ポケットの中の小石を共有しよう・・・
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元々は舞台劇だそうですが、これは、ニコール・キッドマンが制作・主演を務める映画作品。
ニューヨーク郊外に住むベッカ(ニコール・キッドマン)とハウイー(アーロン・エッカート)夫妻は、
8ヶ月前に交通事故で4歳の息子を亡くしています。
未だにその喪失感が癒えない二人。
ベッカは何を見ても息子を思い出すのがつらく、
衣服やおもちゃを処分してしまおうとします。
夫のハウイーは息子の思い出は大事にとっておきたいと思い、
夜な夜な息子のビデオ映像を見ては思い出に埋没。
夫婦間に亀裂が入るばかりではなく、
ベッカの妹や母、周りの友人たちも気をつかい、付き合いもぎくしゃく。
何もかも八方ふさがりで、気持ちが浮上することなど二度とないとも思えるような、そんなとき、
ベッカはある少年と対面します。
それは、犬を追って道路に飛び出した息子を轢いてしまったジェイソン。
彼女にとっては憎い相手であるはずなのですが、
なぜかお互いに二人でいると落ち着くのです。
それは、たぶん少年自身もこのことにひどく心を痛めており、
素直に彼女の悲しみに共鳴するからなのでしょう。
彼は、自分でコミックを描いていて、
そこに登場する「パラレルワールド」のことを彼女に語ります。
我が子を失うという、たとえようもない喪失感を抱きながらも、
それでも私たちは生きていかなくてはならない。
その、前に進む勇気は、どこから来るものなのか、どうやって絞り出せばいいのか・・・。
もちろんそんな答えはどこにもありません。
一人一人が見つけていくしかない。
この、ベッカの場合は神ではなくて、身近な少年が語るパラレル宇宙だったのでしょう。
気丈に何ともないフリをしてきたベッカが、初めて一人で泣き崩れたとき、
彼女が抱え込んでいた何かが、涙で洗い流されたようにも思えます。
ベッカの母はいいます。
「悲しみは初めは大きくのしかかる岩の塊のようだけれど、
いつかそれはポケットの中の小石に変わる。」
でも、決してなくならないのだ、とも。
私は、その同じ小石を持つ人がいることも、大切なのではないかと思いました。
全然、オーバー・アクションではありません。
変なお涙ちょうだい調でもない。
それでも、ニコール・キッドマンのリアルな感情表現につい引き込まれ、涙が。
少年の描くイラストがまた、優しいのですよね。
悲しみをふんわり包み込んで、ほんのちょっぴり前へ出る勇気をくれる。
そんな作品でした。
ちなみにラビット・ホールとは、
少年の描くコミックで、パラレルワールドの入り口となっている穴のこと。
不思議の国のアリスが、ウサギを追いかけて潜り込んだのも、いわばラビット・ホール?
ウサギの穴が、どこか別の世界とつながっている。
こういう空想はなんだか楽しいですね。
2010年/アメリカ/92分
「ラビット・ホール」
監督:ジョン・キャメロン・ミッチェル
原作:脚本:デビッド・リンゼイ=アベアー
出演:ニコール・キッドマン、アーロン・エッカート、ダイアン・ウィースト、タミー・ブランチャード、マイルズ・テラー、サンドラ・オー
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元々は舞台劇だそうですが、これは、ニコール・キッドマンが制作・主演を務める映画作品。
ニューヨーク郊外に住むベッカ(ニコール・キッドマン)とハウイー(アーロン・エッカート)夫妻は、
8ヶ月前に交通事故で4歳の息子を亡くしています。
未だにその喪失感が癒えない二人。
ベッカは何を見ても息子を思い出すのがつらく、
衣服やおもちゃを処分してしまおうとします。
夫のハウイーは息子の思い出は大事にとっておきたいと思い、
夜な夜な息子のビデオ映像を見ては思い出に埋没。
夫婦間に亀裂が入るばかりではなく、
ベッカの妹や母、周りの友人たちも気をつかい、付き合いもぎくしゃく。
何もかも八方ふさがりで、気持ちが浮上することなど二度とないとも思えるような、そんなとき、
ベッカはある少年と対面します。
それは、犬を追って道路に飛び出した息子を轢いてしまったジェイソン。
彼女にとっては憎い相手であるはずなのですが、
なぜかお互いに二人でいると落ち着くのです。
それは、たぶん少年自身もこのことにひどく心を痛めており、
素直に彼女の悲しみに共鳴するからなのでしょう。
彼は、自分でコミックを描いていて、
そこに登場する「パラレルワールド」のことを彼女に語ります。
我が子を失うという、たとえようもない喪失感を抱きながらも、
それでも私たちは生きていかなくてはならない。
その、前に進む勇気は、どこから来るものなのか、どうやって絞り出せばいいのか・・・。
もちろんそんな答えはどこにもありません。
一人一人が見つけていくしかない。
この、ベッカの場合は神ではなくて、身近な少年が語るパラレル宇宙だったのでしょう。
気丈に何ともないフリをしてきたベッカが、初めて一人で泣き崩れたとき、
彼女が抱え込んでいた何かが、涙で洗い流されたようにも思えます。
ベッカの母はいいます。
「悲しみは初めは大きくのしかかる岩の塊のようだけれど、
いつかそれはポケットの中の小石に変わる。」
でも、決してなくならないのだ、とも。
私は、その同じ小石を持つ人がいることも、大切なのではないかと思いました。
全然、オーバー・アクションではありません。
変なお涙ちょうだい調でもない。
それでも、ニコール・キッドマンのリアルな感情表現につい引き込まれ、涙が。
少年の描くイラストがまた、優しいのですよね。
悲しみをふんわり包み込んで、ほんのちょっぴり前へ出る勇気をくれる。
そんな作品でした。
ちなみにラビット・ホールとは、
少年の描くコミックで、パラレルワールドの入り口となっている穴のこと。
不思議の国のアリスが、ウサギを追いかけて潜り込んだのも、いわばラビット・ホール?
ウサギの穴が、どこか別の世界とつながっている。
こういう空想はなんだか楽しいですね。
2010年/アメリカ/92分
「ラビット・ホール」
監督:ジョン・キャメロン・ミッチェル
原作:脚本:デビッド・リンゼイ=アベアー
出演:ニコール・キッドマン、アーロン・エッカート、ダイアン・ウィースト、タミー・ブランチャード、マイルズ・テラー、サンドラ・オー
とよく聞きますが本当なんでしょうね
ニコール・キッドマンがあそこで大泣きする、という設定、心のうちが伝わってきて素晴しい!と思いました
たぶんそれまで、ずっと気丈に弱みを見せないように振る舞ってきたのでしょうね。
この作品、このシーンでぐっと深まったように思います。