出版屋の仕事

知識も経験もコネもないのに出版社になった。おまけに、すべての業務をたった一人でこなす私。汗と涙と苦笑いの細腕苦労記。

許される誤差

2007年03月23日 | 制作業務
新刊の制作がほぼ完了。「ほぼ」というのは、明日印刷会社に行って念のためにもう一度確認するから。「もう一度」というのは、またポカをしたからである。

この印刷会社のときばかり、ポカをする。・・・と思ったら、前回2回は本当のポカだったが、今回は久しぶりに、マニュアル系のページレイアウトが複雑な本だったからであった。

ページぎりぎりのところに文字とか入れてたら、オペレーターからダメが出たのがひとつ。ある画像に背景が入ってしまっていて、そこだけ白になってしまっていたのがひとつ。

ま、やり直しするなら1個も2個も同じである。

画像に関しては、イラストレーターさんからもらったファイルを、大きさを変えて使っていた。うちのドットプリンタでは背景がなくて地色が出ていたので安心していたら、ダメだった。慌ててクリッピングパスを作成。

ページぎりぎりに関しては、ちょっと微妙な気がする。

担当者から「何か問題があるそうなので、とにかく校正刷りを見てくれ」と言われて印刷会社に行ったら、ちょうど彼は席をはずしていた。こっちも搬入帰りに寄るので、厳密なアポとかはとってないからしょうがない。作業が進めばOKなので、工場フロアまで行ってオペレーターを捕まえた。

曰く、こういう端っこに文字とかノンブルがあるのは、誤差が出る関係でよろしくない。ページの端からは、少なくとも3ミリ離すように。

私は土建屋出身なので、「品質をごまかしやすいデザインにする(品質をごまかすんではなくて、ちょっとした品質のバラつきが目に付きやすいデザインは選ばない)」という心構えはある。オペレーター氏が言うのも同じことで、「変にページの端ぎりぎりのところにあると文字が切れたりするから、それは避けよ」ということだ。

が、土建屋のときのスタンダードは、例えば1メートルにつき2ミリとかのバラつき。それも、内装とか害のないトレードの話。橋とかになると土木なので詳しくないけど、もっと少ないと思う。悪いけど、たかだが128ミリの本で3ミリもズレられるなんてことは想定していない。

会社に戻ってから、オペレーターじゃなくて担当者に電話してきくと、まあ、3ミリってことはないと言う。1.5ミリ。それだって、「128ミリ中の1.5ミリ」で、私にとっては納得のいくものではない。

と思ったら、印刷ではなくて製本所の問題だという。考えてみれば、4色の版下をビシッと揃えて印刷するんだから、印刷工程で1.5ミリの誤差なんか出るはずはない。

知り合いに、企業が入ってるビルの清掃業務を請け負ってる人間がいる。彼曰く、「昼間(社員がいるとき)に入ると結構ラクだけど、夜中に入るビルは汚い」。つまり、掃除をしているオバサンを知っている社員は、ゴミをめちゃくちゃ捨てたりトイレを汚したりしないが、清掃人を目にしない会社だと、平気で汚すらしい。街で「他人には失礼なことをする」人たちと同じ感覚になるんだと思う。

うちは印刷会社に製本込みで頼むので、製本会社とは直接会ったりしない。掃除のオバサンと同じ理屈か。

でもな~、この前製本所の見学に行ったとき見たけど、機械を設定して後は流れ作業なのに・・・。彼らにとっては、128分の1.5ってのは、「許される誤差」なんだろうか。

ま、文句を言ってもしょうがないので、データを作り直した。で、その校正刷りの確認に、明日(土曜日だ!)、また印刷会社へ行く。

本当はバイク便を使って往復すれば行かなくてもすむんだが、私はそういうのは気が進まない。行ったら他の話もできて何でも勉強になるし、「この3月はなぜか印刷会社はどこもめちゃくちゃ忙しい」ことを知らなかった私のせいだと思うから。

今回みたいなケースに限らず、担当者にうちまで来てもらおうとすると、納期が延びる。他の仕事もしながら校正刷りを届けたりするんだから、当然といえば当然。だから、私が行ったほうが早い。

実際、印刷プローカーに頼んで、値段だけは安くなるけど納期はもっと延びるってこともよくある。急いでないときはそのほうがいいんだが、今回はしょうがない。

画像処理の件がなかったら「そんな誤差は許さない!」と言ったところだが、そう、1個も2個も変わらないので、こういうことになった。

来月に入ったらゆっくり休みたいところだが、今度は営業が待っている(涙)

8 コメント

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誤差 (you)
2007-03-24 00:15:30
手作業ならまだしも、同じものを千とか万の単位で作って誤差が1.5ミリ以内なら、けっこう凄いことのように思えます。それも下手したら百円切るような単価で。
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youさん (タミオ)
2007-03-24 15:31:35
同じことは印刷所にも他の製造業にも言えるので、やっぱりどうかなあという気がします。

ただ、それに対して「非常にムカつく」というわけではなくて、「疑問はあるけど、そうだと言われればしょうがないし、今回学んだようにこちらも工夫していく」つもりです。
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仕方ない部分も... (DTP屋)
2007-03-26 16:06:45
印刷工程まではデジタルな環境で進みますが、いかんせん製本などの後工程はかなりアナログな工程です。
ページもののノンブル部分をパラパラ漫画のようにして見てみると、結構ずれてるもんです(笑)
私も3ミリぐらいはずれる可能性があると思って作業してますね。

製本屋さんの作業風景を見学させてもらったことがありますが、ま、これじゃあ多少ずれても仕方ないかな、って感じがしました。
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Unknown (キタミ)
2007-03-26 19:30:09
ご無沙汰しています。
いろいろなところで誤差は生じます。
物理的に生じる誤差と職人のいい加減差で生じる誤差と。

面付けをして印刷された紙を折り畳んで通常1折り16ページをつくるわけですから、紙の重なりによって普通は100%ズレてきます。
二次元を三次元にするわけですから。

それでもタテ方向へのズレは僕のやり方をすればほとんどなくなりますが、限られた部数の尋常ではないやり方なのでラインの製本では無理かとおもいます。

それでもポイントを押さえればかなり少なくなるはずです。
ただやはり手間ひまかかることなので、そこで働く人の収入を考えると無闇には頼めません。
また頼めたとしても当然職人の技量や意識、どの程度の機械を使っているかによっても精度はちがってきます。

なんてことを考えていると僕のようにすべてを自分でやるしかなくなります(笑)。

上記のポイント、文章で誤解なく伝える自信ありません。
お電話いただければ説明します。

また、ヨコ方向へのズレを無くすのは、理屈上はDTPの段階で調整すれば簡単にできるはずですが、人間の目の動きを考えるとあまり意味のあることではないと僕はおもっていますので、ヨコへの対策は僕はしていません。

それと製本以前の工程でもズレって、起こっているんですよ。
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DTP屋さん (タミオ)
2007-03-30 16:55:25
>私も3ミリぐらいはずれる可能性があると思って作業してますね。

やはりそうですか。私も一応、心構えとして今後の課題にします。

でも、本のタイプによっては、3ミリってきつくありませんか?

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キタミさん、こんにちは! (タミオ)
2007-03-30 17:06:20
本文中に書きませんでしたが、気になったのは縦のずれでした。

でも、キタミさんとこに押しかけたのと普通の製本所の見学のおかげで、おそらく誤解なく理解したと思います♪

特になるほどと思ったのが、
>そこで働く人の収入を考えると無闇には頼めません。

そうですね~。直接的にはこちらの責任じゃないですけど、回りまわって考えるとそうですね。労働環境向上のための取り組みって、取引先からのプレッシャーと闘うことも含めて、その業界が頑張らなきゃいけないこととは思っているのですが、私も低予算でできたら嬉しいし。。。 仮に「いっぱい払いますから、工場のワーカーの方たちに還元してください」と言うのもお門違いですし。
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たしかに (DTP屋)
2007-04-05 09:40:38
>でも、本のタイプによっては、3ミリってきつくありませんか?

レイアウトなどへの制限にはなってしまいますね。
他社がテンプレートだけ作って、うちで流し込みだけするような場合、
「これじゃあバラバラが目立つよなぁ」
っていうレイアウトが来る場合があります。
そういう時はそのまま作業してますが、自社でデザインする場合は、やはり多少は考えてしまいますね=デザインに制限が出る、ってことでしょうか。

いかんともしがたい、という思いです(^^;
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自社でデザインする場合 (タミオ)
2007-04-11 16:43:26
>やはり多少は考えてしまいますね

そこがプロと私との差なんだと思います。今後の課題にします。たいしてセンスもないくせに、「こうあるべし」と文句垂れるのもやめます(笑)
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