映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

「舞田ひとみ11歳、ダンスときどき探偵」 歌野晶午

2008年02月10日 | 本(ミステリ)

「舞田ひとみ11歳、ダンスときどき探偵」 歌野晶午 光文社カッパノベルス

この本の「著者のことば」として、
「こんなに楽しく書けたのはいつ以来でしょう。キャラクターがかわるがわる憑依して、勝手に話しをつむいでくれました。」
とあります。本当に、楽しい「ゆるミス」です。
表題の「舞田ひとみ」ちゃんが、コナン君みたいに名推理で事件を解決するわけではありません。
本当の探偵役、というか本職の刑事、舞田歳三(としみ)の兄の娘、すなわち、姪っ子がこの、ひとみちゃん。
ひとみちゃんは大学教授のお父さん理一(まさかず)と二人暮らしですが、
この家に、ちょくちょく、独り者の叔父さん、歳三がやってきてはTVゲームの相手をしたりします。
そして捜査中の事件の話しもちょっぴり。

ひとみちゃん(自称ひーちゃん)は明るく聡明、ちょっと生意気な女の子で、
時には叔父さんもやり込められる。
でも、かわいくて仕方ないのですね。
この子が時々語る言葉が事件のヒントとなる、そういう連作短編集です。

友人の家に忍び込む少年の謎。
拉致誘拐事件の謎。
パーティー毒殺事件の謎・・・などなど。
雰囲気はのどかながらしっかりした本格ミステリ。
そして全体に仕掛けられた大きな謎。
ひとみちゃんのお母さんって、いったい・・・???

普段ミステリをあまり読んだことが無いという方に、特にお勧めできます。
さほど血みどろというか残虐なシーンはありませんし
(でも、死体はやっぱり出てくる・・・)、
ひとみちゃんの明るい雰囲気に救われつつ、どんどん読めます。
ミステリの導入編としては最適。

満足度 ★★★★