映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

Pearl パール

2024年01月24日 | 映画(は行)

殺人鬼の誕生

* * * * * * * * * * * *

1918年。

厳格な母と病で全身不随の父と共に、人里離れた農場で暮らすパール(ミア・ゴス)。
スクリーンの中で歌い踊る華やかなスターに憧れていて、
いつも農場の動物たち相手に歌や踊りを披露しています。

若くして結婚した夫は出征中。
父の世話と口うるさい母、そして毎日毎日の農場の仕事にウンザリしているパール。

そんなある日、パールは用事で街へ出かけたついでに、
母に内緒で映画館に寄り道します。
そして、外の世界への憧れをますます強めるのですが、
母には「おまえは一生農場から出られない」と言われます・・・。

本作、ホラー「X エックス」シリーズの第2作にあたり、
1970年が舞台であるその「X」の60年前を描く前日譚なのですね。
私はそんなことも知らずに、普通に田舎の少女が夢を持ち続けてビッグになっていく
サクセスストーリーなのかと思いながら見始めたので、
早々からの不穏な展開にビックリさせられました・・・。

すなわち、「X」においての極悪老婆パールの若き日を描き、
夢見る少女パールがいかにシリアルキラーへと変貌したかという物語だったわけです。

パールは自分がどこか人とは違うこと、
自分の感情に何かが欠けていることに気がついていて、
そのことに苦しんでもいるのですが、
でもひとたび気持ちが高ぶるともう止められず、残虐な行為に及んでしまう。
そしてそのことに喜びを見出している自分にも気がついているのでしょう・・・。
そうした変貌が実にリアルに描かれていて、まさしく、恐怖です。

最後に、やっと帰還したパールの夫が見たものとは・・・?
そして、もうわたし達には想像がついてしまいますよね。
この、夫の気の毒な運命が・・・。
パールの笑顔が最大級に恐い。

そうそう、調度時代背景がスペイン風邪の流行期で、
人々が人混みを避けたりマスクをつけたりするシーンもあって、
これも今だからこそ描けるものですね。

 

<Amazon prime videoにて>

「Pearl パール」

2022年/アメリカ/102分

監督:タイ・ウエスト

出演:ミア・ゴス、デビッド・コレンスウェット、ダンディ・ライト、
   マシュー・サンダーランド、エマ・ジェンキンス=プーロ

 

残虐度★★★★☆

恐怖度★★★★☆

満足度★★★★☆(予期せず感情が揺さぶられてしまった・・・)



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