
カシメのための手術道具
まずはロックナットのかしめ外し。自分は手先が不器用なので細かい作業は苦手です。かなり身構えて取り組みました。現物を見るまで必要な道具のサイズも分からないため、とにかく多い方が良いだろうというコトで色々と用意しました。タガネやハツリや貫通ドライバーは持ってますが、ポンチみたいなのは初めて購入。「センターポンチ」と「釘〆」(先端部が平面になっている)それぞれタバコ1箱程度の値段でした。役に立つかな。

カシメ解放に成功
工具をあてがいハンマーでカンカンとやること30分。ひたすら地道な作業です。何とか外すことが出来ました。ただし想像と異なり、カシメは徐々に徐々にナットもろとも曲がって外れていき、最後にナットは破壊されました。

カシメ部は千切れ落ちました
再利用は完全に不可能ですね。もちろん新品部品を用意してあるので大丈夫です。

実際に活躍した工具たち
実際にはかなり狭い箇所なので、精密ドライバーが一番活躍しました。タガネ代わりに使うので、ドライバー自体も先端が曲がり破壊されます。勿体無いから昔100均一で買ったバカなやつを使いました。
よってこの作業をするには幅2~3mm程度の極細のタガネ等を用意すると良いと思われます。
自分が用意したセンターポンチは全く役に立ちませんでした…。一方の釘〆の方はけっこう使えました。外す時もそうでしたが、とりわけ最後に新品ナットを入れてカシメを入れる際、この釘〆が大いに役立ちました。
「シャフトを傷つけないように」作業しなくてはならないわけですが、私の腕前ではシャフトに非接触で行うのはムリ!シャフトとナットのカシメ部の間に精密ドライバーを楔にして打ち込まざるを得ませんでした。幸運にも、ドライバの先端が曲がってナット側の方を向いたことと、シャフトがかなり固い材質のようであったので、キズは付きませんでした。作業要領は、とくに説明するまでもありません。とにかくナットの縁をめくっていくのみです。
なお、シャフト側は先端が細いテーパー形状になっていましたので、シャフトねじ山の先端数ミリはナットと噛み合っていないようです。よってカシメ部が完全にシャフトより外側に出るまでめくらなくてもナットは外すことができます。
慣れた方にとってはおそらく説明するのも馬鹿らしいほど屁でもないない作業でしょうが、初めての自分にとっては道具も揃っておらず中々骨が折れました。
続いてロックナットを緩めます。例の共回りの問題をクリアしなければなりません。
と、散々もったいぶっておいてインチキなのですが、自分はここで、ボーナスで購入した1万4千円の秘密兵器、先日も紹介した「電動インパクト」を用いました!インプレッションは先日クルマのホイールナットを外した時に書いた通り、「共回り」とか「固定」とか一切関係ナシで超強力にナットやボルトだけを確実にガシガシ外せます。

じゃーん。うれしいよ
「あたたたたたたたたたッ!」
ものの一瞬で外せます。最高に便利でした。感覚としてはクルマのホイールナットよりもかなり手応えがありましたが、締め付けトルクは大して変わらないはず。ナットのサイズがホイールナットより大きいせいでしょうか。
なお電動インパクトが無くても、そして特殊工具(フライパン)が無くっても、前述の通り余裕のある大き目のレンチがあれば取り外し可能であることが分かりました。やり方は次の通りです。
ギアを入れるとシャフトは後輪に連動して、ナットと一緒に車体が動いてしまうことは先に説明した通りです。
しかし、ギヤを入れた上で、リアブレーキを強く踏み、さらにバイクのリアタイヤへ荷重をかけておけば、十分に共回りを防ぐことが出来たんです。このやり方は厳密にはチェーンやミッションに負担をかけることになりますが、走行時の負担と比べれば全然問題無いでしょう。
今回緩めるのに電動インパクトを用いましたが、締める時には規定トルクを守るためにもインパクトではなくトルクレンチを使うべきです。当初は、ご法度を覚悟のうえ確信犯で、古いナットを外す前にマーキングでもして感触を掴んでから、トルク管理をサボって電動インパクトで締めようと思ってました。しかしこの方法を用いて荷重係に自分の弟(175cm80kg)を使うことを思いついたので、締めるときはしっかりトルクレンチを使うことにしました。
後述しますが、交換したクラッチは日を改めてから組み込み、締めつけました。この時わざわざ弟を使う代わりに自分がまたがって体重をかけながら一人で作業することを試み、手が滑ってナットをなめるというみじめな失敗をしました。結局わざわざ弟を招集して使いました。
ここの締め付けトルクは83N・mだそうです。バイクではかなり固めに締まっている部類です。ソケットのサイズは27mm。この大きさだとレンチは差込口1/2サイズしかないです。インパクトを使わずにレンチで緩めるのなら、とにかく柄の長いのが良いと思います。ブレーキ&荷重係の人間をもう一人用意できるのなら、トルクの掛けやすいタイヤレンチみたいなT字でもOKでしょう。
さてロックナットが外れました。これで中身が取り出せますので、新品に交換して組み付ければ終了です。
センターを取り出す際にはワッシャ類を無くさないよう気をつけます。ロックナットの下に2枚のワッシャがあり、アウターとセンターの境目にも1枚ワッシャがあります。自分は古いディスクを取り出してから室内へ持ち込み、組み付けは日を改めて作業しました。
失敗がないように、ここでディスク類の並び方をよく見て記録しておきました。

クラッチセンター、ディスク、プレート、プレッシャープレート

クランクケース側に残したクラッチアウター
(つづく)
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