タイ族の服装で吹かれる李春華先生のポスター
フルスと日本のことを話せば必ず伊藤悟さんの名前が出てくる。李春華先生は3回ほど会ったことがあると言っておられた。
私がフルスとはじめて出会ったのが2005年。そのときすでに伊藤悟さんのホームページでフルスを紹介してあった。その後もフルス紹介の書籍や新しいホームページは現れず、現在でも日本語による唯一の情報源である。
伊藤悟さんは1998年に雲南大学に留学された。そのときエン先生と出会い、フルスを知る。その後大学に残り、少数民族の文化について研究されており、最近日本に帰ってこられたようだ。
一方、師を同じくする李春華先生は音楽教育者である。 どちらもフルスをこよなく愛する方だが、その曲や吹き方は全く違う。李春華先生は主に雲南省の少数民族や中国の民歌などを吹き、オリジナル曲も発表されている。音楽教育者であり芸術家である。一方伊藤悟さんは学者であり、少数民族の研究のために少数民族の村に伝えられた古い曲を発掘して吹いておられる。李春華先生によると、伊藤悟さんの笛は昔の様式の笛だそうだ。吹き方も李春華先生は様々な修飾音符を巧みに使いこなし、芸術的に仕上げられるのに対して、伊藤悟さんは少数民族の村に伝わる昔の吹き方を再現し、副管による通奏音を鳴らし、循環呼吸を用いて、とぎれなく吹き続ける神秘的な奏法で吹かれる。
同じ先生の指導によるのに、それぞれが自分の行くべき道をきちんと進んでおられるのは大変すばらしいことだと思う。きっと、共通の師であるエン先生の心が広く、自分の流儀を押しつけないでそれぞれの仕事上の必要性と興味を重視して指導されたからであろう。
伊藤悟さんのホームページはここ。