映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

奇人たちの晩餐会

2014年12月12日 | 映画(あ行)
誰もがみっともなくて、おバカ

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毎週、身近な「おバカ」を呼んで晩餐会を開き、
密かに笑いものにしようという、人の悪い趣味を持つ編集者、ピエール。
その日選んだのは、税務署に勤めるピニョン(ジャック・ビルレ)。
彼はマッチ棒で建物の模型を作るのが趣味で、
そのことを話しだすと一人で何時間も喋り続けます。
しかしその夜、ピエールはぎっくり腰で身動きできず、
おまけに妻が愛想を尽かして出て行ってしまう。
晩餐会は中止となりますが、
ピニョンのいるこの家で、ヘンテコな出来事が繰り広げられていく・・・。


そこにいるだけでも奇妙な可笑しみを放つジャック・ビルレはさすが。
おバカというよりもむしろ「オタク」なのかとはじめ思ったのですが、
いや、やっぱりおバカでした。
すごく人はいいんですけどね・・・。


本作、こうした庶民というか下層階級を笑いものにする金持ち・・・という図式が、
いつしか逆転していくというところがおかしい。
いや、学があって金持ちといったって、結局同じ人間。
みっともなくてお馬鹿なのは同じ・・・と。


原作は戯曲なので、舞台はほとんどがこのピエールの家の中。
小道具として使われる電話が、なかなか重要な位置を占めています。
15年位前ということになりますが、まだ携帯電話は普及していない。
着信の番号表示もない。
そうした時代性がうまく活用されていいます。
ということはまた同時に、今では使えないネタでもあるのです。
だから、そうしたところを見るのもまた面白みがありました。


大笑いにはなりませんが、ニンマリと、フランス流のコメディを楽しみましょう。

奇人たちの晩餐会 HDリマスター版【DVD】
ジャック・ヴィルレ,ティエリー・レルミット,フランシス・ユステール,カトリーヌ・フロ,ダニエル・プレヴォスト
キングレコード


「奇人たちの晩餐会」
1998年/フランス/80分
監督・脚本:フランシス・ベベール
出演:ジャック・ビルレ、ティエリー・レルミット、フランシス・コステール、ダニエル・プレヴォスト

ユーモア度★★★☆☆
満足度★★★☆☆