阿部浪子の手で若林つやの評伝が刊行された。
同書には、6人はともに無名女性作家の、男たちとの交流についても書かれている。
若林つやは、小林多喜二に文学指導を受けた存在で、プロレタリア作家同盟の新進作家として期待された存在。つや子宛の書簡が多喜二全集に収録されている。
かつて平野謙が、多喜二と愛人関係にあったと下衆の勘繰りをしたが、それを訊ねた貴司山治宛書簡で、本人は「文学の師匠」ではあるけれど、男女の仲ではないと断言している。
本書は、1960年代に貴司山治が若林つやに会いに来たエピソードを紹介していて興味深いが、やはり徳島県立書道文学館で開催された「貴司山治展」に展示された、若林つや書簡の物証に軍配を挙げたいところだが、結論を性急に求める必要はないだろう。
本田延三郎の娘さんの著書にも異論はあるけれど、両論併記して「考える」ということが大事なことだろうと思う。
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