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人の命を測る臨床検査に光を!

「メタボ診断」を斬る!

2008-05-31 12:13:30 | メタボ健診

         「メタボ健診」を斬る!(6)

       これは凄い!執拗な支援とポイント制

 継続的・積極的支援を要する対象者に対して、医師・保健師・管理栄養士・薬剤師が、食事や運動の実践的指導を行い、その進捗状況を見極めながら、目標・計画・意識づけ、評価の判定まで行います。

 支援の形態としては、個人別・グループ・電話・電子メール・FAX・手紙、これらの組み合わせとなります。

 個別支援=5分間1単位(1単位=20ポイント)支援1回当り最低10分間以上、1回あたりの算定上限=120ポイント

 グループ支援=10分間(Ⅰ単位=20ポイント)1回当り最低40分間以上、1回当たりの上限=120ポイント

 電話支援=5分間の会話1単位(1回当り=20ポイント)1回当り最低5分以上、1回当り算定上限=60ポイント

 電子メール支援=1往復1単位(Ⅰ単位=40ポイント)1往復=指導実施者と指導を受ける方で情報の共有を図り、指導する実施者が「完了した」と判断できるまで、電子メール・FAX・手紙などで、執拗に繰り返すことが求められています。

 支援ーAの場合;ポイント合計・160ポイント

 支援ーBの場合は、さらに20ポイント加算されて、合計180ポイント

 「医師にはそんな暇はない」「保健師がいない」「管理栄養士の手が回らない」

 困っているのは、受託を断る医療機関より、委託する各健保組合の方が、途方に暮れている県もあります。

 なにしろ、「健診基準のハードルが低過ぎて、無理矢理病人のレッテルを貼りまくっている感じ」といった声が聞える一方、とにかく、「評判の悪い制度がスタートしたもんだ」の嘆きがしきりです。

 この基準のハードルを策定した委員に、製薬会社から、多額の寄付金が送られたことが公になっていますが、どんな意味の寄付金だったのでしょうか?


「メタボ健診」を斬る!

2008-05-28 13:13:07 | メタボ健診

                        「メタボ健診」を斬る!(5)

                  健診に数値目標が設定

 それぞれの健康保険組合が「メタボ健診」を実施するにあたって、「メタボ健診数値目標」いわゆる、「ノルマ」が設定されています。

      対象人口は、およそ5.600万人

      健診費用は1人当たり8.000円

      本人負担2.700円

      〇健診実施率・・・・・・・・・・65%

      〇メタボ予備群減少率・・・10%

      〇保健指導実施率・・・・・・45%

 初頭で動くお金は、数千億円?になります。

 一方、「メタボ健診」を受託する病院にとっては、宝の山に見えるでしょうが、過酷とも云えるポイント制が待ち受けていることを忘れてはいけません。

 関係スタッフ全員でシミュレーションを行って、綿密な計画を立てる必要があります。

  実際に「メタボ健診」を受診された方に聞きました。

 「衣服を着たまま腹囲を測り、体重測定も、着たまま秤に乗りました。」と言って首をかしげていましたが、「信頼」を失墜するような健診にならないよう、心して取り掛かりたいものです。 


「メタボ健診」を斬る!

2008-05-26 16:16:42 | メタボ健診

         「メタボ健診」を斬る!(4

         「特定健康診査」の問題点

 メタボ中心主義とも云えるもので、メタボ偏重との批判が強いものです。

 健診項目は、男女の性差や、年齢差があまり考慮されていないので、医学的根拠が希薄だ、といった専門家の指摘が絶えません。 

 従来は国民の健康保持が目的だったものが、医療の「適正化」の名のもとに、医療費の削減が最重要目的になっています。

 また、健康保険組合などの保険者に、健診が義務付けられているばかりでなく、怖いことには、健診受診率の目標未達成や、メタボ該当者の削減成績が悪い場合には、健保組合などの保険者の責任にされて、「後期高齢者医療制度」へ、支援金を支払わせるペナルティーが科せられているのも、珍しい制度です。

 そのために、さまざまな悪影響が予想されることが心配です。      


「メタボ健診」を斬る!

2008-05-22 09:12:20 | メタボ健診

Dsc02356        「メタボ健診」を斬る!(3)

      対象者5.600万人の過半数が!

 告示で規定さえた「特定健康診査」の健診項目、Step-1の健診では、腹囲とBMIで、腹囲は男性85㎝以上・女性90㎝以上、BMIは男女とも25以上が、引っ掛かります。

 Step-2で血液検査などは次の通り。

 空腹時血糖値=100㎎/dl以上、またはHbA1c=5.2%以上

 中性脂肪=150㎎/dl以上、または、HDLコレステロール=40㎎/dl以下

 血圧=収縮期:130㎜Hg以上

      拡張期:80㎜Hg以上

 40歳から74歳までの対象人口およそ5.600万人、経験的に云って、過半数の人が、1乃至2項目、基準値をオーバーするのではないでしょうか。

 次に進んでStep-3、「特定保健指導」が待っています。

 これは、指導に携わる医療関係者も、受検者も、とてもとても、生半可なものではないことを、覚悟しなければなりません 


「メタボ健診」を斬る!

2008-05-20 13:21:19 | メタボ健診

Dsc02343       「メタボ健診」を斬る!(2)

      根拠薄弱な腹囲の基準

 第1に、臍の位置で腹囲を計測するのは、世界的に見ても例のないことです。

 したがって、「グローバル・スタンダード」から、逸脱していること。

 しかも、母集団である日本人のどの階層を、いかなる根拠で選んだのか、はなはだ疑問です。

 なにしろ問題なのは、男性の腹囲を85cm以下とした母集団は、僅かに544人、女性を90㎝以下としたのは、たったの194人のサンプルを基礎にしていることです。

 1億2千万人分の738人です。

 次は、国民の健康を、国家が統制するような中身に驚きました。

 第1は、健診の成績によって、ペナルティーを科す、としたことです。

 第2には、受診の義務化と強要です。

 そして、結果として「肥満は悪」「肥満の差別」「肥満に罰金」です。

 メタボの原因は、必ずしも、個人の不摂生だけではありません。

 働く人の労働条件や労働環境、社会的な要因を根本から見直し改善しない限り、メタボをなくすことはできません。