映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

「のりものづくし」池澤夏樹

2018年03月08日 | 本(エッセイ)

乗り物エッセイはすなわち旅のエッセイでもある

のりものづくし (中公文庫)
池澤 夏樹
中央公論新社

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これまでずいぶんいろいろな乗り物に乗ってきた…
汽車による初めての大移動、
ワープロを乗せてひとり車を飛ばした芥川賞受賞直後、娘と乗った新幹線、
札幌とチューリヒの市電の違い、
ヒマラヤで出会った頼れる愛馬、
念願かなった南極旅行日誌など。
バラエティ豊かな乗り物であっちこっち、愉快痛快うろうろ人生。

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池澤夏樹さんの、「のりもの」についてのエッセイ集。
さすがに世界中を旅して回っている方だけあって、
通常ではめったに乗れないようなもののこともあります。
電車。新幹線。インドの列車。砂漠の鉄路。
車。バス。
エレベーター!
フェリー。


池澤氏の推奨するエーゲ海の旅はステキです。
たっぷり1ヶ月以上の日程で、
まず、一つの島に行ってそこをぶらぶら歩いたり、教会をみたり。
何日でも居たいだけ居る。
そこに飽きたら、船に乗って別の島へ行く。
そんなことを繰り返しながら・・・。
エーゲ海は見た目も美しく、その奥には深い歴史が隠されていて、
そしてさり気なく日常生活がある。
いいですねえ・・・
そんな所に身をおいて、気ままに散歩したり本を読んだり、食事やお酒を楽しんだり・・・。
私も憧れます。

そして、馬やカヤック、飛行機のことが紹介されて、
最後には南極の旅のことに触れています。
南極は「氷山の南」を書く時に、取材ということで行ったのですね。
船で、海岸線を辿ったようです。
上陸のときにはゾディアック(ゴムボート)に乗る。
私は寒いところが苦手(良くこれで北海道に住んでいる!)なので、
南極に行きたいなどとは思わないですが、
その雄大で稀有な光景に対しての好奇心は、やっぱりあります。
池澤夏樹さん、基本的には冒険家なんだなあ・・・。

「のりものづくし」池澤夏樹 中公文庫
満足度★★★.5