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MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

「マライの虎」を巡って

2017-10-11 00:28:58 | 美術

 六本木の森美術館で催されている「サンシャワー 東南アジアの現代美術展」では1972年

生まれのマレーシア出身のロスリシャム・イスマイル(イセ)(Roslisham Ismail a.k.a Ise)の

「もうひとつの物語(anOther Story)」(2017年)というミクストメディアを観ることができる。

上の写真はその一部で1943年に制作された日本映画『マライの虎』(古賀聖人監督)の

現地のポスターで「PERISIK!(スパイ!)」というタイトルになっている。

 この映画の主人公は「マレーのハリマオ」と呼ばれた谷豊である。「ハリマオ(Harimau)」とは

マレーシア語で「虎」を意味するのであるが、ここで混乱することは同時期に日本の軍人である

山下奉文も「マレーの虎(Tiger of Malaya)」と呼ばれていたことである。実際に同展の

ホー・ツーニェン(Ho Tzu Nyen)のヴィデオ作品『2匹または3匹のトラ(2 or 3 Tigers)』

では「マレーの虎」として山下奉文の名前が出てくる。この混乱はおそらく異名を付けた人が

マレーシア人か日本人かの違いによるもので、それにも関わらず谷豊をモデルにした映画の

タイトルを「マライの虎」としてしまったことを起因とするのだと思う。


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