新・臨床検査の光と影

人の命を測る臨床検査に光を!

「メタボ健診」を斬る!

2008-06-08 09:55:56 | メタボ健診

          「メタボ健診」を斬る!(9)

          メタボの原因、労働紛争にも

 群馬労働局が5月30日、07年度に寄せられた労働紛争の相談内容を、個別の件数ごとに発表しました。

 その全相談件数はなんと5.000件にも及び、5年前の5倍に達していることがわかりました。

 第1位は、労働条件の引き下げによるもの

 第2位は、その他諸々、成果主義や業績評価などとおもわれます。

 第3位は、不当な解雇に関する相談

 第4位は、セクハラや、パワハラにいじめなど。

 第5位は、退職勧奨にまつわるもの

 第6位は、配置転換や違法と思われる出向など。

 この5.000件もの相談の陰には、泣き寝入りや諦めがひそんでいて、実際は氷山の一角でしょう。

 規則正しい食事や、適度な休息のできる生活習慣は、みんな知っていても、スポーツジムで汗を流すことがいいことは分かっていても、かなわないのが実態でしょう。

 結果として、ストレス解消、焼き鳥や焼き肉を酒の肴に、でんぷん質過多の食事、そして、せめてもの通勤帰りに傾けるビールのジョッキーとなるのも、うなずけますし、痩せる暇もありません。

 「健康診査」や「保健指導」に携わる病院関係者、とくにメタボ検査に当たる検査技師のみなさん、せめて理解をしながら、親切で正しい検診と指導にいそしんでほしいと思います。 


「メタボ健診」を斬る!

2008-06-06 10:17:07 | メタボ健診

                         「メタボ健診」を斬る!(8)

        「メタボ」の要因にも目を向けて!

 「肥満」を、擁護するつもりも、BMIを否定するつもりも、まったくありません。

 「肥満」は、必ずしも、本人の不摂生や、好き勝手にBMIを高値にしているのではないことを、言いたかったのです。

 40歳代といえば、職場においては中堅の働き盛り。この人たちの労働条件や労働環境を改善し、社会的要因を根本から見直さない限り、「メタボ」を責めるだけでは、決してなくなりません。

 サービス残業を減らすこと。

 長時間労働をなくすこと。

 臨時やパートや派遣の従業員を正規の職員にすること。

 通勤地獄をなくすすこと。

 ワーキングプアーをなくすこと。

 右を向いても左を向いても、ストレスの元になる要因は横溢しています。新橋駅のサラリーマンに、マスコミがよくインタビューしていますが、ビールの一杯も傾けなけりゃ、やってられない気持ちがよくわかります。

 残業やって、満員電車に乗って、1杯呑んで夕飯食って寝て、朝食もとらずに、また満員電車に揺られて職場へ。

 一方、税金で居酒屋タクシーに乗り込んで、ビール券や現金のキックバックを受け取って、自宅の玄関先まで送られて、こんな官僚たちの作り上げた「メタボ健診」「保健指導」のシナリオに振り廻されてはたまりません。

 下腹の突き出た官僚たちと、独楽ねずみのように走り回っている勤労者の肥満と、質の違いは明らかです。

 この乖離現象は、もはや、救いようもないほどです。


メタボ健診を斬る!

2008-06-04 17:07:33 | メタボ健診

              「メタボ健診」を斬る!(7)

           こんなことが起こるかも?

 「メタボ健診」を、あえて斬る!と云いましたのは、いろいろと不安や心配なことがあるからです。

 それは、余りにもメタボ中心主義的で、メタボ偏重的色彩が強く、しかも、大小いくつかのペナルティーまで科せられていることと、判定のハードルが低いことから起こる問題です。

 健診データは、将来、レセプトと突合されることが予想されています。

 メタボを理由に個人ごとに保険料に格差が生じます。

 個人の健康情報を、国の傘下で一元管理される心配です。

 検査部門を下請け企業に全面外部委託されることで、個人情報の流失や漏えいが起こらないか。

 受診勧奨判定値に抵触する人が無理やり医療機関に受診を迫られ、不必要な服薬、薬の副作用、病院外来の混雑も予想されます。

 勢い、過度のダイエットや急激な運動による突然死、過度の不安に煽られ、誤った行動に走る危険性。

 太った人が職場や社会で差別されたり、就職の障害になる恐れもあります。

 


「メタボ診断」を斬る!

2008-05-31 12:13:30 | メタボ健診

         「メタボ健診」を斬る!(6)

       これは凄い!執拗な支援とポイント制

 継続的・積極的支援を要する対象者に対して、医師・保健師・管理栄養士・薬剤師が、食事や運動の実践的指導を行い、その進捗状況を見極めながら、目標・計画・意識づけ、評価の判定まで行います。

 支援の形態としては、個人別・グループ・電話・電子メール・FAX・手紙、これらの組み合わせとなります。

 個別支援=5分間1単位(1単位=20ポイント)支援1回当り最低10分間以上、1回あたりの算定上限=120ポイント

 グループ支援=10分間(Ⅰ単位=20ポイント)1回当り最低40分間以上、1回当たりの上限=120ポイント

 電話支援=5分間の会話1単位(1回当り=20ポイント)1回当り最低5分以上、1回当り算定上限=60ポイント

 電子メール支援=1往復1単位(Ⅰ単位=40ポイント)1往復=指導実施者と指導を受ける方で情報の共有を図り、指導する実施者が「完了した」と判断できるまで、電子メール・FAX・手紙などで、執拗に繰り返すことが求められています。

 支援ーAの場合;ポイント合計・160ポイント

 支援ーBの場合は、さらに20ポイント加算されて、合計180ポイント

 「医師にはそんな暇はない」「保健師がいない」「管理栄養士の手が回らない」

 困っているのは、受託を断る医療機関より、委託する各健保組合の方が、途方に暮れている県もあります。

 なにしろ、「健診基準のハードルが低過ぎて、無理矢理病人のレッテルを貼りまくっている感じ」といった声が聞える一方、とにかく、「評判の悪い制度がスタートしたもんだ」の嘆きがしきりです。

 この基準のハードルを策定した委員に、製薬会社から、多額の寄付金が送られたことが公になっていますが、どんな意味の寄付金だったのでしょうか?


「メタボ健診」を斬る!

2008-05-28 13:13:07 | メタボ健診

                        「メタボ健診」を斬る!(5)

                  健診に数値目標が設定

 それぞれの健康保険組合が「メタボ健診」を実施するにあたって、「メタボ健診数値目標」いわゆる、「ノルマ」が設定されています。

      対象人口は、およそ5.600万人

      健診費用は1人当たり8.000円

      本人負担2.700円

      〇健診実施率・・・・・・・・・・65%

      〇メタボ予備群減少率・・・10%

      〇保健指導実施率・・・・・・45%

 初頭で動くお金は、数千億円?になります。

 一方、「メタボ健診」を受託する病院にとっては、宝の山に見えるでしょうが、過酷とも云えるポイント制が待ち受けていることを忘れてはいけません。

 関係スタッフ全員でシミュレーションを行って、綿密な計画を立てる必要があります。

  実際に「メタボ健診」を受診された方に聞きました。

 「衣服を着たまま腹囲を測り、体重測定も、着たまま秤に乗りました。」と言って首をかしげていましたが、「信頼」を失墜するような健診にならないよう、心して取り掛かりたいものです。