欅坂46 『エキセントリック』
本作は今年1月に日本で公開された『NERVE/ナーヴ 世界で一番危険なゲーム』(ヘンリー・ヨースト/アリエル・シュルマン共同監督 2016年)を元にしていると思うのだが、ストーリーの伏線が全く回収されないまま終わってしまった。
例えば、メンバー全員で縄跳びをするシーンにおいて、連続100回を目指して飛ぶのであるが、何故か100回目で長濱ねる演じる永嶺みこがわざと飛ばないで失敗することになる。しかしこの演出の意図は理解できる。平手友梨奈が演じる葉山ゆずきが「主人公」、永嶺みこが「キーパーソン」であるかのように視聴者をミスリードしたかったからであるはずだが、実はラストで明らかになるように永嶺みここそが本作の「主人公」なのである。
あるいは原田龍二が演じる畑田公介が何故箱の中に監禁されていた振りをしていたのかも明らかにならず、辛うじて理解できたことと言えば、「欅坂46」と「けやき坂46」に挟まれた長濱ねるの立ち位置くらいである。だから本作は長濱ねるの、両グループに対する「愛」の決意表明以上のことはなく、欅坂46のファン以外の人が楽しめる要素は見当たらないのである。