映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

フランシス・ハ

2015年07月21日 | 映画(は行)
どん底の一夏を経て



* * * * * * * * * *

ニューヨークでモダンダンサーを目指すフランシス27歳。
スマホもある、紛れもなく現代が舞台ですが、
モノクロ作品です。



恋人と別れ、親友ソフィーとの同居生活も解消。
おまけに職もなし・・・。
どうにも要領が悪くドンくさいフランシス。
しかし夢だけは諦めたくない。
・・・というか、ただがむしゃらにしがみついているという感じでしょうか。



はじめの方に、フランシスとソフィが互いの夢を語り、
いつかそうなりたい未来を語り合い憧れるシーンがあります。
フランシスはこのままの生活を続けていれば
いつかそこにたどり着くと単純に信じていた。
仲良しのソフィもそばに居て。
でも、ソフィの方はもう少し現実的で、
夢は夢、しかし生きていく道はそれだけではないということもわかっている。
本当に住んでみたい場所があれば、
親友との同居解消も苦にしない。
まあ、大人なんですね。
それでも、何やらズブズブのどん底の一夏を経て、
フランシスは成長します。
地に足をつけて、自分の生きる道を定めていく。
これはそういう女子の成長物語。



フランシスがATMを探して走り回るシーンがありまして、
ドジにも途中でこけたりしている。
この姿が本作でのフランシスそのものなんですね。
一生懸命でがむしゃらだけど、
周りをきちんと見ていなくて、危なっかしい。
だけどそんな彼女だからこそ、
なんだか私達は共感を覚え、応援したくなってしまうのです。
また、本作がモノクロというのにも、一種独特な新鮮味があります。
もし本作が普通にカラー作品だったら、
多くの女の子の成長物語に紛れて
平凡なものになってしまっていたのかもしれません。
だからといって、何でもモノクロにすれば目立つのかといえば、
やはりそうではないだろうと思えます。
すべてが良い方向で影響を及ぼし合っている気がします。



さてところで「フランシス・ハ」って何?
というのは、最後の最後でわかりますよ。
実に侮れなくておしゃれな題名なのでした。


「フランシス・ハ」
2012年/アメリカ/86分
監督:ノア・バームバック
出演:グレタ・ガーウィグ、ミッキー・サムナー、アダム・ドライバー、マイケル・ゼゲン、パトリック・ヒューシンガー
女子の成長度★★★★☆
満足度★★★★★


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