセッシ
出演:ロバート・デ・ニーロ、ミシェル・ファイファー、トミー・リー・ジョーンズ、ダイアナ・アグロン、ジョン・ドレオ

痛快度★★★★☆
満足度★★★★★


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