新・臨床検査の光と影

人の命を測る臨床検査に光を!

ブランチ問題で厚労省と【Ⅱ】

2007-11-21 09:48:06 | 医学検査の下請け問題

      病院検査室のランニングコストを(13)

 プロジェクトとして、「ブランチラボを、一度も調査しないで、実勢価格と決めている現行制度」の矛盾を鋭く指摘、立ち入り調査を行うことを、粘り強く迫った結果、同意するに至りました。

 さらに、一度に数万件の検体をまとめて行なう検査センターと、患者の病態や診断の進捗状況を見極めながら1件1件丁寧に検査をおこなう病院検査室のランニングコストとは、比較にならない開きがあることに対しては、一定の理解を示す発言がありました。

 その実状を認めながら、次のように背景の補強をする当局側の見解が、初めて述べられました。

 1、現時点では、バルクラインを決定する基礎資料として揃っているのは、検査センターのものだけであること。

 2、病院検査室として、的確なランニングコストを示せる資料があれば、検討するに、やぶさかではないこと。

 3、なおかつ、関係学会などの裏付けがあれば、よりベターであること。

 これは、全く初めて示される見解であり、提案ではありました。

  職能団体である検査技師会と、学術団体である検査医会が協力し、よりいっそう関係を緊密にして、検討してみる価値のある、厚労省担当部局の提案ではないでしょうか。

 たとえ数ヶ所でもいい、病院検査室の財務諸表から、信頼できる、そして納得のいくランニングコストを割り出すことは、やってみる価値のある作業だと思いますが、いかがなものでしょうか。 


ブランチ問題で厚労省と

2007-11-19 20:57:46 | 医学検査の下請け問題

        Photo ブランチ問題で厚労省と折衝(12)

 ブランチラボ問題を中心にして、この春(4月19日・木)厚生労働省と、われわれプロジェクト・チームが初の折衝を行いました。

 厚労省1階の共用会議室、午前11時より、およそ1時間25分に及びました。

 厚労省側から、医政局総務課事務官2名、医政局経済課係長、保険局医療課主査、医政局医事課指導係長、労働基準局監督課事務官、以上6名。

 主要な議題は次の4項目にしぼりました。

 1、厚労省として、ブランチラボの実態調査を行い、規制を強化すること。

 2、臨床検査関係の診療報酬の改善と充実を図ること。

 3、病院検査室で常態化している労基法違反の「宿直」に対して、調査・監督・指導を強化すること。

 4、病院検査室が違法な「宿直」によらず、交替制で対応ができるよう、対策を取ってほしいこと。

 とくに、検体検査の外注化によって、検査センターの競合により、受注低価格が実勢価格とされ、バルクラインが著しく低価格に抑制されていることで、病院内の検体検査との、価格の乖離が拡大する矛盾を、ぜひ解消してほしい旨、資料を提示して改善を要望しました。

 プロジェクトとしては、初の折衝でしたが、当局側も、それぞれの担当責任者が真摯に対応されて、充実した折衝となりました。

 なかでも、ブランチラボによる、医療上の弊害や問題が頻発しているなか、厚労省として、一度も実態調査や立ち入り調査を行っていないことに、プロジェクトとして、詰め寄る場面もありました。(続く)

                            今朝、赤城山に初冠雪


ブランチ・FMSを斬る!

2007-11-18 09:12:32 | 医学検査の下請け問題

Photo    ブランチラボ・FMSを斬る!!(11)

月刊 国民医療 2007 Nov・№242 国民医療研究所 発行

Photo_3  医療機関におけるアウトソーシング

    臨床検査問題プロジェクト報告

     「検体検査の院内業務委託をどう見るか

 これほどまでに具体的資料を駆使して、ブランチラボ・FMSの実態を、一刀両断した解説書は、今までに例を見ません。 

 学会も職能団体も、云い得なかった問題点を、小気味よくズバリ指摘して秀逸です。それは、歩いて、見て、聞いて確めたからこそ云えることです。

 臨床検査技師はもとより、病院経営者・関連学会・職能団体、関連業者や卸業等、携わる多くの方々に、必読をおすすめしたい著作です。

 筆者は、研究所研究員・臨床検査問題プロジェクトチーム・岡野孝信リーダーです。

 研究所の機関誌ですから、残余部数がどれくらいあるか定かではありませんが、連絡してみてはいかがですか。

 1部・500~600円くらいでしょうか。

  連絡先 電話=03(3843)3560  FAX=03(3843)0287                                                               赤城山に、虹の架け橋、いいことある?                                

 

           


検査の外注、10%減少!

2007-11-17 09:43:46 | 医学検査の下請け問題

          自主運営検査室スタート!(10)

  ときに、嬉しいメールが飛び込んでくるものです。

 日赤関係の検査技師勉強会で講演したご縁があって、H日赤病院検査部の技師から、「12月から新しい体制で、自主運営の検査部がスタートします」と、自信と誇らしさの感じ取れるメールをいただきました。

 講演で、ブランチやFMSに代わる、いくつかのツールを紹介したなかの1つ「PRT(Pay Per Reportable Test)検査実績課金方式」で、新たなスタートを切る、というメールでした。

 ?検査部が主導性を発揮し、構想を提案した通りの検査機器更新がなり、システムの一新が実現したこと。

 ?病院側、とくに経理事務担当係が、「課金制度」を理解し応援してくれたこと。

 ?検査部が業者との交渉権を発揮し、自主性と主体性を保つことができたこと。

       検体検査の外注、10%減少

 さて、その一方で、厚労省の情報によると、検査センターへの検体検査外注が、なんと10%も激減しているとのこと。

 これは一体どうしたことでしょうか。

 なにが起こっているのでしょうか。

 この数字、病院自前の検体検査室が増えたにしては、余りにも実態とかけ離れています。

 病院が検体検査を手控えたにしても、合理性のある説明にはなりません。

 どうやら、病院の整理統合によるものと推測していますが、10%もの減少は異常な事態ではあります。


これでいいの?臨床検査

2007-11-15 10:32:57 | 医学検査の下請け問題

Photo_6  Photo_2       病院の80%で労働法違反!(9)

 昨年厚労省が全国1600ヶ所近い全国の医療機関の立ち入り調査をした結果が公表されました。

 その結果、実に81%に労働基準法などの違反行為のあることがわかり、文書指導していました。

 全業種の全国平均67%を大きく上回っています。

 労基法違反802件、不払残業559件、就業規則不整備484件、労働条件不明示違反334件。

 ほんの、氷山の一角であるばかりか、ブランチ検査室や、そこに働くパートや臨時雇用の検査技師の多くは、見落とされています。なかには、立ち入り調査に必要な資料つくりまで、させられたブランチ技師までいました。

 こんなの、調査の陰に隠れて、改善指導の役に立たないばかりか、偽装や違法の温床です。

 指摘や指導を受けても、立ち入り調査が終れば「これでしばらくは大丈夫?」と公言して、もとの木阿弥。

 「なにも変わりません」と、相談者からメールが届きました。

 おりしも、就業規則を、そのまま労働契約にしてしまおうとする、労働2法の改定が衆議院で可決されました。

 就業規則が病院労働組合と、病院側の力関係で、どうにでもされる危険性があり、泣き寝入りの温床になりかねません。

 今日も、「ブランチラボ」「請負契約」「出向」「就業規則」「労働協約」等の解説CD-Rを、3人の相談者に郵送しました。

 つたないブログへのアクセスが、ようやく1万件になりましたが、少しは現場の役に立っているのでしょうか。

 ウオーキングの途中でお寺の桜が咲いていました。狂い咲き?それとも、温暖化の影響?