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ただのおじさんの「フルス フルス フルス」    ………フルス(葫芦絲)は中国雲南省生まれのひょうたん笛です………

まろやかな音色のフルスに一目(耳)惚れした「ただのおじ」さんが日本でフルスを普及させようと一念発起。はてさて………。

フルスの音をチューナーで調べたわけ

2010年12月03日 | フルスの基礎



真ん中の主管はひょうたんの中に突っ込んである
リードのパーツとの間に隙間がある。 これが正しい。

  

フルスの音程はあまりよくない。いろいろ理由はあろうが、中国製ということもある。もう少し、慎重に作ってもらいたいものだが、今のところは仕方がない。
私は日本でフルスがもっと普及したら正しい音程の楽器を作ってもらうように要求することができるようになると思っている。

私の町大牟田の愛好会では通常合奏による慰問活動などをしている。その場合、お互いの音の高さが、合っていないと音が濁ってしまう。だから、チューナーで、それぞれのフルスの音の高さを調整する。

フルスの本管と、それにつながったリードが着いたパーツの間の隙間を調整する。全ての音は相対的に決まっているので私はその笛の基本音で調整することにしている。

チューナーで音を正しく合わせたときに、リードの着いたパーツと主管の部分の継ぎ目が少し隙間があるのが正しい状態のフルスである。なぜならば、音の高さは気温によっても吹く人の癖によっても少し変わるので、高くも低くも調整しなければならない。いっぱい差し込んだとき(隙間がないとき)チューナーの針がまだ低い方をさしていたら、それ以上高くできない。だから通常の状態で1~2ミリの隙間があった方がいいのだ。よくできたフルスはそのように作ってあるはずだ。購入に当たってはチューナーでそんなことを確かめていたのだが、その点については持ってきて頂いたフルスはどれも問題はなかった。

もっとも、低級品ではリードのついたパーツと本管が一体となっているので、もとより調整のしようはない。


ポコポコ音の回避

2010年11月06日 | フルスの基礎



音を切る瞬間に口を「あ」の形に大きく開ける

最近、メッセージ欄から質問があった。
「フルスを吹くときポコポコと音が鳴るのはどうしたら回避できますか。」というのだ。
これは、一応フルスが吹けるようになると必ず経験する現象だ。その対処の仕方は比較的簡単だ。 注意深く吹いてみると、この音はある音を切った瞬間に鳴っていることが分かる。

 それで、音を切った瞬間に口を吹き口から離すと同時に口を「あ」を発音する形に大きく開ければいいのだ。これは数回練習するとできるようになる。そして、それを繰り返すうちにだんだんと要領がよくなり、別に「あ」の形にしなくてもできるようになる。 これができるようになると、音がなめらかに進行するようになり、メロディを豊かに表現できるようになる。

ちょっとしたコツだが、誰にも習わないと、なかなかそのコツはつかめない。


マウスピース

2010年05月03日 | フルスの基礎
私は人前でフルスを吹くとき、条件さえそろえば体験試吹をしてもらうことにしている。しかし、日本人なら誰でも人が吹いた後のフルスを吹くのには抵抗がある。はじめの頃は工業用アルコールをガーゼにしみこませたものを持参し、それで吹き口を拭いてから吹いてもらっていた。しかし、それでは面倒だったり、直接吹き口をくわえるので、やっぱり心配だったりで、ほかに方法はないかと思っていた。

そこで思いついたのがビニルホースによるマウスピースだった。これは、作り方も簡単で、清潔で安くでき、大変いいものだ。自分用を一つもっていれば誰のフルスでも吹くことができる。指導者用にも必須のグッズだ。

もちろん参加者には一つずつ渡してお持ち帰りいただく。10センチで10円、一人あたり3センチもあれば十分だから3円ぐらいでできる。

ビニルホース

2010年05月01日 | フルスの基礎
視覚障害者のための演奏会で、フルスを直にさわらせてくださいという主催者の要望はよく分かる。私はもちろんそれを快諾した上でさらに体験試吹をしていただくことにした。
実はそのためにはちょっとしたグッズがいる。そのグッズを使って吹いてもらうと大変喜んでいただくのは請け合いだ。
そのグッズのを作るための材料がこの内径12ミリのビニルホースだ。
ところで、どうしてビニルホース??
答えは次回。

ヨナ抜き音階

2010年04月09日 | フルスの基礎
フルスはどうしてファの音が出ないのか。

それは中国の民謡など伝統音楽の多くはヨナ抜き音階で作られているからである。一般にファとシのない音階をヨナ抜き音階という。
すなわちドレミファソラシドの西洋音階から言うと4番目と7番目の音がないもので、実際にはドレミソラドの音階となる。中国の伝統音楽のほとんどはこれらの音で成り立っているので、あまりファの音が必要なかったのである。日本にもヨナ抜き音階の音楽はたくさんあるのだが、やはりいろいろな音楽を楽しもうと思えば、どうしてもファの音は欲しくなる。ファが出るだけで、フルスで吹ける音楽が飛躍的に増えるのだ。だから、日本フルス普及会ではファが簡単に出せるフルスを推奨している。もちろん中国から入手しているものだが、中国にもファが出るフルスがあるのだ。

長崎演奏旅行(世界に通用するフルスを)

2010年04月05日 | フルスの基礎
1泊2日で、しかも、長崎は何度も行ったことのあるところなので、演奏旅行というには大げさなものであったが、今まで書いてきた通り今回の旅行では、大きな収穫があった。中でもフルスの音程に関わる問題の解決の手がかりがつかめたのは大きい。今まで、日本フルス普及会推薦のフルスは会員から相談があったときに遠慮がちに紹介してきたが、これからは自信を持って広めることができるし、そのことでフルスの普及に弾みがつくかもしれない。

一般に中国のフルスはファの音が出ない。出ないと言ってもそれに近い音は出るのだが、指使いが難しい上に正確な音が出しにくい。また、前述のソとミの穴の位置についても同様、日本人の音程感から言えばちょっとはずれている。これらはフルスが中国の山奥で育ってきた楽器であり、その後の音楽用に改良されてきたとはいえ、主に中国の地域の民謡が演奏されてきたためだろう。

今、日本でフルスを普及させるには、楽器としてどうしてもあと一工夫ほしいところである。日本フルス普及会ではフルスを普及させる過程でそのような問題点を整理し世界に通用するフルスを日本で発展させることはできないかと考えている。
写真は長崎における二胡交流会の出演者。ご招待ありがとうございました。

長崎演奏旅行(一つ目の穴を塞いで吹く)

2010年04月01日 | フルスの基礎
写真のように、日本フルス普及会が推薦するフルスの裏側の上の穴をビニルテープで塞いで吹いてみた。ちょっとガサついた音質だが、確かに限りなく正しいソの音に近い音がした。
ガサついた音がするのはフラフラするテープで貼ったことや、ひょっとしたらリードが正しいソの音に対応する長さではないのかもしれない。
そして、テープで貼った状態で弱く吹いても低いミの音は出ない。やっぱりそうなのだ。松林さんが言った「下のミを出すためにこの位置に穴を開けている」ということは正しい。そのために、中国人は少し高いソの音に我慢しながらフルスを吹いているのだ。そして、確かなことはいえないが、2番目の穴は正しいソのために開けられた穴だろう。

これは私がずっと悩んでいたことを一挙に解決するものであった。すなわち低いミを出そうと思うときには裏面の穴をそのまま開けた状態で吹けばいい。そして、正しいソの音が必要な場合は一つ目の穴をテープで塞いで吹くようにすればいいわけだ。これはそれほど面倒なことではない。今まで、音程が悪いからと、会員のみなさんに提供するのを躊躇していたフルスもこれで日の目を見るわけだ。自信を持って、紹介することができる。
なお、私が見たところ、裏面にこのように二つの穴があけてあるフルスはほかには見たことがないので、このフルスのみに工夫された特長といえるだろう。

長崎演奏旅行(穴が二つあるフルス)

2010年03月28日 | フルスの基礎
フルスは上面の全部の穴を塞いで、強く吹くと低いソの音が、ごく弱く吹くと低いミの音が出る。そして、そのときに音が出る共通の穴は裏面にある。
日本フルス普及会で推薦するフルス(写真では手前)の裏側を確認してみたら下部に全部で4つの穴があった。4つといっても下の二つは房飾りを付けるためのものだ。リードから一つ目の穴までの空気柱がふるえ、その長さが音の高さに関係があるので、飾りを付ける穴は音の高さには関係ない。従ってここで今働いているのは写真で言えば一番左の穴だけである。
一般にリードに一番近い穴がその音程を決めるわけだから元々2番目の穴(写真のボールペン先の穴)は何のためにあるのだろうかと以前から思っていたが、空気の流れをよくするためだろうと軽く考えていた。ところが松林先生から聞いたことから類推すれば1番目の穴が低いミの音に合わせた時のミとソの共用の穴で2番目の穴が本来の正しいソの穴であると考えることもできるのだ。

長崎演奏旅行(フルスの穴の位置は共用)

2010年03月25日 | フルスの基礎
フルスでは低いソと、さらにその下のミは指の押さえ方は同じである。写真のようにどちらの音も表の面の穴を全部押さえて吹く。そしてソを鳴らしたいときはかなり強く吹き、ミの場合はごく弱く吹くようになっている。ところが実際上、ソは簡単に出せるのだが、ミの音はかなり訓練を積まなければならない。だから私が作った教則本(練習曲集)ではミの音を使った練習曲はずっと後に出している。それも付け足しで載せている程度である。下のミは練習しなくてもフルスは十分楽しめる。ところが、中国の教則本ではミの音の出し方はかなり早い時期に出ている。私から言わせれば、時間の無駄だと思う。その分、ほかの音をスムーズに出して音楽を楽しんだ方がいい。下のミはかなり貧弱な音で、あんまり実用的ではないからだ。中級程度になって、練習を始めても遅くはない。
中国人はそのミの音を大事にする。だから、正しいソの位置に穴をあけないで、ミの音と共通に出る位置にあけたのだろうと言うのが松林先生の考え方である。結果として正しいソの音ではなく、少しピッチが高いソの音が出るのだ。
私はその主張に十分納得して、日本フルス普及会が推薦しているフルスをもう一度詳しく見たところ、意外なことを発見したのだ。

長崎演奏旅行(ソの音が少し高い)

2010年03月22日 | フルスの基礎
私は常々中国のフルス(と、言っても中国のものしかないが)の音程が悪いのには閉口している。自分自身はそれほど音程が確かな人間だとは思わないが、こんなものをよく平気で売られるな、と思うぐらいだ。
フルス普及のためにはある程度のレベルのフルスを安価に提供しなければならないと思ってその方策を練ってきた。しかし、それがなかなか実現できないのだ。だから、仕方なく身の回りの人だけには、何とか我慢できる程度のフルスを選んで、提供してきた。したがって、人に渡せないようなフルスがだんだんたまる。その分にコストがかかり、うまくいかなくなる。
一番の問題は下のソの音がどういうわけかどのフルスもすこし高いのである。よく使う音なので我慢できないのだ。
そんな話を松林静風さんにしていたところ「そうなんです。だから私は筒に穴をあけました。」と言って自分のフルスを見せられた。すると、裏にある既存の穴を全部塞いで、その穴より少し下の方に穴をあけてある。
一般のフルスは表の全部の穴を塞いだ状態が低いソの音で、そのときに実際に音が出る穴は通常裏側にある。ひょうたんの中にあるリードからその穴までの空気中が振動しその長さ固有の高さの音が出るので、その穴の位置をずらして筒の長さ(空気中が振動する部分)を長くすると低い音が出るはずだ。松林さんはそれを実行されたのだ。写真で言えば、ペン先のあたりに穴をあけて他の穴を全部接着剤で塞いであった。
そこまでは私も考えたことがあり、やってみようと何回も思ったのだが、その勇気がなかった。

ところが、次に続いた松林さんの言葉は私をぎょうたんさせた。「中国人は下のミの音を出すためにこの位置に穴をあけているのでしょう。」この言葉は私がここ数年ずっと悩んできたことを一気に解決する糸口になる言葉だった。
この言葉の意味については次回に書く予定だ。