そういえば、今日北海道の父に電話した際に、「ストトン節」を唄ってもらいました。
♪スットトンスットトンっとかよわせて~というものも唄ってもらいましたが、男女のことを唄ったものではない歌詞もあるようでした。
レコードとかあったの?ときくと、”みんな唄ってたから、ちゃっこい頃覚えた。昭和のはじめか大正ごろの歌だべ”、とのことでした。
なんだか蟹工船の世界がまたひとつのぞけたように感じました。
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めいさん、相変わらず眼のつけどころがいいですね。
多喜二「蟹工船」に出てくる「ストトン節」は、http://sasakimikie.seesaa.net/article/24944145.html
で試聴することができますよ。
この歌は、昭和3年「君恋し」を大ヒットさせた二村定一 ”ふたむらていいち”(1900~48),通称”べーちゃん”がレコーティングして多喜二の時代に流行ったようです。
http://www1.ocn.ne.jp/~sonny/beichan.html
○ストトン節
こんな男女間のもつれてぎすぎすした感情をテーマとしている歌詞を,あっけらか~んと歌い上げていて不思議に心地よい。
♪ストトン ストトン と通わせて いまさら嫌とは 獰欲な
いやならいやと最初から 言えばストトンと通(かよ)やせぬ
ストトン ストトン
ストトン節というと,夢野久作(1889~1936)の短編集「いなか・の・じけん」に,「スットントン」という掌編が収録されている,
とある芸妓の話。芸妓という仕事は,つね日頃ありとあらゆる音曲をマスターしてなくては仕事が勤まらないので,普段から身の回りの音楽という音楽をすべてを耳にいれて仕事の肥やしとしていなくてはならない。
しかし,ある日,たまたま一緒に乗り合わせた車夫が,何気に鼻歌で”ストトン節”を歌っていた。芸妓,いつもの職業意識でそれを耳コピでさっそくマスターしようと試みるのだが,車夫の鼻歌があまりにも調子がはずれていてマスターできない。
今後,このストトン節を仕事先で「やれ」といわれたら,これはたいへんなので,しっぽをまいてその場から逃げてしまうという筋書きだったような。(←たしか「青空文庫」で読めるはず)。
夢野の短編を読んだときは,大正期の俗謡についてなんの前知識もなかったので”スットントン”という奇妙な表題にひかれて読んで,それで印象に残っているのだが,この二村の歌唱で,初めて,当時歌われていた”ストトン”の実態に触れ得たような気がしたので,この音源には大感謝してます。
それにしてもこの”ストトン節”なのだが,基本的に”俗謡”なのだそうで,メロディも親しみやすく憶えやすく,メロディラインを誤らないで歌うのはそんなに難しくないと思う。それを調子っ外れで歌ったという件の車夫,果たして,どのような鼻歌だったのだろうか? そういうことに関心が向いてしまうのでありまする。なんか本題から逸れてしまった。
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