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出版屋の仕事

知識も経験もコネもないのに出版社になった。おまけに、すべての業務をたった一人でこなす私。汗と涙と苦笑いの細腕苦労記。

発刊中止の影響

2012年03月15日 | 発売前
このブログの更新がほとんどない理由は、こちらのエントリをご覧下さい。

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昨年末、ある著者の本が発刊中止になった。すでに近刊情報として世に出て、事前注文を受けるべく書店にFAXまでした後であった。

昨年近刊情報センターというところで手続きしたので、今は以前からしている書協への登録を済ますとそちらへもデータが流れる。予告として一部の書店などにも流れて、そのまた一部の書店では予約を取り始めてくれる。出てから勝負というか、事前営業なんてものとあまり縁のないうちとしては、とてもありがたい新システムである。

事前注文取りのFAXはだいたい印刷会社への入稿の10日から2週間くらい前なので、実損を食らうことはなかった。刷ってしまっていたらと思うと恐ろしい。しかし書店へ送ったFAXに返信(注文)をもらっていたので、ごめんなさいの連絡をしなければならなかった。

刊行中止が決まった後、まずはその近刊情報を扱っているところへ連絡し、データを削除してもらった。それは問題無し。ISBNを管理している日本図書コード管理センターというところと人員?組織?が重なっているようなので、あとどうするか…みたいなアドバイスももらえた。

どうするかっていうのは、ようするに「出なくなった本に一旦振ってしまったISBNをどうするか」ということである。その人が言うには、「後日出ることになる可能性が残っているのなら、そのままにしておけ。絶対出ないなら、使いたまえ」ということであった。

気にならない人は気にならないだろうが、うちのように刊行数が少ないとISBNは結構キレイに出した順になっているし、かつ出版者記号6桁の版元としては、ひとつも無駄にしたくないような気もする。そんなタイミングで無理を言ってくる著者と二度と関わりたくないので、うちから絶対出ないのは確実なことである。つまり、とっとと使いたい。

それでも一応、次の本にはその次の番号を振っておいた。問題があるかもしれないというリスクを回避したんだが、実際のところ、どういう問題が起こるかもしれないか、その時点ではよくわからなかった。近刊情報をアマゾンが使ってくれてるのは知っていたので、「問題があるならそこ。うちは構わないが、著者がうるさいと嫌だ」という理由であった。大きな書店であるのは確かだが、販売機会の喪失より、アマアマうるさい著者のほうが苦痛である。

で、その次の次の本はうちが編者となって作ったので問題なかろうと、今回「発刊中止になった本に一旦振ったISBN」を振ってみた。

結論を言うと、取次搬入2日後にして、アマゾンでは出ない。うちの委託配本規模で何もしないとだいたい3冊くらい行くはずなんだが、書誌自体が出ない。裏のベンダーセントラルでは「No List」というステイタスつきで見つかるが、これまた別の問題があって、商品情報をいじることができない。紀伊國屋ブックウェブではタイトルが正しくて画像が古い(中止の本)という事態だったが、本日連絡をしたらすぐに対応してくれた。他の書店は、「なんかいつもより出てくるの遅い気がする」ところと、「何にも問題なく、正しい書誌及び画像が出ている」ところに分かれる。近刊情報をどう使っているか(使っていないか)で分かれたのだろうと思われる。

書店さん、読者のみなさん、すみませんでした。

が、自分の過ちは反省するとして、ちょっと言いたいこともある。

上にも書いたが、書協でデータ削除をしてくれて、あとどうすべきか教えてくれたのは、近刊情報センターにも関わってるというか真ん中の人なのである。書店に使って使ってと営業をかけていた組織で「どの書店でどうデータが使われるか」は、わかっていたのではないかと推測される。「ここでは予約受付もしてくれる」とか、「ここはデータを受け取ってくれるが、実際取次から来るまでは放っておく」とか。

本当にテメエの失策を棚に上げた話で申し訳ないが、あのとき「もう使わないほうがいいでしょう」と言ってくれてたら・・・と思ってしまう。。。

ところで昨日、業界の先輩にこの話をしたら、「そんなもん、言われたとおりにしなくてもいいのに」と呆れられた。問題は、この業界には「言われたとおりにしたほうがいいこと」と「しなくてもいいこと」の両方があるということだ。まあ、どこの業界も同じかもしれないが。

でもって、そのどちらなのか…ということは、経験を積むか、直接関わりなくてもいろいろ経験を積んで予測できるようになるかしないと、判断できないのである。

新規に学ぶことが減ってきたという理由でこのブログも放ったらかしにしていたが、やはり学ぶことは多い。

近刊情報センター

2011年10月13日 | 発売前
新刊ってのは気持ちのいいもんだと書いたとたんにアレだが、近刊情報というのは基本的にうちにはいまいち関係ない気がする。

買ってくれる人はだいたい決まっているので、売れるのが早いか遅いか、少しでも話題になるのが早いか遅いか・・・の違いでしかない。買ってくれる人が決まっているというのは、ようするに広告宣伝費をかけないので自然に売れる数しか売れないということだが、そうなると早いか遅いかは本当に意味がなくなってくる。

オンライン書店などで近刊情報が利用されると著者も私も嬉しいので、書誌登録や情報提供は進んで(勧められたとおりに)している。早い時期に説明会にも行ったし。でも近刊情報の利用方法となると、何も思いつかない。

どちらかというと、3年前5年前、あるいはもっと前に出た本を、もう一度ほじくり返してくれるようなセンターがほしい。「出した当時そこそこ売れたし読者に満足もしてもらった、けどもう何年か経ってるので動きは鈍い」本に、再び注目してもらう機能。リアル書店では補充とまで行かず、オンライン書店ではラインキングに反映されづらかったり、世間や書店員さんのすべてが「売れた本」と記憶しているほどではないが、まあまあの本。まあまあ本情報センター。

業界平均返本率4割(今もそうなのか?)から想像したり(関係ないかもしれないが)、時事本を省くと、総刊行点数の4分の1くらいに収まるのではなかろうか。あ、そういえばあったな…と注文してもらえれば、「また動いた」ってな本が増えるわけで、全体として経営も楽になるだろう。点数が多すぎてどうのこうの…という問題も少しは解決するだろう。とってもいい気がする。

そういう再注目ってのは誰でも(どんな本にも)望んでいるだろうが、全書籍を網羅していては意味がないので、基本的にダメだった本は諦める潔さを持つ。うちは潔くなる覚悟あります。

こういうことを考えるのは、オンライン書店の「この本を買った人は」をうるさく感じているせいもある。マーケティング効果の高いシステムなんだろうが、どこも同じものを勧めてくるので、ちょっとうんざりなのである。

近刊とか新刊でなくて、「へえ、そんなのもあったんだ~」と感心するようなものなら、買うかも。天の邪鬼なだけかもしれないが。。。

新刊

2011年09月02日 | 発売前
今週、大嫌いな見本出しに行ってきた。嫌いな理由は、もともとは「売り込なければならないという緊張と、馴染みのない仕入担当者に冷たくされるのが嫌だ」などであったが、今となっては「嫌なものは嫌」としか言いようがない。行ってみればどうってことないんだが、行くまでが嫌でたまらず、血圧も上がる。

今回はその話ではない。唯一の馴染みの担当者(以前の担当者、ようするにチョコボール)と会話ができて嬉しかったんだが、彼に「新刊、出してます~?」と尋ねられたのである。当たり前じゃないか、何のためにこんなところへ…と一瞬思ったんだが、午後だったので、考えてみたら他の用事で訪問していたと思われてもおかしくはない。

ちなみに午後の見本出しは、今回初トライであった。取引を開始したときに「午前中に持ってこい」と言われていて、ずっとそうしていたんだが、「委託配本しないとき(注文対応のみ)は午後でもよい」ことは知っていた。最近になってようやく、午前か午後かの違いが委託の有無であるはずはなく新刊搬入日との関係だろうと気づいたのである。昔の話だが、オンライン書店で書誌情報が早く出るようにと思って早めに見本出しをしてみたときも、午前中に行った。午後は別の仕事で忙しいんだと思っていた(もちろん、それもあるであろう)。実際は、納品日の何日前の午前中(まで)と決められていたのである。

午後は、窓口の人全員が「さあ、見本を受け付けますよ!」という状態ではないので、場合(取次)によっては結構待たされる。が、合計3カ所で、混んでいるときの午前中よりは早く終わる。他の出版社の営業マンたちの中で血圧をあげなくて済むのもいい。

で、「新刊、出してます~?」だが、ただの軽口だったわりには大変興味深い質問だと思う。

うちもそろそろ創業10年になり(なんと!)、「ちゃんとできてるか! 成績悪いと呼び出すぞ!」という雰囲気もなくなってきた。成績が良くなったわけではないんだが、とりあえず「出版始めたけどダメでした廃業します、とはもう言ってこないだろう」的な状態になった(と思う)。安心で快適な、放置プレイ。

やっていけてるのか!とギャーギャー呼び出しをくわなくなっても、休眠状態じゃないだろうな!とは言われてしまったわけである。で、休眠じゃないことのひとつの目安が、「新刊出してる」。

取引申し込みのとき、出版計画というものを提出する。経験者であれば話は別だが、うちのような新規参入だと「売れる企画か」見られる。売れそうでなければ「売れない→いずれ資金が底をつく→取引お断り」となる。今思えば、継続的企画力とかも関係するんだが、ようするに資金の問題である。

今までは「続けている」というより「続けていく」という感覚だったので、続けている出版社と新刊を出すことが、頭の中で結びつかなかった。どちらかというと、「やたら新刊をぶち込んでくるが、危ないのではないか」という、どこかの出版社の話が書店から聞こえてきたりするので、出さない分にはOKであろうとさえ考えていた。

既刊だけで回っている出版社って、まったくないんだろうか? 休眠でなくちゃんと税金の申告もしているような出版社で、「新刊? こないだ出したの、いつだっけ? でも補充と注文だけで結構行くから、ノープロブレム」みたいなところはないんだろうか?

本日のように配本の残りをうちで受け取って、汗だくになってトラックから降ろしたり事務所に積んだり…をすると、既刊だけで(ちょっぴりの増刷の繰り返しで)回っていったらどんなに楽だろうと思ってしまう。たまに「この人の本を出したい!」と思うときもあるので、「一生新刊出さない」と決めたいわけでは決してないが、自社刊行物の知識・在庫の把握・棚卸しなど、これ以上点数が増えなかったらずいぶん楽であろうとは思う。

いや、うちの話はどうでもいいんだが、取次の仕入担当の人が、挨拶代わりに「新刊出してるか?」ときくってことは、「もう、世の中は新刊で回っているのが常識」というくらいなのであろう。

先日近所の古本市で、古本マニアに「新刊=面白くない」みたいな反応をされてムカついたんだが、「買われては売られ買われては売られ、ぐるぐる古本市場を回り続けている」本の世界がある一方、「ドンドン出し続ける!」世界もあるのだと、改めて感心してしまった。

やたら出るとか多すぎとかネガティブに言われることが多い新刊だが、新陳代謝みたいで、実は健康で楽しいじゃないかと思う。

総量規制

2010年02月03日 | 発売前
一休みすると書いたとたんに、覚え書きでもいいから書いておきたいことが勃発した。ちょっと前からあちこちで言われていた日販の総量規制について。総量規制とは上手いネーミングだと思う。

うちでももちろん初回委託配本数は少ないが、「最近…」というより「徐々に」減ってきている。本によって多めのときもあるが、500部以上になることはない。が、見本出しのときに相変わらず聞き耳を立てていると、うちだけの話でもなさそうで、部決の電話で日販の人が答えている数が少ないことは感じていた。

うちの場合、1月中旬の見本出しのときに、言葉は違うが「規制するけどいいよね」と言われた。うちに限ったことかもしれないが、だいたい事前注文の4倍くらいとってくれるという印象がある。今回は事情があって指定短冊ゼロだったので、少なくて当たり前だし、「わざわざ断るなんて、この人(カウンターで会ったのは初めてだった)律儀だな」と思っただけである。いつものことだという認識だったのでなんとも思わなかったが、業界のあちこちで不満が出ていたらしい。

不満はないが、疑問がある。どうせ総量規制するなら、なんで点数規制にしなかったのか?

新刊点数が多すぎるというコメントはあちこちで聞くし、取次側もそう思ってるんじゃないかと思う。ただ今までは、「点数を押さえろなんて言えないんだろうな」と漠然と感じていた。自転車操業の話も聞くから、やはり潰すような行為には積極的には出られないのだろうと。

けれど、版元の売上は新刊委託も補充注文も変わらない。1冊は1冊。新刊委託の配本数を減らすなら、刊行点数を減らしても同じじゃないか。版元にとっては、営業で勝ち取らなければならない既刊の注文より新刊委託のほうがラクかもしれないが、それこそ取次は「自分たちばかりを頼るな」と言い返せば済む。

大手とか老舗にはそう言わないとしても、それは委託配本数の総量規制だって同じことだ。こないだ講談社の新刊点数を数えてみたら、書籍だけで100点くらいだった。でも、商売の規模からすると、そんなもんだろうという気がする。

日販の規模を考えたら、他の取次が規制しなくても点数規制は実現可能だろうし、もし例によって「足並みを揃えて」くれれば、それこそ業界全体で点数を控えることに繋がる。

なにやら、今回の規制の背景は、上からの命令が現場で極端な結果を生んでしまったということらしい。少しは元に戻るそうだが、騒がれ始めた頃からの「総新刊委託配本数」はずいぶん押さえられたことだろう。

せっかく減らしたんなら、点数減らせばよかったのに・・・と思うのである。

ジャンルその後

2009年05月12日 | 発売前
前の記事で書いた、オンライン書店でのジャンル入りについて報告する。とはいえ、これまでもアマゾン以外では何の問題もなく「それらしき」ジャンルに入っていたので、要するにアマゾンでの結果である。

おさらいをすると、今までは「本→検索」と出て、どこのジャンルにもしばらく入らないという状態であった。今回は日販で「どこの棚?」質問に対してハッキリ答え、ついでに「それがオンライン書店でのジャンルになるか?」とのこちらからの質問に、「そのとおり」とのハッキリした答をもらっていたのだった。

結論を言うと、「まったく違うジャンルに入っている」。

うーん、見本納品に行く前に確認して行ったので、ジャンルがないとか微妙にワーディングが違うということはない。しかしながら無視されたわけではなく、とりあえず別のジャンルには入っている。意図したジャンルとは違ったが、もちろんちんぷんかんぷんなジャンルというわけでもない。○○学か現代思想を申告したんだが、「ノンフィクション」である。確か、楽天ブックスも同じく日販じゃなかったかと思うが、こちらは○○。

○○に関する本だが、○○学という感じじゃないし、確かにノンフィクションではある。そういうことは読まなきゃわからんと思うんだが、書誌情報で判断したんだろうか。

今まで「本→検索」であったことを考えると、進歩とは言える。別にノンフィクションでもいいし。わざわざ申告されたものではないジャンルに入れるってのは、面倒じゃないんだろうか。

それより、考えるのは「ランキングを見て買う人対策をせよ」とのご指摘である。

個人的には、あるジャンルで本を探すとき、ランキングで表示させることはあっても、スクロールを繰り返し、その上何ページにも渡って次々ランキングを見ていくことはない。せいぜい5位くらいまで見てめぼしいモノがなければ、検索ワードで工夫する。

5位というのは極端かもしれないが、ランキング表示させて100位とかまで見にいく人っているんだろうか。かったるくないのか。

売れると何がいいかって、ランキング上位になること自体よりも、「この本を買った人は」のところで出てくる可能性が高まるという露出機会の増加じゃなかろうか。

今回に限って言えば、おそらく「別のところで本の存在を知った人が続けて購入したので、そこそこ上に来た」という状態ではなかろうか。ランキングで上にいたので買ったという人が、いったい何人いたのか。

ランキングのおかげで売れるようになるには、そこそこ上にいる状態をキープしなくてはならないわけで、そこでようやく「常に上のほうにいるから露出が多い」ってなことになる。鶏と卵みたいな話だ。

買いたい人が買えるように在庫をどうのこうのという話であれば、素直に納得できる。ジャンルに関しても、お客さんが探すときのサービスという意味では重要と思う。けど、ランキングに関しては、やっぱり「後からついてくるもの」という気がする。

ジャンル

2009年04月27日 | 発売前
グーグルの問題について書きたい気もするが、長くなりそうだし別に機会に。(もうすぐ飲みにいく時間なので)

先週、見本納品に行ってきた。前回は、正月休み明け初日に行って大変な目に遭ったことをここでも書いたので、4ヶ月弱ぶりである。昨年刊行予定の本がずれ込んだためだけとはいえ、年3点ペースに向かって着々と。それでも「久しぶりですね」と言われてしまったが、こっちは「こないだ行ったばっかり」という気分である。いつまでたっても見本納品は嫌なものである。

その上、今回はこのブログにコメントいただいていた疑問を確かめるという、特別任務があった。「アマゾン(オンライン書店)で、ちゃんとしたジャンルに入れてもらうにはどうしたらいいか」という疑問である。実はあの後、その答がわかりそうなセミナーもあったんだが、都合が付かなくて出られなかった。

で、きいてきました。・・・というか、かろうじてそれらしき質問をしてきたので、ここで報告する。聞いてすぐここで書くということに抵抗がないわけではないが、もう出版業界は狭い世界と思って腹をくくる。

まずアマゾンで新刊を扱ってくれる日販だが、棚をきかれたとき、「この“棚”というのはオンライン書店でのジャンル分けのことですか?」と尋ねたら、ハッキリ「そうです」という返事が返ってきた。今回は前もってアマゾンのジャンルを調べていったので、それを答えた。見本納品が先週の金曜日なので、結果がどうなるか、今日の時点ではわからない。結果がどうなるかって、もっときちんと確かめればいいんだが、それは「本社嫌い」ってことでお許し乞う。

ちなみに、今回の本に限って「あちこちのジャンルにあてはまる」本ではなくて、結構分かりやすい本である。なので、「答えた結果」なのか、今ひとつ判別しづらいかもしれない。

大阪屋では、何もたずねるチャンスなし。搬入日と冊数を確認して「じゃ。」という感じで終わってしまった。ジャンルの話だけじゃなくて、今回に限って広告出したり何したりってことを報告しようと思ってたけど、それも話すチャンスなし。

トーハンでは、「ジャンルは基本的に書店さんにお任せ」というような返事が返ってきた。ただ、アマゾンじゃなくて何だっけ?7&Yだっけ?と考えてるうちに思わず「e-本のジャンル」と言ってしまったので、リアル書店の話と思われたのかもしれない。

ただ、トーハンは他の質問に対しても「書店さんが…」と答えることがあった。確か事前注文とかについて尋ねたときだと記憶している。一般的にトーハンは「仕入れ窓口でごちゃごちゃ言うな。それなりのところへ営業せよ」ということかもしれない。

というわけで、「どこの棚ですか?ときかれていた質問」は「わかりづらい本だというコメント」だと今まで思っていたのが、少なくとも日販では違うらしいということはわかった。

とりあえずのところは、このへんで勘弁してもらおう。いや、ジャンルごとのランキングで上位に出るとどうのこうの…とか、理解はしてるんだけど、今のところは「売れなきゃ一緒だし」という気持ちもあって、このへんで。

見本の数

2006年11月08日 | 発売前
本日は見本納品。

以前どなたかに、部決ともいうと教わったが、違いがわかった。見せに行くのが「見本納品」。搬入日の前に電話して配本数の確認をするのが「部決」。なるほど。

うちは、「献本が返って来た」事件以降、「献本」というハンコまで作ってそれを押して持っていく。前回もそうだったんだが、何にも言われなかった。今回、日販では前回と同じくコメントなし。トーハンに持ってったら、「献本なら1冊だけでいい」と言われた。

どういうことなんだろう。これまでも「献本です」と言って、4冊置いてきた。最近変わったんだろうか?

本日、日販の返本おじさんが、訂正した伝票を持ってきた。ひと月ほど前に「献本が入ってるから違う」と言って突っ返した伝票である。で、伝票は直ってたし問題ないんだが、おじさんが「あちこちの出版社で問題になっているようだ」と言っていた。「私も、最初は他の版元さんから聞いたんですよ」と答えておいた。

「あちこちで問題になっている」プラス「今後は1冊でいい」・・・。これが何か新しい動きだったらいいなと思うのは、期待のしすぎか。。。

指定短冊

2006年09月04日 | 発売前
先週は見本納品に行って、疲れてしまった。私はこれが苦手なんじゃないかと、自覚してしまったのが運のつき。行く前も嫌だし、カウンターの前で並んでるのも嫌だし、見本を出すのも嫌だし、翌日部数を確認するために電話するのも嫌でたまらない。今回なんか、見本出しの後、わざわざトーハンの裏(受品口)によって、口直しをしてしまったくらい。

この気分は、おそらく1回「書店でよく売れる本」を出して、今までとは違った会話を取次とできるようになるまで消えないような気がする。

今回は事前にFAX営業をして、委託注文をもらった短冊をいっぱい(うちにとっては)持って、でかけていった。

その前に読んだ本に、「委託の注文を2000冊取ったのに、配本は1500部と言われた。指定短冊の分だけの配本でいいと言ったのに、1500部にされてしまった」と書いてあった。

もう、ここまでくると、私なんかにはわからない世界ではある。が、配本されなかった500部分の書店がどう反応したか、すごく気になる。もう忘れてて、来なかったことに気づきもしなかったかもしれない。でも例えば、その本を好きそうなお客さんを思い浮かべて注文していたら、なんで来ないんだ~となるような気がする。そういうとき、書店さんは、原因は版元に有りと思うのか、取次に有りと思うのか。

一方、発刊日が変わる(発刊スケジュールがずれるのではなくて、公にした発刊日が変わる)本なんていっぱいあるそうで、書店さんも「延びてるのかな」とか「ボツになったかな」とか思うかもしれない。

それはそうとトーハンはビジネス書に寛大で、日販はその他に寛大という気がする。まったく個人的な(統計サンプルの少ない)話で恐縮だが、うちの場合に限って言うと、売上自体も「トーハン=ビジネス系、日販=その他系」だ。

で、今回FAX営業で集まった委託の注文が、トーハン(帳合の書店)には日販(同じく)の1.5倍くらいあり、配本数にもだいたいそのくらいの差が出た。

が(ここからも単なる感触なんだが)、日販はあくまでもうちの今までの成績にこだわって配本数を決めている。カウンターの人も、トーハンのように担当が決まってなくて番号札順で、見本納品で希望を言おうが何しようが、それとは別の「配本数決め委員会」かなんかで決まる(成績を見ながら)。

一方トーハンは、担当者によっていろいろ違う。うちの場合、前回もそうだったが、この指定短冊の有無(数)で決まる。極端な話、奥付とかカバーとか見てるけど、データ入力に必要だから見てるんであって、「どういう本なのか」という興味はあまり感じられない。

指定短冊を出したら、表情が変わった。柔らかくなった。「やればできるじゃん」という意味なのかと思ったが、彼は前回の私を覚えているタイプではない。「ま、FAX営業したということは認めてやる」という感じか。

で、配本数はその何倍とか決まってるんじゃないかと想像するけど、どうなんだろう。

ちなみに、FAX営業は元が取れない。つまり、中途半端な委託注文数をもらっても、各書店にきめ細かい営業をしておかないと、返品率を考えるとFAX代も出ない。ここで、「各書店にきめ細かい営業」をすればいいんだが、それこそ元が取れない。

どっちかというと配本数が少なくてもいいから(注文に地道に応じていれば安心だから)、FAX営業はやめたい。「指定短冊の部数x○」の配本数+「担当者の態度の軟化」に、どこまでこだわるべきか、それが問題だ。

予約販売

2006年04月05日 | 発売前
以前、予約販売に必要なことという記事を書いた。

書いたときには、予約販売ってのがすごくいいことに思えて張り切った。張り切って営業した結果は無残だった。つまり、予約販売に成功したオンライン書店がたったの1軒。やっぱりメールじゃなくて個別に訪問して売り込まないとダメだな~と思ったんだが、いろいろ忙しくて忘れてしまった。営業嫌いなので、他のことを優先してしまう。

が、よく考えたら、予約販売は何のためにするんだろう。

予約なんだから、よく言う「口コミで広がってよく売れた」って効果は望めない。タレントの写真集なら「出たんだって!」という口コミもありそうだが、普通読んでもいない本を人には薦めないだろう。

直販だったら「金が先に入る」という大メリットがあるが、オンライン書店じゃ意味がない。予約は注文扱いになるんだろうか。「うち&取次」より「取次&オンライン書店」のほうが仲が良さそうなので、うちの場合は新刊配本数の中に含まれて終わりという気がする。

それとも、予約殺到!と煽るためだろうか。殺到しなかったら、どうするんだろう。

カッコよく言えば、私は出す本の潜在読者数はわかる。その先はわからないんだが、「この人たちには買ってもらいたい」って人たちの数はわかる。

予約販売したとして、その人たちが予約したとして、「発売後に買う人」が減るだけじゃなかろうか。

よく考えたら、購買申込が殺到したら発売前だろうが発売後だろうが、同じ「売れてる!」じゃなかろうか。

以前知り合いが、「書店に新刊営業をしたら注文が多かったので、発売前に増刷した」と言っていた。一瞬、羨ましいと思ったんだが、やっぱり「見本出しのときに出す短冊(指定短冊というらしい)に含まれる」わけですよね。となると、新刊委託配本となって、歩戻し取られるわけですよね。おまけに、入金は7ヵ月後ですよね。

歩戻しはいいとしても、印刷代がかかる。うちの場合、新刊が少なくて、新刊納品月も他の月も入金額は大して変わらないという、非常に「平均された」経営になっている。そこで「新刊刷ったばっかりなのに、また刷る」ってことは、非常に厳しい。

増刷ったって、資金がなきゃできない。納品書なんかを担保にして金を借りるつもりはまったくない。あ、できないのかな、したことないのでわかりませんが。

委託清算が結構多くて、かつ注文数が多くて月々の入金が多くて、やっと増刷への準備も整う。

となると、予約殺到!というのは、なんかすごく怖い。オンライン書店だから返品は少ないとしても、やっぱり怖い。

地道にゆっくり売れ続けてほしい。じゃなかったら、うちが読者から直接購買申込を受けて、先に払ってもらいたい。

版元側のワガママではあるが、そこから出す本のタイプも見えてくるような気がする。

部決

2006年03月20日 | 発売前
・・・と呼ぶんだとどなたかに教わったが、「見本出し」と言う人のほうが多いような気もする。

今日その見本出しに行ってきたんだが、実に10ヶ月ぶり。仕入れ窓口自体は少し前に訪問してるが、午前中のあの雰囲気は久しぶりだった。期末のせいか待ってる人もすごく多くて、相変わらずキョロキョロして楽しんだ。

通常はトーハンから回るのだが、別件の場所の関係で先に日販に行く。

日販では、今まで行ってたところはジャンル的に間違いだったと最近知ったので、初めて「一般書籍」窓口に行った。待ってる間にも、部数の確定のために電話がじゃんじゃんかかってくる。返事を聞いていると、左のカウンター(今まで行ってたところ、学参と呼んでた気がする)より、桁がひとつ多い。

そういえば、この前相談に行ったときも、「しようと思ったら多く配本できますよ」とは言われた。「しかし返本が…」というおまけ付きの話だったので気にしなかったが、本当にそうらしい。

IT関係の本とかビジネス書のほうが配本数が多いと漠然と思っていたが、実は違うということか。よく「有名な作家でも初版は…」ってな話も聞くので、何が何やらわからなくなってきた。わからないが、どのみちうちはあまり関係ない。

続いてトーハンへ。

トーハンは、仕入れ窓口の男性がみんな体育会系みたいなので、見栄えがいい。そうはいっても、自衛隊的に「揃っているせいでキレイに見える」んであって、イケてるとまでは言いがたい。

到着したのは11時頃で、28日(5日後)納品の新刊数のパネルを見ると、140冊だった。期末だから混むと聞いてたけど意外と少ないと思っていたら、15分後には170冊になり、私が呼ばれた頃には200冊になっていた。やっぱり少なくはない。

後ろの壁の「毎日の新刊数」グラフを見ると、17日頃がピークのようだった。〆の関係か?

本当は混んでるときは避けたいんだが、例の出版記念パーティーとの絡みでしょうがなく決めた。「今期に計上」が理由の版元は、大変ですねとしか言いようがない。

27日に入れたいと言って断られていた人もいた。

うちが口座を開設した3年半前には、見本出しの翌々日に搬入というのが一番早いと言われた。最初の頃は中2日で入れていて、前回は中3日だったような気がする。そのときは、誰かに「力のない版元は後回しにされる」と聞いた。それならそれで早めに見本出しに行くだけだから構わないと思ったのを覚えている。

しかし、最近は全体的に遅くなっているのか? それともやっぱり期末のせいか。

けど、なんか新しい流通センターを建てたとか言ってませんでしたっけ? その恩恵ってのはないんだろうか。