数日前 夜、自動車を運転していたら、なんとなく後ろの自動車がいやな感じやと思った。
車間距離が極端に短いというわけではないのだけれどヘッドライトがまっすぐに僕の自動車のバックミラーを照らしていて、一つ間違ったらあおられそうだぞという雰囲気が漂っていた。
もともと僕は、自動車のシートに深く腰掛け、背もたれと背中が密着する面積を大きくし、ハンドルは10時10分から9時15分の間でなるべく右手、左手対称の位置を握るということが多い。
それで、僕は背もたれをほとんど倒さず、背もたれの可動域の中では最も垂直に近いところにセットしている。
なので、上記の運転姿勢を取ると 背中はほとんど垂直に立つことになり 僕は座高が高いので頭は軽乗用車の天井まで残り握りこぶし一つくらいしかないという位置に来る。
大型乗用車に乗っている人よりも軽自動車の僕の方が頭の位置だけは高いということも、ままある。
さて、その姿勢で、後ろからあおられるかもしれない と思ったのでそのときに備えて、僕はハンドルを固く握り脇を閉め まっすぐに前を見て運転した。
まっすぐに前を見ることに意識を集中すると そうでない時よりも後ろの自動車が気にならなくなるからだ。
ただ、ハンドルを脇を閉めて固く握ると僕は脚が短く座高は高いけれど 腕は長いので、ハンドルがテコの支点になって長い腕を介して、上半身が、道の凸凹やカーブなどでおおきく左右に触れることになる。
そうすると後ろの自動車は、「あのおっちゃんの上半身 えらい左右に揺れとるなあ、変な人が乗ってるかも知れん、用心しよ」と言う感じで車間距離を空けてくれることがある。
そのときも、車間距離もっと空けてくれたらいいのにと思っていた。
しばらく走っていると、急に「前の軽乗用車、左に寄りなさい 左に寄りなさい」というような声が拡声器から聞こえてきた。
「ええ?何なの? まさか 僕のこと?」と思って後ろを見ると、さっきのあおってきそうと僕が思っていた自動車が赤色灯をくるくる回している。
「あれー あの自動車パトカーやったんか、しかし、なんの違反やろう スピードメーター見てなかったけど スピード違反は覚悟せなあかんな」と思って左に自動車を寄せて停止した。
逆らって公務執行妨害でも取られたら交通違反どころではすまない、それだけは注意しようと思った。
パトカーから30歳前後くらいの若い警察官が小走りに僕の方にやってきた。
「窓を開けてください」と警察官 「はい」と窓をあける。
「ちょっと運転がふらついておられたので声をかけさせていただきました。大丈夫ですか?」と警察官。
「いやあ ちょっとあくびとかはしてましたけど 大丈夫です」と僕は言った。前の信号待ちの時ちょっとあくびしてたから。
「そうですか。ふらついておられましたよ」と警察官。
ふらついていたのは自動車なのか 僕の身体なのか 主語がないのでわからないけれど まあいいかと思って 「ちょっと ハンドルをカンカンに握ってたのでその反動で揺れたかもしれません」と僕は実際にハンドルを9時15分で固く握りながら言った。
「そうですか 大丈夫ならいいんですけど お仕事帰りですか」と警察官。
「仕事帰りと言うか 仕事終わって外食して 帰りです」と僕は言った。
「お酒は飲まれましたか」と警察官。
「いや お酒は飲んでません」と僕。
本当にお酒はその日ばかりでなく ここ5年以上 仮に飲んだとしても ウイスキーキャップ一杯程度ということがほとんどの僕だ。
「ちょっとこの棒の先のところに息 フーっとかけてもらえますか」と警察官は白い棒状のたぶんデジタル機器を僕の方に出して言った。
それに僕は息をかけた。
「あれ? 何も反応しませんねえ。もう一度 もっと 思いっきりフーっとやってもらえますか」と警察官。
それで僕は一回目よりももっと思いきりフーっとその棒状の機器に息をかけた。
「ああ。反応しません。大丈夫です」と警察官「ちょっと免許証見せてもらえますか」
はい と僕は言って免許証を見せた。
免許証に書いてある住所と自動車が向かっている方向が同じでよかった。
警察官は免許証を僕に返して「ちょっとふらついておられたので 声をかけさせていただきました。すみません。この先お気をつけてお帰りください」と言った。
それで自動車を発車させると パトカーはまたついてくる。
違反がなかったから書類を書く必要がないからすぐについてくるのか 書類は後から書こうとおもっているのかわからないけど。
ここで違反を取られたら何にもならないと思って 僕は前方の制限速度の標識を確認してピッタリその速度で走った。
次の信号でパトカーは曲がっていなくなった。
きっとぴったり制限速度道理に走ったこともお酒を飲んでない証拠と言うか参考要件にはなったような気がする。
それにしても 若いころ私服警官に職務質問されたり ここ1年の間にも一人だけ駐車場でほかの自動車から離れた位置に駐車していたという理由で自動車の中を懐中電灯で軽く確認されたり何かと警察官に怪しまれることの多い僕だなと思う。
でも あそこで 機器がが誤作動していたらどうなるのかな とあとでふと思った。
デジタルの体温計など リセットするのを忘れたりするととんでもない値を示すこともあるから。
誤認で違反になることがないようにと願いたい。
しかし、検索上位でヒットした法律事務所のサイトに あれこれ理屈をつけているよりも 職務質問には 可能な範囲で気持ちよく応じて疑いをはらすことが 一番確実で速い方法と書いてあったけど その通りだなと思う。
しかし あのパトカー覆面だったのか それとも普通のパトカーだったのか 夜なのでヘッドライトしか見えないので わからない。
でも 赤色灯のあげ方など 覆面だった可能性が高いような気がする。
大事に至らなくてよかった。
それはともかく一日いちにち無事にすごせますように それを第一に願っていきたい。