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「蟹工船」日本丸から、21世紀の小林多喜二への手紙。

小林多喜二を通じて、現代の反貧困と反戦の表象を考えるブログ。命日の2月20日前後には、秋田、小樽、中野、大阪などで集う。

1932年9月15日、日満議定書締結

2009-09-15 16:47:52 | takiji_1932
昭和6(1931)年満州事変を機に、中国関東部で展開していた帝国日本軍は、昭和7(1932)年3月傀儡政権の「満州国」を建国したばかりか、昭和7(1932)年9月15日、満州国都・新京(現・長春)において、日本の満州国承認に伴う「議定書」を締結した。

本議定書は序文において、両国の強固な同盟関係(日満一体)と東亜の平和安定確立を宣言し、

細目において、日本及び日本国民が満州国建国以前から満州に有していた一切の権益・契約等の確認と尊重 日満両国による集団安全保障(共同防衛)の確認及び、満州防衛に必要な日本軍駐屯の承認 を謳(うた)っていた。

これに基づき「満州国軍」は編成されず、建国以前から駐留していた関東軍(日本軍)が引き続き駐留し、日本権益の保護・在留邦人の安全確保・満州国防衛の任に当たる事となった。

これによって、帝国日本の中国東北部の占領体制が確立した。

この体制は、昭和20(1945)年、戦争終結により、当事国が崩壊し(日本の占領・満州国の滅亡)たことで、本議定書も失効することになる。



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満洲国新京ニ於テ帝国特命全権大使ガ満洲国国務総理
ト共ニ署名調印シタル議定書 (昭和7年条約第9号)
(昭和7年9月15日調印、同日発効)


日本国ハ満洲国カ其ノ住民ノ意思ニ基キテ自由ニ成立シ独立ノ一国家ヲ成スニ至リタル事実ヲ確認シタルニ因リ満洲国ハ中華民国ノ有スル国際約定ハ満洲国ニ適用シ得ヘキ限リ之ヲ尊重スヘキコトヲ宣言セルニ因リ日本国政府及満洲国政府ハ日満両国間ノ善隣ノ関係ヲ永遠ニ鞏固ニシ互ニ其ノ領土権ヲ尊重シ東洋ノ平和ヲ確保センカ為左ノ如ク協定セリ

一、満洲国ハ将来日満両国間ニ別段ノ約定ヲ締結セサル限リ満洲国領域内ニ於テ日本国又ハ日本国臣民カ従来ノ日支間ノ条約、協定其ノ他ノ取極及公私ノ契約ニ依リ有スル一切ノ権利利益ヲ確認尊重スヘシ

二、日本国及満洲国ハ締約国ノ一方ノ領土及治安ニ対スル一切ノ脅威ハ同時ニ締約国ノ他方ノ安寧及存立ニ対スル脅威タルノ事実ヲ確認シ両国共同シテ国家ノ防衛ニ当ルヘキコトヲ約ス之カ為所要ノ日本国軍ハ満洲国内ニ駐屯スルモノトス

本議定書ハ署名ノ日ヨリ効力ヲ生スヘシ
本議定書ハ日本文漢文ヲ以テ各二通ヲ作成ス日本文本文ト漢文本文トノ間ニ解釈ヲ異ニスルトキハ日本文本文ニ拠ルモノトス

右証拠トシテ下名ハ各本国政府ヨリ正当ノ委任ヲ受ケ本議定書ニ署名調印セリ
昭和七年九月十五日即チ大同元年九月十五日新京ニ於テ之ヲ作成ス

(署名略)
(日本外交年表竝主要文書より)

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