出版屋の仕事

知識も経験もコネもないのに出版社になった。おまけに、すべての業務をたった一人でこなす私。汗と涙と苦笑いの細腕苦労記。

取次納品伝票

2005年02月28日 | 最初の本の苦労
見本納品を意外と簡単に終えると(本当は大変。1回目で大目に見てもらっただけだと思う)翌日納品数を確認して、それを印刷屋に伝える。

話は突然変わるが、私はいろんな商売をしてきたけど今まではサービス業ばかりで、「商品」を扱うのは初めて。そのためというとバカみたいだが、さっそくポカをする。

印刷屋は例のDTPの友人の出入り業者で、顔は知ってる仲。
私「トーハンに○○冊、日販に○○冊、3日後に入れてね。午前中だよ」

その印刷屋は、書籍はあまり扱わないらしく、ごちゃごちゃうるさい。

私「トーハンのどこって、そんなのトーハンにきいてよ」
印「しょうがねえなあ。まあ、いいか。で、納品書は?」

ハ?

結局、本関係は納品書のフォーマットとかうるさいらしいよという印刷屋の言葉に従って、トーハンに相談に行くことにした。

さすがにいつもの仕入部のエリートじゃ恥ずかしいので、同じ階の女性社員を呼び止める。「納品書に絶対必要な情報、教えてください」

この人、何言ってんの?ってな顔をされて、初めてだからと説明し、ようやく「ああ、それなら、共通仕様のありますよ」と言われる。2冊買って、ついでに書き方も教えてもらう。4枚複写。ちなみに、日販でも同じ物を売っている。

なんとか書き込んで8枚ちぎって、印刷屋に渡す。また、疲れちゃったよ。いいからさっさと納品して配本してくれ。

取次へ見本納品

2005年02月25日 | 最初の本の苦労
1冊目の本は、取引申込と同様、勢いで…というか作業って感じで、スムーズにできあがった。DTPを友人に外注したことも大きい。DTP&印刷込みで頼んだから、印刷屋との折衝も彼がやる。

私は書くのは苦しんだけど、出版という点ではあまり苦労せず、OLのお姉ちゃんがアスクルにOA用紙を注文するのとほとんど同レベルの、ただの作業であった。

ポスターなどの印刷物は、色校が終わったら後は納品だが、本は最初に10冊程度の見本が上がってくる。知人の事務所に行って「へえ、いいじゃない」と軽口を叩いて10冊もらってきた。

トーハンから「本ができたら、持ってきてください」と言われていたので、さっそく持って行く。ちなみに、午前中に行くことと5冊持っていくことは前もって聞いてある。

実はこれは見本納品といって、すごく大事なステップだった。その本をどのくらい売りたいか、どうやって売ってくか、取次に版元としての決意の程を示す場だったのだ。

どのくらい売りたいかというのは、もちろんたくさん売れるに越したことはないのだが、やはり計画というものはある。自分の他の商売なら当たり前のことなのに、出版となると「へへっ、ベストセラーになったらいいなあ」とか思ってしまった。

どうやって売ってくかというのは、読者や書店向けにどんな宣伝を打つか(打ったか)というようなことで、まだ1冊目の私は、当然そんなビジョンはなかった(トホホ)

例の取引申込で世話になった「仕入部」の、今度はテーブルじゃなくてカウンターに行く。午前中は午後とはぜんぜん違って、忙しい&真剣な雰囲気だ。

担当者の番号札を取って、カウンターから少し離れた椅子に座って、順番を待つ。キョロキョロ見渡すと、文庫は別のカウンターらしい。

私の番が来て、5冊出す。5冊のうちの1冊は国会図書館への納品分で、うちの場合、トーハンと日販に交互に持っていけとのこと。つまりもう一方は4冊でよくて、その次の本は逆にする。

とはいっても、最近はどっちに何冊持っていこうが国会図書館から「納品のお願い」が来るので、無視して両方4冊でも構わないものだという気もする。

仕入部の人は、表紙→目次→後付と見た後、中もパラパラとめくって見ている。「この資格、人気あるんですか?」と聞かれる。例の知人にいわれて作っただけなので、知るかそんなもんと思ったが、毎年受験生が増えていると適当なことを言ってごまかす。

ごまかすとその場はごまかせるが、売れなくて困るのは結局私のほうだと肝に銘じるのは、もっと後のことだ。

それでも、取引申込のときの大風呂敷が記憶にあるのか、結構な数の納品数を提示された。次の日の午前中に同じく仕入部に電話して、数の確認をしろと言われた。

その足で日販に向かい、同じ要領で見本納品を終える。やり慣れないことをしたのでドッと疲れが出て、その日の午後はだらだら過ごしてしまった。

DTPデザイナーに、ノセられる

2005年02月24日 | 最初の本の苦労
印刷広告をメインに、DTPデザイン業務をしている友人がいる。他の出版社の本の仕事も何度かしていると聞いていた。普段いろいろ世話になっているので、本を出すときは仕事をふってあげようと思っていたのだ。

仕事はだいたい何でもすぐ受けてくれるので、ついでに書き出した資格本のボリュームが足りないからどうにかしてくれと相談に出かけた。書いた原稿をテキストファイルで持ってった。

頼もしいことに、ボリュームはどうにでもなると言う。その場でテキスト原稿を編集ソフトに落とし込んで、線で囲んだり見出しをつけたりして、ページを増やしてくれた。

あっという間に印刷用データになった。「あとは最後に検索でも入れればいいんじゃないの、できたらまたテキストデータ持ってきな、イラストも描けたら持っといで、こっちでスキャンするから」と言われた。さすがプロは仕事が早い!

週刊誌なんかは殺人的スケジュールに追われるとどこかで読んだ。でも、時間に追われるのは記者や編集者だけじゃなくて、当然デザイナーや印刷屋も、すごいスピードで仕事を上げていく。考えてみれば当たり前だ。

素晴らしい! 帰り際、彼は、「いいねえ、出版社。どこかの編プロに出版社名義を貸してやれ、それだけで4、50万にはなるよ」とのたまった。

例の取次口座のことだと分かったが、編プロなんてどこも知らない。そんな話があったらふってよと言って、帰ってきた。彼は普段から調子のいい人物だが、その日は完全に彼にノセられた。これからいっぱい本を出して、私も彼も儲かって…と、明るい未来を頭に描いた。今考えると甘かった・・・

印刷のこともよく分からないので、全部彼に任すことにしたのだが彼がいつも使っている印刷屋は、書籍専門の印刷屋じゃなかった。専門のところに頼むより結構高かったと、後になって知った。

おまけに、将来自分でそのDTPとやらをする羽目になるとは、思わなかった。が、そのことについては後日。

まさか自分が本を書くとは…

2005年02月23日 | 最初の本の苦労
ようやく手続き的には出版社としての体裁が整い、どんどん本を作って書店に流して売りまくる準備ができた。

表面上は、開業したとたんベストセラーを世に出した幻冬舎とかと変わらない(なんちゃって)
表面上というか、器だけはOKとでもいうべきか。

といっても評判になる本を出すノウハウなどないので、予定通り、例の知人の本を作ることにする。知人の本は、面白くもなんともない資格本だ。それまでにも別の出版社から出ているので、少々書き換えればいいと言う。それを待つことにする。

一応こんな私にも、いろんな本を出してみたいなというほのかな思いがあって、今後の楽しみに取っておくことにする。それはそれで苦労があると知るのは、先の話だ。

原稿を待っているとその知人が来て、別の資格のセミナーも始めるのでその本も出せと言ってきた。知人は、前にも書いたとおり非常に押しが強くて、その押しの根拠は「自分ならできる!」というものなので、私に書けと言うのだ。

あんた、そのジャンル詳しいじゃんとか、公式テキストがあるから手に入れて、少々言い換えるだけとか、押しまくられた。俺がセミナーで売ってやるからと、身内営業もされてしまった。

ライターに頼むということなんか、思いもよらなかった。だってそうでしょう。私は、本っていうのは著者が書くもんだと思ってましたよ。ゴーストライターなんて、アホな芸能人や政治家だけが使うもんだと思ってました。

編プロってのも、存在だけは知ってたけど「京都の宿」みたいな全ページカラーの本のために取材に回ってくれるようなところだと思ってました。ハイハイ、それムックだろと言われそうですね、後から知りました。

ずいぶん後になって、ライターの相場を知りたさにそういう人が集まる団体に顔を出したとき、その仕事の多さにビックリした。本っていうのは有名な人だけが書くと思い込んでたから。

ちょっと話がずれたが、結局書くことになった。生まれて初めての「執筆」体験に、ちょっとわくわくしながら書き始めた。ついでにイラストも描いてしまおう。ここで趣味が生きる。

が、どうしても目標のボリュームに達しない。しょうがないので、DTPを頼む予定の友人のデザイナーに相談に行った。

取次口座確定の日

2005年02月22日 | 出版取次口座の取得
取次口座の取得が確定した最後の訪問日、納品の流れをさらっと説明してもらった。あまりにさらっとしていて、何の疑問も浮かばなかった。最後に「じゃ、本ができたら、とりあえず僕のところに持ってきてください」と言われた。

新しく本を作ると、まず見本納品として4、5冊、仕入部に持ち込む。カウンターで順番待ちしている人たちはみんなこの見本納品だ。大手の出版社なのか、やたらたくさん持ち込んでいる人もいる。新刊5冊だとそれぞれ4、5冊ずつだから、全部で20冊以上。大きな紙袋を重そうに抱えて待っている。

ちなみに新刊の数は、年間6万とか7万冊とかそのへんらしい。出版界の人たちは、多すぎるだの悪本の垂れ流しだのと言ってるけど、よく分からなくて何の感情も浮かばない。書店員の苦労という意味で、この数字の大きさを理解すべきだと分かったのは、もっと後のことだ。ただ本当に、次から次へとカウンターに本が乗っていく。

で、大きな紙袋の人たちは、仕入部の人とカウンター越しに仲よさそうに話している。こちらは横目でちらちら観察する。大きな出版社だと見本納品担当者とかになって、しょっちゅう会ってるということだなと思う。

出版社というとかっこいい編集者のイメージが強いが、ただのセールスマンの親父みたいな人が多い。編集VS営業職ってな話を知るのも後のことなので、あまりのどん臭さに、ちとビックリする。まあ、ああいうふうに持ち込めばいいんだな、と納得する。

そうやって見本を出すと、その場で仮の納品数が決められる。「こういう本なら、千冊ですね」というような感じだ。次の日の午前中に同じ仕入部に電話を入れて、この数を確認する。その次の日から納品ができて、納品の3日後に書店に並ぶ。

…とこういう流れだと説明を受けた。さらりと。

私は、後のことはそのときでいいやという性格なので、ハイってなもんで腰を上げた。1回目の訪問からずっと相手になってくれた仕入部の人は「分からないことあったら僕に電話ください。一応なんでも僕が窓口になりますから」と言って、にこっと笑った。ありがたいことだ。しかし彼も、後のことは後という性格なのに違いないとも思った。

で、やっと1冊目の本作りが始まる。電話で仕入部にコンタクトしてから、3ヶ月ほど経っていた。

取次口座取得のその他のハードル

2005年02月21日 | 出版取次口座の取得
今までの話を読んだ例の知人が、あれじゃ読者が誤解すると言ってきた。いろいろ大変だったじゃんかーと言われて思い出したので、もう少し取引開始までのことを書く。

どうも物事が解決すると苦労は忘れるって性質でそれはそれでストレスとかと無縁でいいんだけど、それじゃ意味ないから。

仕入部には、新刊の見本納品のために出版社の営業マンが次から次へとやってくるカウンターがある。脇のほうにテーブルがあって、取引申し込みはそこで話す。そこでも順番待ちをするから、いろんな話が聞こえてくる。

継続して本を出していけると自信満々に訴えたと書いたが、実際、断られていた人たちは自信なさそうだった。「いくら企画あってもね~、そんなの売れませんよ」と意地悪く言われていたのは、かっこいい若者二人組だったが、本職に売れないと言われて、返事に困っていた。

うちの場合、例の知人が、セミナーをしているとか宣伝するとかずいぶん脚色すると同時に「もう、何千冊ずつ売っている」と大風呂敷を広げていた。あと私がそれをもとに、何月に何々を何冊ってな収支予測を作って持っていった。でもやっぱり、ポイントは彼の押しの強さだったと思う。

他には、現金を1億(!)用意しているという人たちがいた。地元で売れた本があるとかで、某県から来ていた。よく売れたので全国で売りたいとのこと。本を納品する窓口は東京にしかないが、どうするんだ?との問いに、えっ!てな顔しちゃって、ビシバシ突っ込まれていた。嘘でも「流通は既存ルートを使います」とか言えばいいのに。結局、東京支店を開いてからもう一度来てくださいと断られていた。

それから大事なことを忘れてた。会社訪問だ。時期は、2回目と3回目の訪問の間。向こうからわざわざうちの会社にやってくる。

通常の「この会社と取引して大丈夫かいな」という疑いの他に、在庫を置くスペースがあるかどうか、が重要らしい。出版は製造業なので当然なのだが、思いもよらなかったので来る前に慌てて机とかを片付けて、5坪ほど確保した。

そのスペースを見た以外は、ほとんど雑談。だけど、彼が営業担当です、彼女が編集です、とか
そのへんにいるスタッフを紹介した。彼らはもちろん、出版担当なんかじゃない。

でもほら、出版って一応マスコミだし、編集ってちょっとやってみたいじゃないですか。だから、そう紹介されたスタッフがニコニコわくわくってな顔をしていたのも、今思えばよかったのかも。

取次との取引条件

2005年02月18日 | 出版取次口座の取得
4回の訪問中に、契約書に捺印して出した。と言っても、取次から渡されて、有無を言わずに印鑑を押すだけ。

実は私は海外での取引経験も豊富で、100ページの英語の契約書なんかも、隅々まで読んでほじくって文句言って…ということも得意だが、今回は違った。

「文句言ったら、じゃあやめよって言われるだけだよ」と例の知人が言うので、まあ交渉不可なんだなと思って黙って押印した。

後日、出版界のことを勉強しようと「誰が本を殺すのか」とかあのへんの本を読みまくって分かったが、新参者とか小さい出版社には結構不利になっているらしい。

それとも、交渉不可ということ自体が不利なのか。実際は、知人のアドバイスに従って、交渉しなかったのでよく分からない、すみません。

で、はっきり言うと、仕入はXX%だ。それに、仕入割引がX%とあった。(注:やっぱりやばいので消しました)

取次への納品は、大きく分けて委託と注文の2種類あって(もっといろいろあるけど、うちはあまり関係ない)、最初に「こういう新刊を出しました」と言うとどさっと仕入れてくれるのが委託。

その後、書店からちょこまかと来るのが注文。本屋で「取り寄せてください」と頼むあれが、注文だ。客からの注文なしで書店が注文してくれることもある。

で、仕入割引は、最初の委託の冊数にかかってくる。その分は、実質XX%の仕入ってこと。このあたりの話は、後日また。とにかくこの数字が不利かどうか、ホントはよく分からなかった。

仕入率の他に、契約書(実際は取引約定書と業務処理基準)に、納品数が不一致のときは取次の把握してる数字を使うとか、連帯保証人(私の他に2人)が破産したら即取引中止とか、いつ締めのいつ支払いとか、支払の保留とか、一方的な条件が書いてあったが、これも読むだけで押印する。

あと、取次が運営してるウェブサイトの運営費の一部も負担とか返品はどうとか、いろんな書類があった。

最後に、出版者記号をとるための書類。この出版者記号というのがないと出版社じゃないわけで、
この記号取得を代行してくれる。ISBNコードも、取ってくれる。本のカバーに、ISBN4-なんたらっていうのがあるが、そのなんたらの前半が出版者記号、後半が書籍ごとのコードだ。

で、日本図書コード管理センターというところに申請してくれる。が、日本図書コード管理センターによれば、誰でも取れるらしい。出版社記号じゃなくて、出版者記号というのは、そういうことか。

そうやってよく理解しないまま、とにかく手続きを終えた。

取次口座が取れたわけ

2005年02月17日 | 出版取次口座の取得
私の知り合いに、何冊か本を出したという人がいた。ある日、出してもらった出版社がつぶれそうなので、私に出版社になれと言ってきた。これがきっかけ。

私はもともと「何でも屋」タイプで、新しい話にはすぐ首を突っ込む。履歴書に書ける資格は運転免許しかないが、商売で役立ちそうな諸々の権利を、結構持ってる。だから出版も、「ああ、いいよ」ってなわけで、さっそくトーハンに電話した。

昔、幼馴染の実家が本屋をしてて、店の外にあったダンボールの社名を覚えていた。記憶力がいいわけじゃないが、こんな頭でもたまには役立つ。

あちこち電話を回された挙句、書籍仕入部というところにたどりつき、とりあえず会いましょうということになった。ちなみに、(今では仲良しの)印刷屋の話では、この書籍仕入部は、取次の中のエリート部署だそうな。

1回目の訪問は、ただの顔合わせだった。今思えば、「まあ、申し込みくらいはさせてやるか」という態度で提出書類リストみたいなものを渡された。

会社の謄本、役員全員の職歴、出版実績、出版計画。たいしたことない。出版実績は、最初に話を持ってきた知り合いのものをベースに、部数などを少々脚色したが、ここがミソだったと後で知る。出版計画は、そいつが、「最初の年に10冊くらい書いとけばいいらしい」との情報をどこかからか仕入れてきて、適当に書いてくれた。当然だ。

2回目の訪問で、書類を提出。「広告デザインDTPのプロ」と、私の職歴に書いてある。実際は、「たまにパソコンで絵を描くのが趣味」なのだが。

ここで、「有限会社はダメ」なことと、「キャッシュを1500万円用意」と言われる。彼の見積りでは、DTPのプロが根拠になったらしい。あまり外注せずに数冊出すために必要なのが、1500万。

適当に財務をいじって法人格の変更登記をして、3回目の訪問。いじる云々の話もあるんだけど、税務署が怖いので割愛する。3回目は新しい謄本と、2回目にもらった契約書に捺印をしたもの。今までの人の上司も同席した。

後で聞いた話だと、取引開始申し込みに来る10社のうち、2社くらいを上司に回すらしい。残りの8社はお断りということ。

結局、そのまた上の上司まで、3段階チェックを経て、4回目に契約となった。

うーん、こう書いてみても、私と8社の違いが、よく分からん。実際、銀行残高を見せるでもないし、ネタだって適当だ。どう適当かというと、出版企画!なんてもんじゃなくて「○○解説、××年前期版」とかにして増殖させただけ。

出版実績は、本なら5冊くらい、小冊子なら数年配ってればいいらしい。自費出版した人を5人知ってればOKじゃないか。

とにかく、出す本のネタが、たくさんあること、そのための資金があることを、自信満々に聞かせることがポイントだと思う。

出版社になるのは大変?

2005年02月16日 | 出版取次口座の取得
出版社というのは、本を作って書店で売ってもらう商売だが、まず何と言っても、取次の話をしなければならない。

 取次というのは、出版社から本を受け取って、書店にばらまいてくれる、問屋さんみたいなもの。売上の代金回収もしてくれる。この取次業者に「あなたとお取り引きしますよ。ついてはあなたの会社番号は何番です」と言われて、ようやく出版社になれる。このありがたい一言が、「取次口座の開設」と呼ばれているものだ。

 しかし、「取り引きして下さい」と頼んでも、取次業者は簡単に「いいですよ」とは言わないらしい。出版社OBとかのHPによく「ただ本を出したいなら、自費出版すればいいでしょう。出版社にはなかなかなれませんよ」と書いてあるのは、このこと。

 言わないらしいというのは、私に対しては簡単に言ってくれたから、実感ないのだ。なぜ私だけに簡単にOKをくれたのか書きたいけど、取次からは「そんなことバラすなー!」と叱られるかも。

 とにかく、出版計画と呼ばれる大層な企画書を出しても、断られることが多いらしい。多いらしいというのは、当の取次さんから「よく断りますよ」と言われたので、きっと本当なんだろう。大層な企画書かどうかは知らないけど、一年間にこれだけ本を出しますよってなことを、前もって提出する。これは私も出した。はったりなんだけど、取次から「そんなことバラすなー!」と叱られるかも。

 とは言え、私のように何も知らずに始める人はいないだろうから、普通は業界を下調べしてるはずなのに、自分でイケるかどうかも分らないんだろうか? 意外とバカか、出版業界周辺の人?

 ところで大手取次ってのは、トーハンと日販の2社あって、実は私も、準大手からは断られた。普通は、この2社の口座を持ってたら(取引開始できたら)他は追従するらしい。けど、私は断られた。

 断られるのはいいんだが、その理由! 「うちは大手さんと違って、計算書(その月にいくら納品していくら返品されたかが、表になってる)送りませんよ。あなた、請求書つくれます?」

 請求書が作れなくて、どんな商売ができると言うんだ。てめえが計算書つくるコンピュータシステム組めないだけだろ。意外とバカか、取次業界の人?・・・と、そのときは思った。請求書の苦労については、後日。

 まあ、そういうわけで、やりたいと思うだけでは、出版社はできないらしい。今までいろんな商売を始めたりやめちゃったりした私だが、出版だけは続けようと思うのも、このためだ。

出版社の社員の日記じゃありません

2005年02月15日 | 出版の雑談
知識も経験もコネもないのに、突然出版社になってしまった。・・・が、なっちまったものは、仕方がない。

大手出版社出身じゃない。ライターでもない。業界の人は誰も知らない。
編集プロダクションじゃなくて、最初から出版社。というか、その違いもよく知らなかった。

「出版社の仕事って、何ぞや?」 「本を作って出すんだよ」

そうは言っても、どうやって? 自分達のことは秘密主義なのか、「出版社の始め方」なんて本もない。

ゼロから始めて、なんとか一通りの業務をこなすようになりましたよ。それも、ひとりで。ひとりで全部するから、守備範囲だけは広い。

これまでに覚えた「出版社の仕事」。レアケースなので誰かの役に立つのか知らんけど、全部読んだら、あなたも出版社を経営できるようになります。これは保証する。

・・・というコンセプトで、去年メルマガをはじめました。最近流行のプログに変えてみようと思います。しばらく、今までのバックナンバーを毎日載せようと思ってます。