出版屋の仕事

知識も経験もコネもないのに出版社になった。おまけに、すべての業務をたった一人でこなす私。汗と涙と苦笑いの細腕苦労記。

知識の吸収

2007年02月27日 | 制作業務
制作中の本のDTPの終わりが見えてきた。仮に落とし込んだものをもとに、著者とさらなる検討を重ねて、今その仕上げの最中。それにしても、今回はためになる知識が増えた。

うちの場合、私の興味の向くままに本を作っているので、「ちょっと知っていたことの知識を深める」という感じが多い。それでも、やはり著者の持っている情報量は膨大でなおかつ深く、作るたびにめちゃくちゃ勉強になっている。

もともといろんなことに興味は持つほうなんだが、特に「その世界の人しか知らないこと」なんかに野次馬的関心がある。なので1冊世に出すと、原稿に書かれている以上の知識が蓄えられて、すごく得した気分になる。

1冊読むのと1冊作るのとでは、吸収する知識の量が全然違う。このままどんどん刊行数が増えて、全部忘れないで覚えていたら、私はとてつもない物知りになるんではなかろうか。

昔勉強のために読んだ出版業界本には、「編集者はどんどん人に会って新しい世界を知るように」と書いてあった。どちらかというと、「いろんな人の話を聞け」という感じで、文字にできる知識というより人脈とか様々な人間の個性を重要視しているようだった。

けれども実際本を作ってみて、この「文字にできる知識」の吸収のすごさは、人脈云々よりありがたい気がする。仕事をして給料をもらって、月謝を払わずにこれだけ学べるってのは、すごい。

先日知り合った出版社の社長は、経済ジャンルの実用書を出している。が、自分は資金繰りなどで忙しくて編集その他は社員に任せているらしく、自社の本に対して「売れる・売れない」以上の興味がないらしい。「売れる・売れない」がわかりづらい業界でどうするかってな経済の本も出してるんだろうに、あまり読んだことはないという。もったいないなぁと思う。

私は元土建屋で施主もいろんな業界だったので、ひとつの工事から学んだことはすごく多かった。けれども建設だと、とりあえずビルを必要とする業界しか関係ない。本という媒体を通して知りえる世界の広さは、ビルの建設よりすごく広い気がする。

となると、「いろいろ…」と考えてしまうんだが、そこには営業的縛りもあって難しい。

コメントを投稿