北原亞以子の傑作短編集。江戸の喧騒の中を懸命に生きる七人の女たちの営みなどを艶やかな筆で描く短編集。表題作の「妻恋坂」は、主人公のお町が番附売りの周二と出会い、男振りのいい周二から過去の話を打ち明けられたお町はいつしか恋心を抱いた。だが周二の話にはたった一つ、ついてはならない嘘があった。ほか八編。